この半導体ニュースのまとめ
・Patentixが「びわこ半導体構想」の最初の取り組みとして技報創刊号を発行
・創刊号では次世代パワー半導体材料r-GeO2の開発背景や最新成果、社会実装ロードマップを紹介
・GeO2ウェハ供給網の構築、パワー半導体実用化、搭載製品の共同開発を産学官連携で推進
「びわこ半導体構想 技報」の創刊号を発行
Patentixは8月6日、2026年5月に発足した産学官連携オープンイノベーション拠点「びわこ半導体構想」の最初の取り組みとして、「びわこ半導体構想 技報」創刊号を発行したことを発表した。
びわこ半導体構想は、次世代パワー半導体技術の実用化・普及を目指す取り組みで、参画企業・研究機関、自治体、金融機関などが連携し、次世代パワー半導体材料であるルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO2)を核とした研究開発とサプライチェーン構築を推進するもの。公式サイトでは、GeO2ウェハのサプライチェーン構築、GeO2パワー半導体の実用化・普及、GeO2半導体搭載製品の共同開発推進を掲げている。
脱炭素化で注目を集める次世代パワー半導体
今回発行された技報創刊号では、Patentixが取り組むr-GeO2について、開発の背景、最新の研究成果、社会実装に向けたロードマップ、オープンイノベーション戦略などを掲載したとしている。
現在、脱炭素化やエネルギー危機を背景に、次世代のパワー半導体への期待が高まっている。すでにSiCやGaNなどが次世代パワー半導体として実用化されているが、さらなる高耐圧化や低損失化ニーズに対応する超ワイドバンドギャップ(UWBG)半導体の実用化が求められるようになっている。
Patentixが開発を進めるr-GeO2は、SiCやGaNを上回るバンドギャップを有し、高耐圧・低ON抵抗が期待される材料である。また、ほかのUWBG材料と異なり、理論的にはp型・n型の両伝導が可能とされている点も特徴。p型とn型の双方の制御により、SBDだけでなくMOSFETなど、より幅広いパワーデバイスへの展開が可能になる。
すでにPatentixでは、2026年5月に6インチSi基板上へのr-GeO2単結晶薄膜(GeO2 on Si)の成膜に成功したことを報告しており、技報でもこの取り組みのほか、p型伝導性の実証に向けた検証、高耐圧SBDやMOSFETの動作実証成果などが取り上げているとする。この6インチGeO2 on Si基板は、2027年からのサンプル試作が予定されている。
社会実装に向け3種類の基板開発を推進
また、社会実装に向けては、量産化を見据えたヘテロエピ基板(GeO2 on Si)、転写基板、そしてミニマルファブを活用したバルク基板の3つを開発ターゲットとしていることを説明したとしている。
さらに、びわこ半導体構想としては、研究開発成果の発信だけでなく、参画機関・支援機関との連携によるサプライチェーン構築も重視しているとする。
同構想の公式Webサイトでは、滋賀県、草津市、甲賀市、金融機関、立命館などが支援機関として示されている。Patentixは立命館大学発のスタートアップであり、滋賀県草津市の立命館大学BKCインキュベータ内に拠点を置く。創業以来の12億900万円の累計資金調達額を達成しており、こうした調達資金を活用することで6インチGeO2半導体基板およびGeO2パワーデバイスの開発を進め、基礎研究から実用化開発フェーズへ移行する方針を示しているが、そうした半導体材料の社会実装には、材料開発、成膜装置、基板加工、デバイスプロセス、評価、実装、量産、アプリケーション開発まで、幅広い企業・研究機関の連携が必要となる。特にr-GeO2は新材料であるため、基板やデバイス単体の開発にとどまらず、製造装置、プロセス、評価技術、用途開拓を含めたエコシステム形成が重要になるため、オープンイノベーションとして広くさまざまな企業や機関などの参画を求めることを重要視しているものとみられる。
びわこ半導体構想が技報を発行するということは、この取り組みを通じて研究成果や技術動向を継続的に発信していき、参画企業・機関との連携を深めることで、GeO2ウェハ供給網の構築、GeO2パワー半導体の実用化、GeO2半導体搭載製品の共同開発を進め、日本発UWBG半導体の実用化を目指して取り組んでいくという意思を内外に示す取り組みであると言えるだろう。
