この半導体ニュースのまとめ

・onsemiがGaNパワーポートフォリオ「GaNEXUS」を発表し、40V~650VのGaN FETと650V Smart品のサンプル出荷を開始
・AIデータセンター、48V電源、ロボティクス、産業機器、エネルギーインフラ向けに高効率・高電力密度化を狙う
・TreoプラットフォームやSi、EliteSiCと組み合わせ、電力供給チェーン全体で最適化を図る構え

AIデータセンターと産業機器向けにGaN製品群を拡充

onsemi(オンセミ)は、新たなGaNパワーポートフォリオGaNEXUS」を立ち上げたことを発表した。初期ラインアップは40V~650VのGaNEXUS FETと、保護機能を内蔵したGaN FETである650VのGaNEXUS Smartで構成され、現在サンプル提供中としている。想定用途は、AIデータセンター向け電力供給、48Vシステム、ロボティクス、産業オートメーション、エネルギーインフラなど、高効率かつ小型の電源アーキテクチャが求められる分野としている。

同社はGaNEXUSを、既存のシリコン製品群やSiC製品群「EliteSiC」と並ぶインテリジェントパワーポートフォリオの一角に位置付ける。これにより顧客は、電力供給チェーン全体にわたり、効率、熱特性、システムサイズ、トータルコストを用途に応じて最適化できるようになるとしている。

高速スイッチングと低損失で、磁性部品や冷却系の小型化を狙う

GaNEXUSの訴求点は、高速スイッチング、低スイッチング損失、高電力密度、優れた熱性能にある。従来のシリコンベース電源と比べ、磁性部品や冷却機構の小型化を図りながら、システム全体の効率と応答性を高められるという。とくにAIデータセンタやロボティクスでは、限られたスペースにより大きな電力を収める必要があり、従来電源アーキテクチャの制約を超える材料としてGaNを前面に出している。

Treoと組み合わせ、システムレベルの電力最適化へ

GaNEXUSは単体デバイスとしてだけでなく、同社のTreoプラットフォームと組み合わせたシステム提案も意識している。Treoはセンシング、制御、保護、電力管理を統合するプラットフォームであり、GaNEXUSを組み合わせることで、よりスマートで信頼性が高く、堅牢なシステムレベルの電源ソリューションが可能になるという。設計簡素化、開発や認定期間の短縮、熱設計負荷の軽減、電力供給チェーン全体での性能最適化を狙う構成だ。

これにより、例えばAIサーバ向け48V中間バスコンバータ(IBC)やバッテリバックアップユニット(BBU)、モータ駆動などの低・中電圧領域において、磁性部品の約30~60%小型化、電力密度の約1.5~2倍向上、トポロジーに応じて約0.5~2%の効率改善、そしてスイッチング損失を提言し、熱特性と制御の安定性を強化することもできるとしている。AIパワーシェルフ、高電圧DC-DC変換、PFC、LLCパワーステージなどの高電圧アプリケーションにおいても、高周波AC-DCおよび共振ステージで磁気部品のサイズを最大約60%低減、PFC、LLC、HV DC-DCアーキテクチャにおいて約1.5~2倍の電力密度を実現、大規模運用において、熱負荷および運営コストに影響をもたらす約0.5~1%の効率向上、損失の低減により小型で高出力のシステムにおける熱ストレスを緩和、GaNEXUS Smartによる、システムリスクの低減とパワーステージ設計の簡素化、認定期間の短縮と高い信頼性の実現などができるとしている。

AI電力需要の拡大を背景に、GaNをSi/SiCと並ぶ柱へ

GaNEXUS投入の背景には、AIインフラ、自動車の電動化、産業オートメーション、エネルギーシステムで高効率かつコンパクトな電源構成への要求が強まっていることがある。シリコン、SiC、GaNの3本柱をそろえたことで、それぞれの用途や電圧帯ごとに最適なデバイスを提案しやすくなり、その中でもGaNEXUSは、幅広い電圧ニーズに対応する位置づけの製品群となりそうである。