花王は11日、洗濯物の"生乾きのニオイ"の発生に皮膚常在菌「表皮ブドウ糖」が関与していることが判明したと発表した。表皮ブドウ糖が洗濯物に残った身体汚れであるタンパク質や皮脂を栄養分として、ニオイ物質を生成していることが明らかになったという。

参考資料:室内干しで発生する“生乾きのニオイ"に皮膚常在菌が関与

同社では研究に先立ち、2008年3月、全国222名を対象に洗濯行動に関する調査を行った。その結果、91%が室内干しを行っていることが判明。主な理由には、「外出するため」など仕事をしている女性の増加が影響しているほか、健康上の理由から、季節によって室内に干している人もみられた。以上のような様々な生活習慣の変化により、室内干しが増えてきていることがわかったという。

また、室内干し経験者の約8割が、洗濯物の不快なニオイを経験。多くの人が何らかの対策をとっており、約89%がニオイの原因を"菌"と考え、乾燥機や抗菌作用がある柔軟剤などを使用していることが判明。同社によれば、これまではニオイの発生に関する詳しい研究はほとんど行われておらず、今回の研究の実施に至ったとのことだ。

研究では、男性会社員(23~54才)が普段着用している上着のエリ部分から、"スタンプ方法"により菌を採取し、培養後に菌数を測定。その結果、多くの生菌が検出され、一見乾燥した衣類表面にも菌が存在することが明らかになった。そこで菌の種類を調べたところ"ブドウ球菌"の存在を確認。さらにこのブドウ球菌を遺伝子解析により同定した結果、皮膚に常在している表皮ブドウ球菌をはじめ、複数のブドウ球菌が確認された。

次に、ブドウ球菌が"生乾きのニオイ"発生にどう関係するか調べるため、タンパク質と皮脂の影響について調査。その結果、菌の育成に十分な湿気がある洗濯物では、皮膚常在菌の一種である表皮ブドウ球菌類が、洗濯物に残った身体の汚れ(タンパク質・皮脂)を代謝し、ニオイ物質(納豆様酸臭の吉草酸など)を生成することが判明。このことがニオイ発生の原因の1つになっていると考えられるという。

これらの研究結果から、"生乾きのニオイ"の予防には、衣類の汚れを残さずにきれいに洗うことや、除菌することが重要なほか、漂白剤や漂白剤入りの洗剤などの使用も効果的だとのこと。また、植物原料から作られた除菌剤を含む除菌消臭スプレーも、ニオイの発生を抑えることが確認されているといい、同社では、除菌消臭スプレーの新たな使い方を提案していきたいとしている。