KDDI、モルゲンロット、トークネットは9月18日、AI時代における電力不足やGPU不足の解決を目指し、リテールロボットを活用した分散型データセンター実証を開始したことを発表した。なお、今回の実証は総務省の「ワット・ビット連携関連実証事業」に採択されているもの。

AI利用の拡大に伴ってGPU需要が増える一方、データセンターでは電力確保も課題となっている。今回の実証では、GPUを特定の拠点に集中させるのではなく、各地に分散する計算資源を高速ネットワークで結び、一体的に利用できる環境の実現を目指す。

500km離れたGPUでロボットを遠隔推論

実証では、ロボット内(0km)、県内近傍(20km~)、県内遠隔(50km~)、県外(500km~)とGPUの配置場所を変え、遠隔推論における遅延時間やネットワーク品質などを検証する。

具体的には、KDDIの大阪堺データセンターと多摩ネットワークセンター間をAPN(All-Photonics Network)で接続する。また、多摩ネットワークセンター内にはPoint-to-Multipoint型APNを活用し、データセンターとユーザー拠点の接続を模擬したネットワークを構築する。

それぞれのセンター内に配置されたGPUと、モルゲンロットが開発・構築したGPU仮想化基盤を組み合わせ、リテールロボットを用いたフィジカルAIの分散学習・遠隔推論を実施することにより、複数拠点に分散した計算資源の最適な活用方法と有効性を検証する。

  • Point-to-Multipoint型APNとGPU仮想化を活用した分散型データセンターの構想図

    Point-to-Multipoint型APNとGPU仮想化を活用した分散型データセンターの構想図

東北まで接続を拡大、地域のGPUや電力活用へ

実証において、KDDIは「フィールド検証環境の提供」「エッジデータセンター環境の構築」「リテールロボットを用いたフィジカルAIの遠隔推論および分散学習」を担当。 モルゲンロットは「GPU仮想化基盤の開発」「GPU分散処理の実行」を行い、トークネットは2027年度に実証する「APN事業者間接続に向けたエリア間の接続検討」「P2MP型APNの共同実証」を実施する。

KDDIは、AI前提社会において、データセンターや海底ケーブルなどのアセットとAPNや6Gなどの技術を融合し、陸・海・空を網羅した全国低遅延網・AI計算資源基盤を構築する「デジタルベルト構想」を掲げている。

今後3社は、同実証におけるAPNの接続区間を東北エリアまで拡大し、地域に存在する計算資源や電力を有効活用できる環境づくりを推進していく方針。さらに、分散型データセンターの構築を通じてフィジカルAIの社会実装を加速し、労働力不足の解消に貢献する。