アメコミ実写ブームに真打ち登場?

このところのハリウッドでは定番となっているアメコミの実写化も、もう出尽くしたかなと思ってたら、まだまだ在庫はあるみたい。今年も『インクレディブル・ハルク』『ダークナイト』といった作り直しモノに加えて新顔も登場した。それがこの『アイアンマン』だ。アイアンマンとは、主人公のトニー・スタークが自ら開発したパワードスーツを身にまとった装着系のヒーローである。おなじみマーベル・コミックの人気キャラだそうだけど、日本じゃイマイチ知られていない。装着系ヒーローならもっと格好良いのがいっぱいいるからね。

だいたい設定がとんでもない。なにしろ主人公は巨大兵器企業の社長、つまり「死の商人」なのだ。フツーだったら敵役でしょ? 原作のコミックが最初に出たのは1963年、ベトナム戦争たけなわのころだから、そういう「正義」がまかり通った時代だったんだろうけどね。その実写版が2008年に全米で大ヒットしてるんだから、「アメリカ始まったな」と言うしかない。

この社長が

アイアンマンになるのだ!

ビル・ゲイツとお友達の社長、いきなり大ピンチ

余談はこれくらいにして、本編に行ってみよう。主人公のトニー・スタークは兵器産業の2代目社長。マサチューセッツ工科大学を15歳で卒業し、自らさまざまな新兵器を開発する天才技術者でもある(経歴紹介のシーンでビル・ゲイツと一緒に写ってる写真が出てきたのには笑った)。性格は派手好きの女たらし。このスタークを演じるのがロバート・ダウニー・Jr.。たしかにイメージは合ってるけど、やんちゃな社長役としてはちょっと老けてるような……。

ストーリーは、スタークがアフガニスタンで新兵器の発表会を行った帰り道から始まるのだが、ここで発表した「ジェリコ」って兵器がスゴイ。近距離向けのコンパクトな多弾頭ミサイルシステム風で、最近問題になってる「クラスター爆弾」と同じ系統じゃないの? 大爆発をバックに「これで悪党は一掃だ」とシャンパングラス片手に無邪気にプレゼンするスターク。シャチョー、本気ですかい!?

得意満面でプレゼン。しかしその後……

そしてデモを終え戦場を後にするスターク一行を地元ゲリラが襲撃する。護衛部隊は全滅し、スタークも至近距離の爆発を受けて胸に大けがを負ってしまう。気絶したままゲリラのアジトに連行されたスタークは、そこで延命のため胸に電磁石を埋め込まれる(しかもデカイ車のバッテリーがつながってる)。ゲリラ組織はスタークの命と引き替えに「ジェリコ」の製造を命じる。材料はその辺にいっぱいあるから、と見せられたのが全部自社の兵器。スタークは自分の開発した兵器が敵のテロリストに使われていることに衝撃を受ける……って、今どきそんな世間知らずなヤツいねーよ! シャチョー、大丈夫か!?

言うことを聞くふりをして、スタークはジェリコとはまったく違うものを作り始める。とりあえずバッテリー引きずって動くのは何かと不便なので電磁石の改良に着手、「アークリアクター」という超小型原子炉を発明し、胸に取り付ける。次にこれを動力源とした鋼鉄製パワードスーツの製作にとりかかる。ロクな工作機械もないのに無理だろというツッコミはさておき、こりゃ技術者というより職人だね。同じく捕虜になっているインセンという学者のフォローもあって、怪しむテロリストの親玉をうまくごまかしながら(全然ごまかせてないのだが……w)ついにスーツは完成。アジトを破壊して脱出に成功する。

インセン(右)、彼もある意味「ヒーロー」です

次項、いよいよアイアンマン化へまっしぐら!

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