この半導体ニュースのまとめ

・TrendForceは2027年もDRAM需給が逼迫、NANDは供給緩和に向かうと予測
・DRAM不足はNVIDIAのHBM構成縮小やAppleのA20 Pro供給にも波及
・台湾・南亜科技は約1兆7000億円を投じEUV導入で先端DRAMを増産へ

DRAM需給の逼迫が、AI半導体からスマートフォン(スマホ)まで広範な供給網に影響を及ぼし始めている。

2027年はDRAM逼迫、NAND緩和へ

DRAMはHBMやAIサーバ需要の高止まり、CPUの調達増を背景に不足が続き、価格上昇が続いている。TrendForceによると、主要各社は増産や微細化などでビット出力の最大化を図っているが、増産投資の本格寄与は2027年後半以降となり、実質的な貢献は2028年になる見込みだ。2027年のサーバ出荷数量は前年比17%超と予測され、AIサーバ1台あたりのHBM容量増やSOCAMM採用でメモリ需要が拡大する一方、スマホやノートPCなど民生機器は部品価格上昇の小売価格への転嫁により買い替え需要が低迷し、出荷減が続く見通しだという。

TrendForceは2026年のDRAM充足率を約-1〜-2%と推定、2027年も需要が供給を上回り需給ギャップが広がるとみている。一方、NANDは高層化の進展と新工場の稼働によるビット供給の増加と民生需要の低迷により、2027年はバランスの取れた需給状態へ移行すると予測する。NANDはエンタープライズSSDが成長のけん引役となり、CSPや企業顧客による大容量QLC SSDの調達が最大シェアとなる見通しだが、エージェンティックAIの普及が想定を超えれば、高速SSD需要の高まりから需給バランスが崩れる可能性があるともしている。

  • DRAMおよびNANDの最終用途別ビット需要構成比率予測

    DRAMおよびNANDの最終用途別ビット需要構成比率予測 (出所:TrendForce)

NVIDIAはRubin UltraのHBM構成変更を検討

DRAMの供給不足は、AI半導体にも影響を及ぼしつつある。TrendForceによるとNVIDIAが「Rubin Ultra」のHBM構成を、当初の12層HBM4eから8層HBM4eや12層/8層HBM4への変更を検討し始めたとするほか、複数のCSPもカスタムAI ASICのHBM容量削減を検討しているという。2027年のHBMのビット出荷量は前年比50〜60%増が見込まれるがそれ以上の需要増による価格上昇が予想され、調達コストの高騰を背景に、低容量HBMを採用する動きがでてきている。

AppleのA20 Pro供給にも影響、CXMT製DRAM採用の可能性も

スマホも同様で、台湾メディアがTSMCが約10億ドル相当のAppleの次世代プロセッサ「A20 Pro」が前工程を終えながらも、DRAM不足で先端パッケージング「WMCM」を適用できない状態であると報じている。Appleは新型iPhoneシリーズの発表を控え、Micronを軸にSK hynixやSamsung含めDRAM確保に奔走。中CXMTとは価格面で折り合わず調達合意に至っていないとされるが、一部報道で中国市場向けiPhoneとMacBookに限定する形でCXMT製DRAMの性能評価を始めたと伝えている。

NanyaがEUV活用による先端DRAM生産を計画

こうした状況を踏まえ、台湾DRAM最大手の南亜科技(Nanya)が、台湾北部の南林科技園区(新北市泰山区)のFab 5Aに10nm世代プロセス(1C、1D、1E)とEUV露光装置の導入に向け、2026〜2029年にかけて3466億NTドル(約1兆7000億円)を投じると発表した。2027年下半期より稼働し、2029年に月産3万5900枚へ引き上げる計画。5Aはフル稼働時には月産4万5000枚の処理能力を持つという。生産能力の拡充でDDR4市場における価格決定権を握る狙いがあるとの見方もある。