9月24日から、ソニー・コンピュータエンタテインメントは新作アニメ『亡念のザムド』の国内配信をスタートさせた。

『亡念のザムド』は、ザムドと呼ばれる力を手に入れた高校生アキユキと、そのザムドを取り巻く人々の運命を描く物語。監督は本作が初監督作となる宮地昌幸で、制作は『鋼の錬金術師』『交響詩篇エウレカセブン』などのボンズが手がける。

ハルを抱えた白き異形、ザムド。変貌者が思考を停止すると力を制御できなくなり、同時に身体の石化が始まってしまう

本作の特色はその視聴形態。プレイステーション 3のダウンロードサービス「PLAYSTATION Store」で購入する形となっており、12話までは毎週2話ずつ最新回を追加、13話から毎週1話ずつ最新回が追加される予定となっている。価格は1話ごとにつきHD版が400円、SD版が300円。レンタル方式となっており、初回視聴開始より3日間(72時間)視聴できる。

『亡念のザムド』ストーリー概要

油泥海に囲まれた尖端島。70年前の戦争で南大陸自由圏に併合されたこの島で、アキユキは母と二人暮らしをしていた。父親は別居中で、小さな診療所を一人で営んでいる。ある日、いつもの通り父親に弁当を届け、登校していたアキユキは、親友のハルやフルイチと共に、爆破事件に巻き込まれてしまう。
一命を取り留めたアキユキは白髪の少女の下に駆け寄るが、少女からアキユキに掛けられたのは謎めいた言葉だった。あまりの状況に戸惑うアキユキだったが、混乱が収まる間もなく、その体を異変が襲う。少女が撒き散らした「ヒルコ」が体に入り込み、アキユキは「ザムド」に変化してしまったのだ。

メインキャストが語る『亡念のザムド』への意気込み

先ごろ都内スタジオにて行われたアフレコ収録の後、メインキャストたちが作品への意気込みを語ってくれたので、紹介しておこう。

■阿部敦(竹原アキユキ役)
アキユキは16歳で、この年齢にありがちな世界や人生のすべてを知った気になってしまっている少年です。それがある事故からザムドになってしまって、あらためて自分の無力さとか、世界のいろんな考え方だとかを知って、成長していくところが見どころだと思います。がむしゃらな人間って傍目に見るとかっこ悪いかもしれないですけど、でもじつはすごくかっこよくて、そういった人間が本当に泣いて、笑って、怒って、楽しんでいろいろ生きていく。そういうところが魅力の作品だと思います。

物語の主人公、竹原アキユキ。登校中にとある事故に巻き込まれ、ザムドと呼ばれる未知の生物に変貌してしまう

■折笠富美子(西村ハル役)
ハルは普通の高校生なんですけれども、アキユキの幼馴染みで、アキユキのことが好きな女の子です。キャラクターのひとりひとりの言葉とかがすごく個性的でかっこいいなと思いました。おじさんも子供も女も男もかっこいいキャラクターがたくさん出てきます。そんなところが見どころだと思います。

アキユキの幼馴染みで優等生の西村ハル。アキユキがザンバニ号で尖端島(せんたんとう)を去った後も、彼女のドラマは続く……

■三瓶由布子(ナキアミ役)
ナキアミは一見すごく寡黙でクールな女の子かなと最初は思っていたんですけど、アキユキと出会うことで成長していきます。またアキユキをお世話する、渇を入れていく、そういうキャラクターです。独特な世界観と映像の美しさをぜひPS3で見てください。よろしくお願いします。

ヒトガタ使いと呼ばれる少女、ナキアミ。ザムドと化したアキユキの暴走を食い止め、彼をザンバニ号へと連れ帰る

■玉井夕海(紅皮伊舟役)
声優としての出演は7年ぶりになりまして、アタフタしながらやっています。紅皮伊舟という船長はいろんな仲間たちに支えられて「あきらめていいの?」って叱咤激励をしたり、されたりしながら歩いています。この作品の見どころは、ダッシュが欠けている自分に対して「お前寝てんじゃないよ」って言われているような熱さだと思います。「この世界に対していったいどうしたらいいんだろう」ということを思い描いた志を持ったスタッフたちがいて、それがこんな大きな作品になって注目を浴びていること自体が、私は非常に幸福な作品だと思っています。

国際郵便船ザンバニ号の船長、紅皮伊舟(べにかわ・いしゅう)。数々の修羅場を潜り抜けてきた女傑

■小西克幸(アクシバ役)
ザンバニ号の船員のアクシバは、クラスのお調子者みたいな感じで、アキユキ君に対してはお兄ちゃん的な存在です。今回PLAYSTATION Storeで配信するまったく新しい形態のアニメーションということで、結構「お、こういうこともやっちゃうんだ」という部分もあるので、そういうところも楽しみにしてもらえればなと思います。あとはアクシバで予告も読ませていただいているので、そっちも聞いていただければうれしいです。

■浜田賢二(アーム役)
ザンバニ号は船長がめちゃくちゃなので、アームはそれをフォローするという役です。話の先がなかなか教えてもらえないというのもあったんですけど、楽しみながら演じることができました。いろんな場所で物語が同時に進んでいくんですが、みんな一所懸命生きているというのが伝わる作品じゃないかなと思いますので、それを楽しんでいただければなと思います。

■桑島法子(ユンボ役)
ユンボはザンバニ号のお母さん的な存在です。すごく破天荒な船長さんがいるんですが(笑)、その伊舟の愚痴を聞いてあげたり、ときにはちょっと対立したりするんですけれども、気持ちの奥底ではつながっているので、その辺がこの役的には見どころかと思います。キャラクターがとても人情味あふれるというか、人間関係がすごく複雑に絡まって目が離せない作品になっていると思いますので、ぜひ見てみてください。

スタジオに集結した『ザムド』キャストの面々。全米で先行配信されていることもあり、この日は早くも物語後半の話数が収録された

ボンズらしい充実したビジュアルと、見る人の「思考停止」を許さない濃厚なストーリーを持った『亡念のザムド』。プレイステーション 3での独占配信という形で、昨今のアニメを巡る状況に対して投じられた大きなこの一石に、引き続き注目していきたいところだ。

(C) BONES / Sony Computer Entertainment Inc. , Aniplex