アースデイ東京2008実行委員会は8日、19日より開催される環境フェスティバル「アースデイ東京2008」の記者発表会を新宿Flagsにて行った。発表会では実行委員長のC.W.ニコル氏やプログラムコーディネーターの嵯峨生馬氏などが出席し、12万人を集める「市民による環境フェスティバル」の魅力をアピールした。同レポートでは、「アースデイ東京2008」の記者会見の様子をお伝えする。

アースデイ東京2008実行委員長のC.W.ニコル氏

同イベントは、「地球のことを考えて行動する」という壮大なテーマのもと、さまざまな業種の企業やNGO、個人がそれぞれに培っている知見やメッセージを共有・発信する場であり、来場する人々の消費行動やライフスタイルの変容につながるムーブメントの源になることを目指している。既報のとおり、数ある切り口の中、2008年に委員会がスポットを当てるのが「エネルギー」「食」「農」だ。

エネルギーの"自給"と"グリーン化"

嵯峨氏によれば同イベントは、07年に引き続き、会場内で使用されるエネルギーをすべて自然エネルギーでまかなうという。今回利用される自然エネルギーは、おなじみの太陽光発電とバイオディーゼル、そして水素と酸素の化学反応から電力を取り出す燃料電池の3種類だ。このうちバイオディーゼルに関しては、ユーズが運営している東京地域の廃食油リサイクルプロジェクト「TOKYO油田2017」の一環として企画する「目指せ自給! 天ぷら油リサイクル大作戦! 」を実施。同企画では2月23日から約2カ月にわたり都内数カ所にリサイクルステーションを設置し、1トンを目標に天ぷら油(廃食油)を回収して精製、発電機をまわす燃料(バイオディーゼル)へと変える。「けやき並木の入り口には太陽光発電パネルを積んだソーラートラックが登場するほか、あちこちに発電機が設置されます。地味ながらイベントの土台となるエネルギー機器を見つけるのも、アースデイのツウな楽しみ方かも」(嵯峨氏)。

アースデイ東京2007で活躍した「エコモービル クリーンエネルギー電源車」。このステージで、社会起業家やアーティストによるトークショーが行われる(左) 。同じく昨年会場に設置されていたバイオディーゼル発電機(右)

ポストカードの裏に印刷されたグリーン電力証書。誰かに届ければ、グリーン電力の輪が広がる

また、同イベントの事務局運営や記者発表、ボランティア打ち上げ、オフィシャルパンフレットや当日会場マップなどの印刷物の製作などに必要なエネルギーは、すべて自然エネルギーで発電した電力(グリーン電力)でまかなわれているという。といっても、同実行委員会が風力発電施設や太陽光発電パネルを持っているわけではない。そのかわりに、グリーン電力証書を取得している。グリーン電力証書とは、自然エネルギー発電設備に対し、発電コストに含まれる環境付加価値部分を支払ったことを示す証書で、グリーン電力認証機構が認証する仕組みになっている。これを取得することで、実際には電力会社から購入したエネルギー電力を使っていても、グリーン電力を使ったとされるという。同実行委員会では年間10,000kWh(キロワットアワー)分のグリーン電力証書を取得しているとのこと。

さらに、TOWERRECORDSやNORTHFACE、記者発表が行われたFrags(東京都・新宿)など、アースデイに出店する企業の一部は、通常営業時の店舗照明やBGM、レジをグリーン電力でまかなわれるという。同イベント開催期間中にそうした企業の店頭へ行き、飾ってあるグリーン電力証書を携帯で撮影後、会場でクイズに答えると、プレゼントが当たるといった「グリーン電力企画」も設けられている。

"つくること"と"食べること"のつながり

会場である代々木公園内のけやき並木入り口には、関東近郊の有機農家や無農薬栽培に取り組む農家が集まり、育てた作物を自らの手で販売する「アースデイマーケット」が、規模を拡大して登場する。ここでは栽培した人から直接、農作物を購入することができるといった貴重な機会が得られる。おいしい調理方法や、たくさんの種類がある中でなぜその作物の栽培を選んだのか、有機や無農薬という栽培方法に取り組んだきっかけなどを尋ねてみよう。食材、ひいては植物をはぐくむ土壌や周辺の自然環境への理解が深まり、食べることが楽しくなるだろう。

アースデイ東京2007のマーケットの様子

その他、実行委員会に参加している「種まき大作戦実行委員会」は、「はじめる自給! 種まき大作戦2008」として、イベント終了後の5月より「アースデイファームツアー」の開催を予定している。農家の仕事を手伝う"援農"を通じて、生産に必要な労働力の一部分を担うという方法での"プチ自給"を目指すツアーとなる。また、09年の「アースデイ東京」に向け、生産者が農作物を販売する場を提供するだけでなく、アースデイ自体の自給自足推進プロジェクトとして、米などを生産して次回のイベントスタッフの弁当に使う計画もなされているという。

「熊も山から下りてくる」面白いイベント

さて、「エネルギーの自給」や「無農薬野菜」などというと、一部の自然派嗜好の人々のためのイベントのように取れなくもないが、実行委員長のC.W.ニコル氏はアースデイの魅力を「いい音楽、美味しいもの、センスの良いグッズ、そしてちょっと変わった面白い若者がたくさんいる楽しいイベント」と表現する。ふだんは長野県黒姫にあるアファンの森で自給自足的な生活を送り、「自分は人間が10人以上いると怖い。熊のような人間なので、実行委員長なんて本当はやりたくない」と述べる同氏だが、「アースデイは唯一、ともに地球に住んでいる人たちが交流できる場所。『こんないい考えを持っている人もいるんだ!』と気づけるすばらしい機会なので、熊も山から下りてきます(笑)」と同イベントに関しての期待を口にする。山から下りる必要がない読者の方々は、1年に1度だけ代々木公園に集まる"地球のことを考えた"音や味、買い物や人間観察を楽しみに、出かけてみてはいかがだろうか。

イベント名 アースデイ東京2008
開催期間 2008年4月19日(土)・20日(日)・22日(火)
会場 代々木公園ほか
主催 アースデイ東京2008 実行委員会
入場料 無料