都内でこのほど公開デモンストレーションが開催され、国内初のソーシャルレンディングサービス「maneo」の詳細や、オークションの流れについて解説した。

妹尾賢俊社長は「公開デモが我々の取り組みを理解してもらう一助となれば」と挨拶

ソーシャルレンディングサービスとは、個人間のお金の貸し借りをネット上で仲介するサービスで、「英国のZOPAが2005年より同サービスをスタートさせたのが始まり」(妹尾賢俊社長)。海外では米国のProsperが有名で、現在1億8,000万ドル程度のローン成約があるとのこと。なお、「ZOPAとProsperは日本進出を検討しているようだ」。⇒妹尾社長インタビューはこちら

借り手(ボロワー)はネットオークションを開き、希望する金額や借入目的などを公開して貸し手(レンダー)を探す。レンダーが多数入札した場合は、入札の度に金利が下がっていく仕組みだ。「ネットオークション開催時の金利は8.5%。最終的な入札金利はおおよそ4~6%になると見込まれる」(妹尾社長)。

ボロワーにとって、無担保・無保証での借り入れが可能であることや、1万円から融資を受けられるのがメリット。ただし一定の審査基準が設けられており、20歳以上60歳未満、年収は300万円以上といった条件が課される。また、maneoでは、外部の信用情報機関からデータを取得し、独自の審査基準に従ってスコアリングを実施。その結果に応じて、各ボロワーがお金を借りられる上限額、期間を設定するという。

ちなみにスコアリングの方法は非開示だが「年収と消費者金融からの借入残高を中心に、勤続年数 / 職業 / 家族構成を加味して結果を出している」(妹尾社長)。一方のレンダーにとっては、4~6%という金利がつくので資産運用の一手段として検討する人もいるだろう。

また、「ネット上でコミュニケーションを図りながらお金の貸し借りができるというのが醍醐味のひとつ」とmaneo広報担当者は説明する。maneoIDを取得したメンバーは、ブログやSNS機能などが利用可能。なお、maneoのSNS機能は、1人1コミュニティという点を除いて一般なSNSと同じシステムを採用しているとのことだ。

maneoトップ。左側がボロワー用、右側がレンダー用のガイダンス画面

トップ画面の左側にはローン総額、登録者、開催オークションが掲載されており、現在の状況を随時確認することができる

お金を借りる場合は、ボロワー申請が必要となる。申請画面では勤務先 / 電話番号 / メールアドレス / 収入 / 資本金 / 収入形態 / 振込口座などを入力し、登録を完了させる。続いて、本人確認書をプリントアウトして送付。書類が到着した後は、当日もしくは翌営業日に審査が行われ、審査を通過したボロワーには通知メールが届く。

ボロワー申請の画面

ちなみに申請が完了すると、maneoスコアがサイト上で表示されるようになる。スコアは年収 / 勤続年数 / 職業 / 家族構成など利用者の状況を数値で表したもの。この数字は申請書類を確認した上でmaneoが決定したもので、レンダーはmaneoスコアを融資する際の参考にすることができるという。

続いてオークションを作成するが、その前にローンの設定が必要となる。ローンパターンは、スタンダードローンとクイックローンの2種類。スタンダードローンは、ボロワーが設定したオークション終了日まで、レンダーが入札を続けるというもの。たとえば30万円の借り入れで金利を10%とした場合、maneoの手数料1.5%を差し引いた8.5%で、入札はスタートする。開催期間中に希望額に達しても、入札は終了せず、その後は入札があるたびに金利がどんどん下がっていく。そのため、お金を借りたいボロワーにとってはよりよい状況でお金を借りられることになる。

このように金利が下がるスタンダードローンに対して、できるだけ早くお金を借りたい方に最適なローンタイプがクイックローン。オークション開催を1週間としているが、希望の入札金額に達した時点でオークションは終了となる。

この2つのいずれかのローンタイプを選び、さらに自分のPRを作成する。たとえば子供の留学資金を借りたい場合、借り入れの目的などを書き込む。レンダーはタイトルと目的を読み、お金を貸す判断基準とする。なお成立に至らない場合は、何度もオークションを開催することもできる。

オークションが成立するとお知らせメールが届く。そこに記載されたURLをクリックし、契約書類をプリントアウト。それを、書類を指定の住所まで郵送してもらうと、maneoから本人確認キーが掲載されたはがきが送られてくるので、URLにアクセスして本人確認キーを登録する。契約書類受領と本人確認キーの登録完了がmaneoで確認されると、指定口座に融資金が振り込まれ、ローン成立となる。

一方、レンダー申請には、申請画面に入る前にサービスの特長とリスクを確認してもらい、適合性の確認へと進む。ここで自分の収入源 / 年収 / 金融資産などを選択してもらう。この時点でレンダーの資格がないと判断された場合、レンダー申請画面に飛ぶことはできない。レンダー申請画面に移ると、口座番号など必要事項に記入の上、レンダー登録を行う。申請後は本人確認書類をFAXまたは郵送で送付する。なお、レンダー申請は書類到着後、本人確認の作業としてはがきのやりとりがあるので1週間ほど時間がかかるとのこと。レンダーの申請承認がなされたら、通知メールが届けられる。

レンダー申請の画面

レンダーがオークションに参加するには、「お金を貸す」をクリック。すると、現在オークションに参加できる一覧表が出てくる。この中から自分がお金を貸してもいいと思うボロワーのタイトルを選択し、ボロワーの詳細情報に飛ぶ。ブログやSNSに掲載された情報を読み、メンバーとコミュニティを図りながらお金を貸すかどうかを決定することもできるので、お金を貸してもいいと思ったら、貸すことのできる金額と利率を入力して、送信。自分が入札したボロワーの情報は、オークション一覧で確認することができる。

コミュニティの画面

なお、同サービスはあくまで「仲介の場」として提供されていることから、お金が返ってこないなどのリスクはあくまで自己責任となる。ただし、お金を借りる場合には資格要件があることや、外部の信用情報機関からデータを取得し、融資の上限額などを決めるほか、返済の意思がないものと見なした場合は、債権を「サービサー」という債権の回収業務を営む専用の会社に売却し、得たお金を貸した人に分配するという。