今回の企画展では、人気怪獣の貴重なデザイン資料だけでなく、成田氏の抽象彫刻や、高山氏によるシュールレアリスム絵画といった美術作品もあわせて展示。怪獣の生みの親たちが元々深く関わっていた美術分野での作品を、ジャンルを横断する形でならべることで、時代を超えて愛される怪獣デザインの発想の源泉を探ることができる。

企画展では生前の成田氏をホームビデオで撮影した、貴重な映像記録も上映されている。この日も多くのファンが見入っていた

ビデオに残された先述の鬼のモニュメントの制作風景。巨大な彫刻に取り組む成田氏の姿を垣間見ることができる

こちらは『ウルトラマン』制作当時の成田氏。下段右の人物は成田氏のデザインを数多く立体化した高山良策氏

高山良策氏の絵画作品から。形の可能性を追求した成田氏の作品からは一転して、幻想性にあふれた世界が展開されている

高山氏による不思議なオブジェの数々。一番左の「かなぶんおやぶん」は『スペクトルマン』にもコンピューター怪獣として登場

高山氏が制作した『怪傑ライオン丸』のライオン丸の顔型(左)と『スペクトルマン』に登場するゴリ(右)とラー(中央)の操り人形

同じく高山氏によるデザイン画。スーツアクターの入り込む位置など、設計資料としての描き込みがふんだんに残っている

こちらは池谷仙克氏の怪獣デザイン画。池谷氏は成田氏の後を引き継ぎ『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』などで名怪獣を生み出した

現在も特殊メイクや立体造形など数々の映像作品で活躍する原口智生氏の作品。それぞれ池谷氏がデザインしたキャラクターを立体化したもの

会場にはこんな怪獣の肌のサンプルも展示。子供たちが実際に手触りを楽しんでいた。原口氏がこの企画展のために制作

11月3日から12月24日までは栃木県の足利市立美術館にて開催予定。怪獣に内包された美術的な要素、そして美術作品の奥から顔を覗かせる怪獣的な要素、その両者を比較して楽しめる刺激的な企画展であり、特撮ファンから家族連れ、芸術に関心を持つ人まで幅広く親しめる内容となっている。

会場には『ウルトラセブン』でアンヌ隊員を演じた、女優のひし美ゆりこさんからも花が贈られていた