この半導体ニュースのまとめ
・AIの進化がトレーニング中心から推論・エージェントAIへ移行し、メモリ需要が拡大
・DRAM・NANDともに供給不足が続き、価格上昇と市場規模の拡大が予測
・高性能SSDやHBMなど次世代メモリ技術が成長ドライバーに
TrendForceの最新の半導体メモリ調査によると、AI開発が大規模モデルのトレーニングから推論中心のエージェントAIへと移行するにつれ、メモリ需要の構造的な拡大が進む結果生じる供給不足は短期的には解消される見込みがなく、価格はさらに上昇すると同社は予測している。
この価格上昇を踏まえ、同社ではメモリ市場予測の引き上げを行い、2026年の予測値を前回予測の5516億ドルから8893億ドルに、2027年も8427億ドルから1兆2800億ドル以上へと上昇修正したという。
AIシフトが生むメモリ需要拡大と価格上昇
DRAMの需要動向としては、エージェントAIでは推論が単一のクエリ(質問文)から連続的な反復サイクルへと進化するほか、KVキャッシュ(Key-Value Cache:生成AIで文章を生成する際の計算をスキップし、処理を高速化するために使用されるキャッシュメモリ)容量はコンテキストウィンドウの拡大に比例して増加している。再計算が必要な場合、計算コストは指数関数的に増加するため、効率的なKVキャッシュ管理はAI推論の性能に重要であり、HBMやDRAMの需要を押し上げている。
CPU負荷増加とサーバ構成の変化
エージェントAIのワークロード増加に伴い、CPUの負荷が増加しており、AIサーバプラットフォームは、CPUとGPUの比率が従来の1:8から1:4以上へと移行しつつある。これは、CPUの導入拡大に伴い、サーバのDRAM容量も拡大すると同時に、調達量と契約価格の維持も必要になることを意味している。
さらに、HBM生産に伴うウェハ消費量の増加が従来型DRAMの生産能力を圧迫しており、サプライヤ側の価格決定力を強めるため価格上昇の勢いは2027年まで続く見通しのため、同社では2026年のDRAM市場を前年比303%増6187億ドルへに、2027年も同46%増の9033億ドルへと拡大すると予測している。
NAND市場も急成長 - クラウド投資とAI需要が牽引
NANDも、世界トップ9社のクラウドサービスプロバイダ(CSP)の設備投資総額の増加にけん引される形で急速に伸びると予測され、2026年を同280.7%増の2706億ドル、2027年を同40.2%増の3794億ドルと予測している。
エージェントAI普及が生む次世代メモリ技術の需要
根本的な要因は、やはりエージェントAIの使用拡大で、トークン量の増加に伴うメモリ使用量の向上で、HBMでは大規模な展開にコストがかかりすぎる一方、HDDではアクセス速度と消費電力の制限によるリアルタイムAIデータセンターのワークロードには適していない。
高性能SSDがAI時代の成長ドライバーに
この動きNANDに成長機会をもたらしており、SCM(ストレージクラスメモリ)SSDやHBF(広帯域フラッシュメモリ)、SLC(シングルレベルセル)/pSLC(疑似シングルレベルセル) SSDなどの高性能SSD技術が、エコシステムの複数のレイヤーにわたるAI推論、トレーニング、エージェントワークロードに急速に浸透し、主要な成長ドライバーとして台頭してきており、日本のキオクシアのさらなる成長などにつながることが期待される。
