この半導体ニュースのまとめ
・ガートナーが2026年の半導体市場見通しを4月の1兆3200億ドルから1兆5552億ドルへと上方修正
・半導体メモリの売上高が8373億ドルまで拡大し、半導体市場全体の54%を占めると予測
・AIデータセンター関連の売上比率は2026年の36.5%から2030年には53%超へ上昇
市場調査会社のGartner(ガートナー)は8月24日(米国時間)、2026年の世界半導体売上高が前年比92%増の1兆5552億ドルに達するとの予測を発表した。また、2027年には1兆9399億ドルまで拡大する見通しを示しており、同社が4月に発表した2026年の市場規模予測1兆3200億ドル、ならびに2027年の1兆5545億ドルをともに上方修正した形となった。
市場拡大をけん引するのは、AIインフラへの継続的な投資と、想定を上回るメモリ価格の上昇である。ガートナーは、半導体産業が従来とは異なる新たな成長局面に入り、AIインフラによって半導体需要の構成そのものが変化していると指摘している。
メモリ売上高は2026年に8373億ドルへ
2026年のメモリ売上高は、2025年の2201億ドルから8373億ドルへ拡大する見通し。4月の予測時点では6333億ドルとしていたものが、2000億ドルほど上方修正された形となる。この結果、半導体市場全体に占めるメモリの比率は、2025年の27%から2026年には54%まで上昇し、過半を超すこととなる。
製品別では、DRAMの売上高が前年比246.6%増、NANDフラッシュメモリの売上高が同371.9%増になると予測する。2027年には新たな生産能力が加わるものの、AIインフラの導入拡大によってメモリ消費量が増えるため、需給は引き続き逼迫した状態が続くとみられている。
AIサーバにおける学習や推論に用いるアクセラレータの性能向上に伴い、高帯域メモリ(HBM)の搭載容量が増加しているほか、サーバ当たりのDRAMやストレージ容量も拡大している。こうしたAIシステムのメモリ搭載量の増加と価格上昇が重なったことで、2026年のメモリ売上高が大きく押し上げることになると同社では指摘している。
また、2027年のメモリ売上高は1兆755億ドルとなり、メモリ単体で1兆ドルを突破するとも予測している。同年の世界半導体市場に占める割合も55%程度となり、引き続き市場成長の中心を担う見通しだ。
非メモリ市場も21.9%増の7179億ドル
メモリ価格の上昇が市場全体の成長率を押し上げる一方、メモリを除く半導体市場も堅調に拡大する見込みである。
非メモリ半導体の売上高は、2025年の5890億ドルから2026年には7179億ドルへ拡大し、前年比成長率は21.9%となる見通し。4月の予測では6869億ドルとしていたため、300億ドルほどの上振れということとなる。また、2027年も4月時点の予測値8064億ドルから8644億ドルへと上方修正されている。
背景には、AIクラスタの大規模化、高速化、消費電力の増加に伴い、GPUやAIアクセラレータだけでなく、CPU、ネットワーク半導体、電源管理IC、アナログ半導体、光半導体を活用した光インターコネクトなどへの投資も拡大していることが挙げられる。
AIインフラでは、多数のアクセラレータを高速に接続するネットワークや、増大する消費電力を効率良く供給する電源回路、ラック間やデータセンター間を接続する光通信技術が重要になってきている。このため、AI需要による恩恵は演算用半導体やHBMに限らず、データセンターを構成する半導体の幅広い分野へ波及するようになってきている。
AIデータセンターの売上比率は2030年に53%超へ
ガートナーによると、半導体市場に占めるAIデータセンター関連の売上比率は、2026年の36.5%から2030年には53%超へ上昇する見通しだという。
半導体市場の過半をAIデータセンター関連が占めるようになれば、従来のPCやスマートフォンを中心とした市場構造から、AIインフラが半導体需要を左右する市場構造への転換が一段と進むことになる。
なお、2026年の急成長は出荷数量の増加だけではなく、メモリ価格の上昇による効果を大きく含む。メモリは需給や価格によって売上高が大きく変動するため、今後の設備投資や供給能力の拡大によっては、市場成長率が変化する可能性もあるが、メモリメーカー各社はすでに2027年分の生産枠は完売したとしており、2028年までは改善の見込みがないとする見通しのため、メモリ市場は2027年以降も成長が続くことが予想される。
AIインフラへの大規模な投資継続が、メモリ価格の押し上げにつながるだけでなく、CPU、ネットワーク、電源、アナログ、光通信など周辺の半導体の需要も拡大させていく、現在の流れが持続すれば、2027年には半導体市場全体で2兆ドルを超える可能性も見えてくることになるかもしれない。
