Office 2008 for Macでは、Visual Basic for Applications(VBA、マクロプログラムの実行環境)はサポートされない。VBAが含まれるファイルを開こうとすると、Visual Basicのマクロは機能しない旨の警告ダイアログが表示され、そのままファイルを開くか、マクロ部分を削除してからファイルを開くかの選択を迫られる。当然、VBAのコードを含むアドインも利用できない。これらの仕様は、Excel / Word / PowerPointとも共通だ。

文書に含まれるマクロ(VBA)は動作しない

「マクロ」のサブメニューもなくなり、マクロの記録はできなくなった

前バージョンではサポートされていたVBAだが、日本のOffice 2008 for Mac開発チームに取材したところによれば、ソースコードにアセンブラが含まれるためユニバーサルバイナリ化の作業を急ぐうえで障害になったこと、AutomatorのサポートによりほぼVBA並みの自動化処理が可能になったことから、サポートが見送られたという。

正確に言えば、マクロのサポートが完全に廃止されたわけではない。サポートされなくなったのはVBAであり、VBA以前のExcel 4.0マクロ(XLMマクロ)は引き続き使用できる。新たにExcel 4.0マクロを記録することはできないが、実行および内容の編集は問題なく行える。

VBAがサポートされないということは、伝票データの入力フォームや帳票印刷ツールなど、VBAで開発された小規模アプリケーションまで動作しないことを意味するため、Office 2008への移行を戸惑うユーザは少なくないはず。VBAの互換性が一部損なわれるならばともかく、VBA資産が完全に失われることに対する反発も予想される。

もっとも、公式発表こそ行われていないが、Windows版OfficeでもVBAの廃止は規定路線らしい。実際、2007年7月1日をもって新規顧客にはVBAライセンスシングプログラムの提供を終了していることから、VBAという言語処理系が近い将来なくなる(Windowsの開発環境ではCOM / VBAから.NETへという流れがある)ということであれば、ユニバーサルバイナリ化という大手術を機にサポートを終えるのは理解できる。これは筆者個人の予想だが、Mac版Officeで今後VBAサポートが復活することはないのではないだろうか。