この半導体ニュースのまとめ

・世界の半導体製造材料市場は2025年の651億4000万ドルから2030年に870億6000万ドルへ拡大
・2026年から2030年までの年平均成長率は5.8%となる見通し
・先端リソグラフィ材料、高純度材料、EV・IoT需要、ファブ増強が市場成長をけん引

市場調査会社のThe Business Research Company(TBRC)が発表した世界の半導体製造材料市場に関する調査レポート「Semiconductor Fabrication Material Global Market Report 2026」によると、半導体製造材料市場は2025年の651億4000万ドルから、2026年には前年比6.7%増の695億1000万ドルへ拡大する見通し。さらに、2026年から2030年まで年平均成長率(CAGR)5.8%で推移し、2030年には870億6000万ドルに達すると予測している。

  • 半導体製造材料市場の推移予測

    半導体製造材料市場の推移予測 (出所:The Business Research Company)

先端プロセス向け材料の需要が拡大

半導体製造材料には、半導体回路を形成するシリコンウェハ、回路パターンの原版となるフォトマスク、露光工程で使用するフォトレジストをはじめ、成膜、エッチング、洗浄などの工程で用いる各種材料などさまざまなものが含まれる。

半導体の微細化が進むほど、回路パターンの寸法や膜厚、材料中の不純物、表面状態などに対する要求は厳しくなる。先端プロセスではEUVや高NA EUVの活用が進むほか、トランジスタ構造や配線材料も複雑化しており、それぞれの工程に適した高純度材料や特殊材料が必要となる。

同社は、2030年までの市場成長を支える要因の1つとして、そうした先端プロセス向け材料の利用頻度の向上を挙げている。

また、先端パッケージング分野でも、複数の半導体を高密度に集積するチップレットや2.5D・3D実装の採用に伴い、微細な再配線層やウェハ接合などに用いる材料の重要性が高まっている。

EVとIoT機器の半導体搭載量増加も追い風

アプリケーションとしては、電気自動車(EV)の普及が半導体製造材料市場の成長を後押しする要因の1つとなるとしている。EVには、モーターを駆動するインバータやバッテリ管理システム、車載充電器、DC-DCコンバータ、先進運転支援システム(ADAS)、車載ネットワークなど、多数の半導体が搭載される。

特に、SiCやGaNを用いたパワー半導体の採用拡大は、従来のシリコン半導体とは異なる基板材料や製造プロセス、成膜・エッチングなどの半導体材料の需要増加につながる。

また、IoT機器の普及によって、センサ、通信半導体、マイコン、電源管理ICなどの需要も拡大する。個々の機器に搭載される半導体の数量は限られていても、工場、住宅、都市インフラ、医療、自動車などへ利用範囲が広がることで、半導体製造材料の需要を押し上げるとみられる。

世界的なファブ増設で材料消費量が全体的に増加

各国・地域で進む半導体工場の新設と生産能力増強も、製造材料市場の成長を支える重要な役割を担うこととなる。

半導体工場は量産開始後も、ウェハ、フォトレジスト、成膜材料、エッチングガス、洗浄薬液などを継続的に消費するため、製造装置とは異なり、ファブの稼働率やウェハ投入量の増加が材料需要へ直接反映されやすい。

  • 2026年の主な半導体製造材料市場規模予測

    2026年の主な半導体製造材料市場規模予測 (出所:The Business Research Company)

AI半導体や高性能メモリへの需要を背景に、先端ロジック、DRAM、NANDフラッシュメモリ、先端パッケージングの生産能力増強が進んでいる。経済安全保障やサプライチェーン強化を目的として、北米、欧州、日本などで半導体製造拠点を整備する動きも市場拡大につながる。

同レポートによると、2025年の半導体製造材料市場ではアジア太平洋地域が最大規模となり、2030年までの予測期間においても最も高い成長率を示す見通しである。

AIやロボットを材料ハンドリングへ活用

半導体製造材料市場における技術動向としては、材料そのものの高性能化だけでなく、AIやIoT、ロボットを用いた製造・管理の高度化も挙げられている。

半導体工場では、製造条件や材料の状態、装置の稼働データをAIで分析し、材料使用量やプロセス条件を最適化する取り組みが進む。クラウドを利用したファブデータ分析や、IoTを組み込んだクリーンルーム監視も広がるとみられる。

ウェハや薬液などの搬送・供給工程では、ロボットを活用して作業を自動化し、人の介在による汚染や作業ミスを抑える取り組みも進展する見通し。

半導体の微細化や高集積化によって、材料に求められる純度、均一性、欠陥管理の水準は今後も高まる。一方、世界的なファブ増設によって材料の使用量そのものも増加する。

TBRCは、先端リソグラフィや高純度材料を含む技術の高度化とEV、IoT、AI向け半導体の需要増加、生産能力の世界的な拡大が重なることで、半導体製造材料市場は2030年に向けて安定した成長を続けると予測している。