onsemiが縦型GaNパワー半導体を商用化
onsemiは、独自のGaN-on-GaN技術を採用することで、より高い電圧で電流を垂直に流すことで、より高速なスイッチングとコンパクトな設計を可能にした縦型GaN(vGaN)パワー半導体を開発したことを発表した。
縦型パワー半導体のメリット
縦型のパワー半導体は、従来の横型構造とは異なり、電流が化合物半導体を垂直(つまり表面位置して縦)方向に流れることで、より高い動作電圧と高速なスイッチング周波数を達成できるという特徴をもつ。この特徴により、AIデータセンター、電気自動車(EV)、再生可能エネルギー、航空宇宙・防衛・セキュリティなどの分野において、より小型かつ軽量なシステムが実現できるようになり、同社では、エネルギー損失と発熱の抑制ができるようになり、損失を約50%低減することが可能となると説明している。
縦型GaNパワー半導体については、GaN-on-GaN基板の大口径化が難しく、結晶欠陥が多いとされており、日本でも各所で研究が進められてきたものの、量産には至っていない。onsemiでは、縦型GaNパワー半導体を手掛けていたNexGen Power Systemsの半導体工場(米国ニューヨーク州シラキュース)が2023年末に操業を停止したのに伴い、2024年に同工場を買収。その後、密かに縦型GaNパワー半導体の開発を継続してきた。NexGenのCEOで共同創設者だったDinesh Ramanathan氏は現在、onsemiでコーポレート戦略担当シニアバイスプレジデントを務めている。
700Vおよび1200V品のサンプル提供を準備中
onsemiによると、開発したvGaN技術を活用したGaNパワー半導体は、このシラキュース工場で開発され、同工場にて700Vおよび1200V製品の製造を進めており、現在、サンプルの提供に向けた準備中とのことで、すでに一部のアーリーアクセスの顧客に向けて評価用としてサンプルが提供されている模様である。

