この半導体ニュースのまとめ
・レゾナックの2026年上期は売上収益6769億円、コア営業利益888億円と大幅増益
・半導体・電子材料はAI向け後工程材料を中心に売上収益2990億円、コア営業利益815億円へ拡大
・AI向け材料好調を受け、半導体・電子材料の通期予想を売上収益6680億円、コア営業利益1950億円へ上方修正
半導体・電子材料が全社業績をけん引
レゾナック・ホールディングスは8月6日、2026年12月期中間期(2026年1~6月期)の決算を発表した。
それによると売上収益は前年同期比5%増の6769億円、コア営業利益は同2.6倍(157%増)となる888億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は同2.5倍(147%増)の485億円となった。売上収益については、クラサスケミカルの減収や自動車成形部材事業の譲渡などの影響があったものの、半導体・電子材料セグメントの増収がそれらを上回ったとしている。
業績を大きく押し上げたのが半導体・電子材料セグメントの内容は、売上収益が前年同期比30%増の2990億円、コア営業利益が同92%増の815億円としている。EBITDAマージンも前年同期の27.8%から35.2%へと改善しており、AI向け先端半導体材料の需要拡大が、収益性の引き上げにもつながったとしている。
また、2026年4~6月期の半導体・電子材料セグメントの売上収益とコア営業利益は四半期ベースで過去最高となったとしており、全社のコア営業利益増加額542億円のうち、半導体・電子材料セグメントの増益寄与は390億円で、販売数量差だけで316億円の増益要因となった。
先端パッケージング需要で後工程材料が躍進
半導体・電子材料セグメントをサブセグメント別に見ると、半導体後工程材料の伸びが目立つ。
2026年1~6月期の半導体後工程材料の売上収益は1600億円で、前年同期比46%増となった。主にAIを中心とする先端パッケージング向けに販売数量が増加したことが背景にある。AI半導体では、GPUやアクセラレータの高性能化に伴い、パッケージ基板、実装材料、放熱材料など後工程で用いられる材料に対する要求が高まっており、同社の材料ポートフォリオがその需要を取り込んだ形となる。
半導体前工程材料も、メモリ市況の回復基調を背景に前年同期比12%増の456億円と成長を果たした。デバイスソリューションも、ハードディスク(HD)メディアのデータセンター向け需要が堅調に推移したことや、SiCエピタキシャルウェハで一部顧客の需要増があったことから、同13%増の634億円となった。
同社がAIサーバ向け後工程製品として狭義に位置付けているのは、ノンコンダクティブフィルム(NCF)、AI向け銅張積層板(CCL)、放熱材料のTIM(Thermal Interface Material)の3製品である。決算説明会で同社は、これらにAI半導体向け材料を加えたベースで見ると、2026年第2四半期のAI関連売上ボリュームは第1四半期比で約1.5倍に拡大したと説明している。
また通期では、AI向け製品の売上高が2025年度比で2倍超になる見通しであるとも説明。特に伸びが大きいのがCCLで、2026年度は2025年度比で4倍弱の売上規模を見込むとしているほか、NCFとTIMについても、それぞれ同2倍弱の伸びを見込むとしている。
CCLを中心に下期供給量を引き上げ
レゾナックが今回、2026年12月期通期業績予想を上方修正した背景には、AI向け材料の需要が5月時点の見立てを上回っている状況にあるためだという。
同社は5月の予測時点では外部環境の不透明さを踏まえ、業績予想の見直しを見送っていた。しかし、その後、AI周辺の半導体材料への引き合いが下期にかけて強まったことに加え、ボトルネックとなっていたCCLの部材調達について、想定よりも確保できる見通しが立ったことから、CCLを中心に下期の供給量を増やせると判断したとしている。
加えて、CCLについては、同社がターゲットとしていた30%の値上げに対し、顧客との交渉が相応に進んでおり、下期以降にその価格改定効果が顕在化する見込みであることも含まれている。またHDメディアについても、顧客との価格改定交渉が進んでおり、下期から値上げ効果を織り込んでいるという。
半導体材料では、需要の強さだけでなく、どの製品に限られた生産能力を配分するかも重要になる。説明会では、AI向けのハイエンド製品に加え、準ハイエンドやその下位グレードもある中で、全体のキャパシティの中で配分を調整しながら生産計画を立案していることを強調していた。
半導体・電子材料の通期予想を大幅上方修正
通期業績予想では、クラサスケミカルのパーシャル・スピンオフ実行を前提に同セグメントを非継続事業として扱うことから、売上収益は従来予想の1兆3100億円から1兆1650億円へ引き下げた。一方で、コア営業利益は従来予想比40%増となる1960億円へ上方修正している。
半導体・電子材料セグメントについては、通期売上収益予想を従来の5700億円から6680億円へ、コア営業利益予想を1280億円から1950億円へ、それぞれ大幅に引き上げた。下期だけで見ると、同セグメントの売上収益は3690億円、コア営業利益は1135億円を見込む。EBITDAマージンは下期で37.8%、通期で36.6%を想定している。
全社ベースでも、クラサスケミカルを除く継続事業のEBITDAマージンは通期で24.4%を見込む。レゾナックは長期ビジョンでEBITDAマージン20%を目標として掲げてきたが、半導体・電子材料の高収益化により、その水準を上回る収益体質が見え始めている。
同社は、半導体にはサイクルがあるとしつつも、サイクルが悪い局面でもEBITDAマージン20%を下回らないレジリエントな収益体質の構築を目指す考えを示している。
AIデータセンター向けにHDメディアも投資前倒し
半導体・電子材料領域では、AI向け後工程材料に加え、データセンター向けHDメディアの需要も注目される。
レゾナックは7月、HDメディアの生産能力増強に向けて150億円規模の設備投資を行うことを発表している。今回の説明会では、この投資について、昨年までは想定していなかったものを、AIデータセンター向け需要の高まりを受けて前倒しで決定したものだと説明した。
AIデータセンターでは、GPUやHBMだけでなく、学習データ、推論データ、ログ、バックアップなどを保存する大容量ストレージへの需要も拡大している。SSDに注目が集まっているが、HDDは安価な大容量ストレージとして引き続き重要な役割を担っており、HDメディアを手掛けるレゾナックにとっても、中期的な需要拡大を見込める領域となっている。
同社は、半導体・電子材料について今後も積極的に設備投資を行う方針を示している。2026年以降の「フェーズ2」では、これまで進めてきたポートフォリオ改革や構造改革に加え、より成長を取りに行く方向に舵を切るとしており、HDメディア投資はその象徴的な取り組みと位置付けられる。
装置納期長期化を踏まえ、前倒し投資も検討
なお今後の増産投資について、同社は製品ごとに需要の見通しや顧客との協議状況を見極めながら判断していく方針である。
2026年内については、これから設備投資を行っても年内の売り上げの増加にはつながりにくいため、主な焦点は2027年以降の成長に向けた能力拡張となる。決算説明会では、2027年の設備投資についてはかなり固まりつつあり、すでに2028年以降の製造能力拡張に向けた議論を進めているとする状況説明を行っていた。
また、製造装置の発注から納入までのリードタイムが長期化していることも、投資判断を早める要因になっていると指摘。需要が堅いと見込める製品については、装置納入の遅れで供給機会を逃さないよう、前倒しで投資判断を行う姿勢を強めるとしており、積極的な生産能力拡大に基づく顧客需要への対応を図っていくことで、さらなる成長につなげていきたいとしている。






