東京・ラフォーレミュージアム原宿にて7日、アニメ『モノノ怪』先行上映会が行われた。

この先行上映会は同会場で開催された「夏・マツリ SUMMER GARDEN」の一環。「夏・マツリ」はファッション・アート・ミュージックといった切り口から、新しい"和"を提案するイベント……となっているが、あくまでもラフォーレ原宿を訪れた人に楽しんでもらうことを目的とした、屋内型の夏祭りとして行われている。もともと女性客の多いラフォーレ原宿だが、このイベントは浴衣着用で入場無料ということもあって、とくに女性の姿が目立った印象。また、会場内には随所にアーティストの作品が並べられるなど、アニメの試写会の枠を超えた画期的な試みが多くなされ、送り手の意気込みを感じさせる盛況なものとなった。

『モノノ怪』は「座敷童子」「海坊主」「のっぺらぼう」「鵺」「化猫」の5編(全12話)を予定。「化猫」は前作とまったく異なるアプローチになるとのこと。ライバル登場編も?

上映された『モノノ怪(け)』は12日深夜24時45分より、フジテレビほかにて放送が開始される新作アニメ。『ハチミツとクローバー』『働きマン』『のだめカンタービレ』といった話題作を放送している「ノイタミナ」枠での登場となる。

『モノノ怪』はこのノイタミナ枠で2006年に放送された『怪~ayakashi』の一遍『化猫』(全3話)の設定とメインスタッフを引き継ぐもので、旅の薬売りが、人の業によって生み出された妖怪に立ち向かうという内容。

『モノノ怪』の特徴はなんと言っても視聴者をひと目で魅きつけるそのビジュアル。浮世絵の艶やかさを、デジタル技術によってさらに発展させたインパクトのある画面作りを行っており、実際に『化猫』では5.0%という当時のノイタミナ枠での最高視聴率記録を叩き出している。これは深夜アニメとしては異例の高い数字とされ、アニメファン以外の層も取り込んだからこその成果と言える。

自らの名も語らず、ふらりと現れた先で巻き起こる怪異に、退魔の剣で立ち向かう旅の薬売り。色彩だけではなく、和紙の質感も再現している点にも注目

「座敷童子」より。身重の女性が、ある宿の奥の間に通されたことから惨劇が始まる。美しいが、どこか人を不安にさせる作品の舞台も見どころのひとつ

また奇抜なセンスを用いながらも、しっかりと「怖い」作品に仕上がっているのもポイント。『化猫』で発揮された身の毛もよだつのに目が離せない、という作風はそのまま引き継がれている。続編を楽しみにしていたファンは期待を高めていいだろう。

この日の上映会のもうひとつの目玉となったのは『モノノ怪』のオープニング曲「下弦の月」の作曲と演奏を担当したバンドネオン奏者・小松亮太氏によるミニライブ。妖艶なバンドネオンの調べが『モノノ怪』の雰囲気を盛り上げるとともに、観客を魅了していた。このオープニング曲には『ルパン三世』の主題歌で知られるボーカリスト、チャーリー・コーセイ氏が参加していることでも話題となっている。チャーリー・コーセイ氏がアニメ作品に参加するのはおよそ30年ぶりのことだとか。

日本的な世界観に反して、あえて西洋的な言葉で例えるなら『モノノ怪』はまさしく「真夏の世の夢」。今夏の新作アニメのなかでもとくに注目度の高い作品となっている。

上映会でミニライブを行った小松亮太氏(左)。「日本の裏側にあるアルゼンチンの音楽で場違いな気もしますが(笑)」と謙遜していたが、バンドネオンの音色は作品と見事にマッチしていた

『化猫』の全3話を収録したDVD『怪~ayakashi~化猫』は5,985円で発売中(発売: アスミック/フジテレビ 販売: 角川エンタテインメント)

(C)モノノ怪製作委員会
(C)怪~ayakashi~製作委員会