名古屋の徳川美術館では、「新館開館20周年記念特別展 国宝源氏物語絵巻と平成復元模写」を開催している。同展では、同館所蔵の国宝「源氏物語絵巻」とともに、現存する「源氏物語絵巻」19図すべてを精密に復元した作品を展示。開催期間は12月9日まで。

国宝 源氏物語絵巻 宿木三 平安時代 12世紀 徳川美術館蔵

同展で展示される「源氏物語絵巻」を対象とした復元模写プロジェクトは、1998年に補正予算事業の一環として着手された企画「『国宝源氏物語絵巻』高精細デジタルアーカイブの試作」から始まった。故林功氏に第1作目「柏木三」の復元模写を依頼し、見事完成。その後、林氏の弟子たちや同僚の画家などの協力により、2005年に徳川美術館と五島美術館で所蔵する「源氏物語絵巻」全19図の模写作品が完成した。

国宝 源氏物語絵巻 柏木三 平安時代 12世紀 徳川美術館蔵

同展のポイントは、通常の美術館にはない、原本と模写作品を見比べられるという新たな試みが成されているところ。例えば、「源氏物語絵巻 関屋」や「源氏物語絵巻 宿木(三)」など、原本と模写作品の両方を展示する。現存する最古の絵巻とされる原本が、同一素材・技法で復元するというポリシーにのっとった模写によって、鮮やかによみがえっている点に注目したい。

観覧料は一般が1,200円、大学・高校生が700円、中・小学生が500円。開館時間は10時~17時、休館日は毎週月曜日となっている。