Officeアプリケーションの文書には、ファイルフォーマット以外に「フォント」という互換性の問題がある。文書にはシステム標準のフォントセットが使用されていることが多く、XP以前のWindowsならば「MS Pゴシック」、Windows Vistaならば「メイリオ」、旧Mac OSならば「Osaka」、Mac OS Xならば「ヒラギノ角ゴ Pro W3」が相場だ。

フォントは種類によりデザイン(字形)が異なるほか、文字送りなどの処理で差が生じる。歴代のOffice for Macには、MS ゴシック / MS PゴシックとMS 明朝 / MS P明朝が収録されてきたため、フォントの違いによるトラブルはある程度クリアされてきた。問題はWindows Vistaからシステム標準となったClearType()フォント「メイリオ」が独立して配布されていないことで、メイリオを使用した文書はMacでは他のフォントに置換せざるをえず、Windows Vista登場以降の課題とされてきた。

そのメイリオが、Office 2008 for Macには標準で収録されている。フォントの種類からフォントグリフなどデザインの細部に至るまで、Windows Vistaに収録されているものとまったく同一なため、Windows Vistaで作成されたメイリオフォント使用のOffice 2007文書は、Mac上でも完全に同一のスタイルで再現できる。もしズレなどが生じた場合は、プログラム側の不具合と考えていいだろう。

メイリオフォントは「/Library/Fonts」ディレクトリへインストールされるので、他のアプリケーションでも利用可能

なお、Office 2008 for Macに収録されているメイリオは、JIS2004で定義された新字体を採用している。葛飾区の「葛」や森鴎外の「鴎」など、Mac OS Xに収録されているフォントとは字体が異なるため注意が必要だ。

メイリオはJIS2004の新字体を採用しているので注意(下側のフォントはヒラギノ角ゴシック)

注: ClearType

RGBの3要素を微妙に変化させ、繊細な文字の表示を可能としたフォントのアンチエイリアシング技術。