この半導体ニュースのまとめ
・中村留精密工業が光学と半導体の加工技術を統合した「半導体・光学事業部」を発足
・SiCやGaN、小径・極薄ウェハ、先端パッケージ用ガラス基板などの加工に対応
・顧客と共同で新たな加工方法を開発し、量産技術としての確立を目指す
中村留精密工業(石川県白山市)は8月31日、同社が長年培ってきた光学分野の精密加工技術と、長年取り組んできた半導体材料加工技術を融合することで、次世代の半導体産業の発展に貢献することを目的とした「半導体・光学事業部」を発足したことを発表した。
同社は1972年にガラスレンズ加工分野へ参入して以降、ガラスレンズ、液晶パネル、光学フィルター、カバーガラスなど、さまざまな硬脆材料の加工技術を培ってきた。近年は半導体ウェハや半導体パッケージ用ガラス基板に関する加工相談が増加しており、顧客との共同開発を通じて蓄積してきた半導体材料向け加工技術と光学技術を、新事業部へ集約したという。
SiCやGaN、小径・極薄ウェハの加工に対応
事業部発足前より同社は、半導体・光学事業部では、SiCやGaNをはじめとする硬脆性半導体材料のベベリング加工に加え、ハーフインチサイズの小径ウェハや、厚さ100μm以下の極薄材料のベベリング加工にも、顧客とともに取り組んできたとする。
ベベリング加工は、半導体ウェハやガラス基板のエッジ部を研削し、欠けや破損、コンタミネーションの発生を抑える工程である。硬度が高く脆いSiCやGaN、取り扱いが難しい小径・極薄材料では、加工時の負荷を抑えながら、高い形状精度と表面品質を確保する必要がある。
同社は、顧客から寄せられた難易度の高い加工相談を起点として技術開発を進め、光学材料向け加工機で培った精密制御技術を半導体材料へ応用してきた。装置を提供するだけでなく、材料の特性や顧客の製造工程に合わせた加工方法を共同で開発し、量産技術として確立することを目指す。
最大12インチウェハと□320mmガラス基板に対応するエッジグラインダー
新事業部としては、半導体ウェハ向けエッジ加工装置、ガラス基板向けエッジ加工装置、小径・個片ワーク向け加工装置、光学材料向け加工装置を展開していくとする。
代表製品であるエッジグラインダー「NMPG-450」は、2~12インチの半導体ウェハと最大□320mmのガラス基板に対応し、高精度なエッジ加工を可能とする。先端パッケージングでは、大型化するガラス基板の寸法精度やエッジ品質が、その後の配線形成や実装、搬送時の歩留まりに影響するため、安定した加工技術が求められる。
一方のエッジグラインダー「LC-50」は、直径50mm以下の小径ウェハや個片ワークを対象とした加工装置で、研究開発や少量試作などで用いられる小径ウェハなどに対する高品質加工を提供するとしている。
加工装置から量産プロセスまでを提案
同社は新事業部の目的として、「人類の成長を、エネルギーの制約から解放する」を掲げる。AIやデータセンター、自動運転、ロボティクスの普及に伴って電力需要が増加する中、パワー半導体や先端パッケージングを支える加工技術を通じて、電力利用や情報伝送の効率向上へ貢献したいという思いだという。
SiCやGaNを用いたパワー半導体は、電力変換損失の低減や機器の小型化が期待される一方、材料の硬さや脆さからウェハ加工の難易度が高い。また、先端パッケージングで活用が広がるガラス基板についても、大型化や薄型化に対応した精密加工技術が必要となる。
中村留精密工業は、こうした材料ごとの特性や加工課題に応じ、装置、加工条件、製造プロセスを組み合わせたソリューションを提供し、顧客やパートナー企業との共同開発を通じて、従来は難しかった加工を量産工程へ適用可能な技術へ発展させ、次世代半導体産業における事業拡大につなげていくとしている。