問われる別途徴収の是非
こうしたなか、問題視されているのが、"別途徴収"というスタイルだ。燃油サーチャージは、航空会社から直接航空券を購入する場合を除いて、旅行会社が航空会社に代わって徴収している。国土交通省の通達(05年10月)によると、燃油サーチャージは「旅行代金の一部ではなく、旅行者が旅行会社に支払うべき旅行代金に含まれない旅行に関する経費」と位置付けられており、現在、多くのツアーパンフレットに記載されている旅行代金に燃油サーチャージは含まれていない。
利用者から見れば、どうせ払う額なのになんで明記されていないのだろうと疑問をもたれるかも知れない。だが、旅行会社にとって、燃油サーチャージを明記しないことには理由がある。というのも、旅行会社の商品造成は6カ月ごとに行われるのが通例で、一度パンフレットを発行すれば、掲載した旅行代金は基本的に変えられない。燃油サーチャージを旅行代金に含めた場合、期中にサーチャージ額が値上がれば、契約締結済みの旅行については増額分を反映できず、旅行会社が増額分負担をせざるを得ない。かといって値上げ分を見越した価格をリスクヘッジとして事前に上乗せすれば、商品としての値頃感を維持することは難しいため、販売力低下を招きかねないといった事情があるのだ。
しかし、状況は数千円レベルだった導入当初と大きく異なり、「旅行代金と別に支払う金額としては高すぎる」「二重価格のようでわかりにくい」といった消費者からの不満が続出。燃油サーチャージ額を聞いて旅行を取り止めるケースも少なくないという。
日系航空会社の7月以降の燃油サーチャージ額
行き先 | 6月30日まで | 7月1日から9月30日まで |
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韓国 | 5,000円 | 7,000円 |
中国 | 1万3,000円 | 1万7,000円 |
香港 | 1万6,000円 | 2万1,000円 |
タイ | 2万8,000円 | 4万円 |
グアム | 1万6,000円 | 2万1,000円 |
ハワイ | 2万8,000円 | 4万円 |
北米 | 4万円 | 5万6,000円 |
欧州 | 4万円 | 5万6,000円 |