モーターショーには現実にはありえないようなコンセプトモデルや最新エレクトロニクスを満載した電気自動車など、実に多くのクルマが登場する。しかし、やはり気になるのは、実際に販売されるスポーツカーではないだろうか。高価ではあるが、がんばれば買えるかもしれないし、なにより自分でハンドルを握ることができる可能性があるわけで、コンセプトモデルとはわくわく感が違う。まずは市販前提のスポーツカーをまとめてみよう。

NISSAN GT-R

V型エンジンを搭載し、スカイラインの名が外れた「NISSAN GT-R」

24日のモーターショーでは事前から告知されていたとおり、「NISSAN GT-R」の発表が行われた。これまでもコンセプトモデルが各種イベントで展示されたり、マスクを装着した写真が公開されたりもしていたが、いよいよ正式発表とあってプレスや来場者の関心も高く展示会場はいつも混雑していた。

新「GT-R」は、これまでのスカイラインの名称が外れ、すべてが完全新設計となる。エンジンは、直列6気筒2.6Lツインターボエンジンから、V型6気筒3.8Lのツインターボエンジンに変更された。また、GT-Rシリーズとしては初めてパドルシフトを備える。最大出力は352kW (480ps)だ。

用品を扱うCALSONIC Kanseiブースでは、GT-Rのフロント内部パーツを見ることができる。展示されているのは一部のパーツだが、日産ブースにはない内部構造が見られるので、興味のある方はこちらにも足を運んでみるといいだろう。

NISSAN GT-R フロントビュー

フロントブレーキはもちろんブレンボ。フェンダー後端にはエアアウトレットが見える

マフラーは4本出し。リアウイングはこれまでに比べてややおとなしめなデザインだ

CALSONIC Kanseiブースに展示されていたGT-Rのフロント内部パーツ。インタークーラーやオイルクーラーのレイアウトがわかる

5ドアになったスバルインプレッサ WRC STI

スバルブースでは、新型の「スバルインプレッサ WRX STI」を展示。ベースモデルと同様、5ドアのワゴンボディでの登場となった。「WRX」はなくなり、「WRX STI」と6月発表の「S-GT」に統廃合されるという。といっても、今回発表された「WRX STI」は、シャーシやボディ形状など、多くのパーツを新規に起こしているという。ボディ前後のオーバーハングを短くすることで、ヨー慣性モーメントを減らし、運動性能を向上している。最大出力は前モデルの235kW(320ps)よりも少し低い227kW(308ps)だ。

5ドアとなった新インプレッサ WRC STI※スパークシルバーメタリック

インプレッサ WRC STIリアビュー。ホイールはオプションのBBS製アルミ鍛造

インプレッサのインパネ。ステアリングにはSTIロゴがあしらわれる

エンジンは227kWを発生するインタークーラーターボ付き直列4気筒エンジン

リアサスペンションをダブルウィッシュボーンとすることで、広い車内空間を確保

インプレッサWRC STI ※ダークグレーメタリック

マフラーは4本出し。オプションでアンダーパネルも用意される

発表済みの「ランサーエボリューションX」も実車を展示

三菱自動車ブースでは、10月1日に発表したばかりの「ランサーエボリューションX」を展示している。すでにディーラーでは展示や試乗会なども行われているが、よく見かけるレッドメタリックのほかに、ファントムブラックパールも合わせて展示された。また、ランサーエボリューションXの4WDシステム「S-AWD」のシステム模型も展示されているのはモーターショーならではだ。

ランサーエボリューションX ※レッドメタリック

ランサーエボリューションX ※ファントムブラックパール

エンジンは4G63に代わり、2L MIVECインタークーターターボの4B11が搭載される

AYC(アクティブヨーコントロール)、ASC(アクティブスタビリティコントロール)などを統合したS-AWDが搭載される

オープンカーでドアのない「ロータス2-イレブン」

ロータスブースでは、ジュネーブ国際モーターショーで発表された「ロータス2-イレブン(Lotus 2-ELEVEN)」が国内初展示されている。ボディはフルオープンで、ドアもなく、とても公道を走るクルマには見えない。しかしヘッドライトやウインカーなどの保安部品がちゃんと付いていて、公道走行も可能。もちろん本領を発揮するのはサーキットで、スポーツ走行やレース向けのクルマだ。わずか745kg(ロードバージョン)の車体には、188kW(255ps)を発生するインタークーラー&スーパーチャージャーを備えた1.8Lエンジンが積まれ、1960年代のF1マシンと同レベルのパワーウェイトレシオを誇る。発売(予約)はすでに開始されているが、残りはわずかという。

ロータス2イレブン。745kgの車体に255Psのパワーを持つ

ウインカーは付いているものの、ミラーやロールバーなどほとんどレースカーの外観

500台限定生産の「アルファロメオ 8C コンペティツィオーネ」

アルファブースに置かれた「8C コンペティツィオーネ」は、一見しただけでは懐かしいデザインのコンセプトモデルのように見えるが、実は500台限定の市販モデル。アルファロメオとマセラティによって共同開発されたものだ。エンジンはV型8気筒4700ccで、最大出力は333kW(450ps)となっている。名称は、1930~1940年代に設計された直列8気筒エンジンと、1950年代に1000マイルレースに参加したスポーツクーペ「6C 2500コンペティツィオーネ」の名称を受け継いだもの。

どことなくレトロな雰囲気を持つスタイル

8Cコンペティツィオーネ リアビュー