――あと、当時、メカデザインという職種がなくて……。

「なくてですね、美術という大きなくくりで美術部っていうのを作ってたんですけど(部長は中村さん)、そこは背景とか大道具、小道具。あと、部屋の設定ですね。ですから、メカという項目はなかったんですけれども、まあ『自動車は大道具だろう』ぐらいの感覚ですよ。『はい、中村さん、お願い』みたいな(笑)。ロボットもそうでしたね。のちの作品に出てきますけれども。中村さんもホントに器用ですからね。そういうすごい才能の方で、苦労なさって不眠不休でね。一番忙しかったんじゃないかなあ」

――その結果、でき上がったマッハ号のデザインをご覧になっていかがでしたか。

「すばらしいと思いましたよ。やっぱり、いろんなのを描かれたと思うんですけれど、今も形がずーっと残ってますからね」

マッハ号の側面図と上面図
(C)タツノコプロ

オープニングのラストカット。主人公・三船剛とマッハ号。このすばらしいマッハ号に乗り、世界の果てまで飛ばす剛の行く手に、さまざまなレースや事件が待ち受けているのだ
(C)タツノコプロ

今井科学から発売されたマッハ号の1/24スケールモデル。現在は青島文化教材社から発売されている

――しかも、特殊な装備が付いている、という。

「設定を考えるのはほかのスタッフなんですけど、7つの威力っていうのを付けようと。文章では書けるんですよ。けど、それを具体的にあの車の中に入れなきゃいけないでしょ。だからそのへんが、やっぱり難しいと思うんですよね。徹夜で考えてましたから」

ステアリング中央の「A」のボタンは、「オートジャッキ」。このボタンを押すと車体の下からジャッキが飛び出し、タイヤ交換は即座にOK。走りながら押すと、車体をジャンプさせることもできる
(C)タツノコプロ

「C」は、カッター装置。丸ノコが飛び出して、藪や林を切り払いながら進む
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「F」は、フロッグ装置。潜水艦の潜望鏡のように水上をバックミラーで見ることができる
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「G」は、マスコットのギスモ号。これは、通信にも使えるし、悪党どもを懲らしめることにも利用できる
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