はじめに新人女優賞は『らき☆すた』の柊かがみ役などの加藤英美里、『さよなら絶望先生』の木村カエレ役などの小林ゆうに贈られた。新人男優賞は『地球へ…』のサム・ヒューストン役などの羽多野渉氏、『おおきく振りかぶって』の三橋廉役などの代永翼氏が受賞した。

続いて、声優自身の名前もしくは演じている役名で、ラジオ、Webラジオ、TV、その他の番組でパーソナリティとして活躍している人に贈られるパーソナリティ賞は、鈴村健一が受賞した。鈴村は「色物扱いですね」と笑いながらコメントしつつも、満足げな様子だった。

歌唱賞には、実在する神社に大挙してファンが参詣に押し寄せるという社会現象を引き起こした『らき☆すた』のオープニング「もってけ!セーラーふく」を歌った平野綾、加藤英美里、福原香織、遠藤綾の4名が受賞した。「もってけ!セーラーふく」は、オリコン初登場2位という快挙も成し遂げるなど、アニソンの枠に収まりきらない大ヒットとなった。全員が登壇すると会場は一気に華やかな雰囲気となり、それぞれが受賞の喜びを語った。

作品として声優の魅力を最大限に発揮したものに贈られるシナジー賞には、特撮ドラマ『仮面ライダー電王』が選ばれた。電王はモモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスの4人のイマジンが主人公の野上良太郎に憑衣して、それぞれのライダーの変身するという設定なのだが、この4人のキャラクターの声を演じた関俊彦(モモタロス役)、遊佐浩二(ウラタロス役)、てらそままさき(キンタロス役)、鈴村健一(リュウタロス役)が登壇すると、舞台袖より仮面ライダー電王が登場! 関の生アテによって、電王得意の「最初からクライマックスだぜぇ!」が飛び出る夢の競演が実現。会場は一気にヒートアップした。4人の登壇者とともに見事なコンビネーションを披露。ただ惜しむらくは仮面ライダーゼロノスのイマジン、デネブの声を演じた大塚芳忠にも姿を見せてほしかった。

ここでお祭り気分から一転し、声優界を支えてきたベテラン声優を讃える賞の贈賞へと移った。まず、外画も含め多くのジャンルに渡り活躍、貢献した故人に贈られる特別功労賞には、ラジオ番組『ジェットストリーム』のパーソナリティや「ローマの休日」のグレゴリー・ペックなど、数々のすばらしいナレーションや吹き替えを担当した故・城達也に贈られた。続いて、長年に渡り外画も含め多くのジャンルで活躍された方に贈られる功労賞には野沢那智、羽佐間道夫、来宮良子に贈られた。また、富山敬賞には『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイ役などで知られる古谷徹が受賞。古谷は、このところ海外でのさまざまなイベントを通じ、声優の魅力を広めることに務めており、この功績を認められての受賞となった。古谷は「いつか"古谷徹賞"ができるように頑張ります」と語った。

ここからはいよいよメインの受賞枠の発表。まず、サブキャラクター男優賞は、『みなみけ』の保坂などを演じた小野大輔氏と『機動戦士ガンダム00』のティエリア・アーデや『さよなら絶望先生』糸色望を演じた神谷浩史が受賞した。意外だったのが、強く望んで声優を志望する人が多い中、小野氏が「はじめは製作する側を希望してテレビの業界を目指し、その次がラジオの世界に入って挫折したのが、ふとしたきっかけで声優になって、こうして賞をいただけるのは信じられない」と語り、感無量の表情だったのが印象的だった。また、神谷氏は「これからも僕はずっと声優です!」と力強く語り、喜びを隠しきれない様子だった。

続いて、サブキャラクター女優賞は、『ハヤテのごとく!』の三千院ナギ、『灼眼のシャナ』のシャナなどで人気を集め、"ツンデレの女王"の名を欲しいままにした釘宮理恵、『もやしもん』の結城蛍や『天元突破グレンラガン』のロシウなどを演じた斎賀みつきが受賞した。釘宮は「多くの人と出会えたことで、ここに立っていると思います」とし、斎賀も「私一人が受賞したのではなく、役やスタッフとの出会いのおかげだと思います」と語り、アニメの声というものが声優だけの力でできているのではないことを再認識させるコメントとなった。

そして、最後に声優界最高の栄誉となる主演賞の表彰となった。主演男優賞には宮野真守が輝いた。宮野は、『DEATH NOTE』の夜神月、『機動戦士ガンダム00』のガンダムエクシアのパイロット、刹那・F・セイエイなどを好演、劇団ひまわりに所属し、役者としても今後が楽しみな存在だ。コメントにも「身長ばかりでっかい僕ですが、役者としてもでっかくなれるよう、がんばりたいです」と意気込み強く喜びを語っていた。

主演女優賞には昨年、新人女優賞を受賞したばかりの平野綾が受賞した。平野と言えば『涼宮ハルヒの憂鬱』のヒロイン・涼宮ハルヒ役で一気にブレイクしただけにとどまらず、『らき☆すた』の泉こなた役でさらに多くのファンを獲得。『DEATH NOTE』の弥海砂や『NANA』の芹澤レイラなど、数々の話題作に出演している。さらに今回、歌唱賞にも選ばれたように、さまざまな作品のユニットでの活動や、ソロシンガーとしても積極的の活動しており、声優の枠にはまらない今後の活躍に期待が集まっている。こうした点も今回、主演女優賞という最高の賞に選ばれる要因になったと言えるだろう。

それまで緊張からか無表情だった平野さんは、トロフィーを授与した声優アワード実行委員長の南沢道義氏にハグされる祝福を受けると、一気に明るくすてきな笑顔に変わり、「舞台に立つだけで緊張するのですが、ハグでさらにドキドキしています」とし、さらに「これからどんな作品、どんな役に出会えるのか楽しみです。今後もさらなる高みを目指してがんばります」と満面の笑みで語っていた。

この授賞式の模様は、3月27日から開催される「東京国際アニメフェア2008」での声優アワードのイベントにおいて公開されるとのことだ。

なお、授賞式の冒頭、司会を務めた文化放送アナウンサーの長谷川太氏は、声優の広川太一郎が3月3日に亡くなったことに触れ、故人を偲ぶ参加声優のメッセージを伝えた。