描画機能が刷新されたことも、注目点の1つ。Office 2008 for Mac共通のグラフィックエンジン「Office Art 2.0」は、Windows版Office 2007のソースコードをベースに、Mac OS XのグラフィックAPI (Aqua) を利用して開発されている。Windows版Office 2007との互換性を保ちつつ、Mac OS Xへの最適化を果たしているのだ。

グラフィックエンジン刷新による効果としては、書式設定の自由度が格段に増したことが挙げられる。図形オブジェクトの書式設定プロパティを新旧Office間で比較してみると、Office 2004のタブの数が5であるのに対し、Office 2008は11と倍増。プロパティを見れば、「3-D 書式」や「3-D 回転」といった3Dエフェクトや、「影」や「反射」といった高度な演算を必要とする表示効果が追加されていることがわかるはずだ。

Excel 2004(左)とExcel 2008(右)の図形書式設定プロパティ。項目数の多さは一目瞭然

作図用のパーツとして便利に使える「オートシェイプ」も、外観が一新されている。Office 2004にデフォルトで用意されていたものは、フレームむき出しの印象だったが、Office 2008では黒い実線を使わなくなったほか、青いグラデーション付きの面が用意され、質感が向上している。3Dオブジェクトを回転させるとき、ワイヤーフレームではなく塗りつぶされた面が表示されるほか、「塗りつぶし効果」の設定画面には「図形に合わせて塗りつぶしを回転する」オプションが追加されている。

3Dオブジェクトを回転させるときも、Excel 2004のようなワイヤーフレーム(左)ではなく塗りつぶされるようになった(右)

迅速かつ柔軟に図形を作成する新機能「SmartArt」も、新グラフィックエンジンの機能を多く利用している。そのため、Office 2008 for MacとWindows版Office 2007より前のOfficeで変更を加えると、一般的な図形オブジェクトに変換されてしまうので注意が必要だ。