この半導体ニュースのまとめ
・TSMCがCoWoSの次世代技術「CoPoS」量産を見据え、イビデン、Innoluxとガラスコア基板の共同開発を進めていると台湾メディアが報じた
・ガラス基板の採用により、反りや熱膨張、電源整合性の改善が確認され、大型AI GPU向け先端パッケージへの適用が期待される
・TSMCはCoPoSのパイロットラインを構築済みで、TGV形成や大面積反り制御などの課題解決を進め、2~3年以内の量産を目指すとみられる
TSMCは、AIチップ需要の急拡大を背景に、先端パッケージング「CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)」の増産を進める一方、CoWoSのパネル化である次世代技術「CoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)」の取り組みを加速する先端パッケージング・サプライチェーンの構築に向けて「Glass Substrate Development for CoWoS(CoWoS向けガラス基板開発)」と題した新たな計画を提示したと複数の台湾メディアが報じている。
TSMCがCoPoS向けガラス基板開発を加速、イビデンとInnoluxが協力か
またTSMCは2026年6月11日、日本で開催された国際電子回路産業展「JPCA Show 2026」において、「AIの進化に不可欠な先端パッケージング技術」と題する講演に登壇。そこで公開されたスライド資料を台湾の先端パッケージング・サプライチェーン関係者が分析したところ、TSMCがイビデンおよびInnolux(群創光電)と協力し、CoPoS用ガラスコア基板を開発していることが確認されたと台湾メディアは伝えている。この構造は3層設計を採用し、ガラスコアを上下2層のABFビルドアップ層で挟み込むことで、CoPoS体系における重要な「oS(on Substrate)」部分を構成している。
CoWoSのパネル化を担うCoPoS、AIチップ需要拡大で重要性高まる
ガラス基板は、低反り、低熱膨張、高剛性、優れた信号・電力特性を兼ね備えていることから、CoWoSのパネル化として「ポストCoWoS時代」を担う重要技術として業界の注目を集めている。
ガラスコア基板で反りと熱膨張を抑制、電源整合性も改善
台湾の半導体サプライチェーン関係者情報によると、TSMC、イビデン、Innoluxの3社による共同開発とシミュレーション検証の結果、ガラス基板の導入により、パッケージの反りを測る指標であるCOP(Coplanarity)は16%改善し、有効熱膨張係数(Effective CTE)は19%低下、有効弾性係数(Effective Modulus)は31%向上することが確認されたという。さらに、電源整合性(Power Integrity)の面でも、抵抗値が27%、インダクタンス値が42%それぞれ減少したとする。総じて、ガラス基板の採用によってパッケージの総合性能(PKG Improvement)が引き上げられることが示されたという。
5倍レティクルサイズの大型パッケージで検証
また、今回TSMCが検証に用いたサンプルは、0.8mmのガラスコア基板(Glass Core Substrate)を採用し、パッケージ仕様は5倍レティクルサイズ(5x Reticle CoW)、全体のパッケージサイズは85mm×110mmという、大型AI GPUクラスのスペックだという。
サプライチェーンに提示した計画書でTSMCは、量産までには解決しなければならぬ課題があるとして、今後はガラスの厚み(Glass Thickness)や大型CoWoSパッケージのレイアウトに関する研究と検証を継続する必要があると強調している。一方で試験中に重大な反りや層間剥離(Delamination)が発生しなかったことを明らかにし、ガラス基板の実装信頼性が一定水準に到達しつつあることを示したという。
ガラス基板(Glass-SBT)と従来の有機基板(Organic-SBT)の比較検証結果は、Glass-SBTが「より薄型で優れたCOP特性」を実現したのに対し、Organic-SBTは「厚みが増すにもかかわらずCOP性能が劣る」結果を見せたとし、ガラス基板はパッケージの薄型化を可能にすると同時に、極めて高い平坦性と信頼性を両立できるとTSMCは結論付けた。
イビデンがガラス基板開発で存在感、先端パッケージ基板の主導権確保へ
台湾の半導体サプライチェーン関係者によると、今回、イビデンがTSMCの検証パートナーとして名を連ねたことが注目を集めている。NVIDIAやIntel向け高性能パッケージ基板の主要サプライヤで、岐阜県の事業場を中心に総額5000億円規模の設備投資を進めるイビデンが、AI向け先進封止需要の拡大を背景に、ガラス基板分野でも主導的な立場を確立する可能性があると関係者はみている。
TSMCはCoPoS量産へ、TGVや大面積反り制御が今後の課題
TSMCの魏哲家(C.C.Wei)会長は、今年6月初旬の株主総会で、同社がCoPoSのパイロットラインを構築済みであり、2~3年以内に大規模量産を実現する見通しであることを明らかにしている。業界関係者は、ガラス基板の本格採用には、貫通ガラスビア(TGV)への銅充填や大面積の反り制御、歩留まりの向上といった核心的な技術課題の解決が依然として必要であると指摘しており、TSMC、イビデン、Innoluxの3社は、サプライチェーンの協力を得て、これらの課題解決し、量産化に向けて協業する見込みである。