この半導体ニュースのまとめ
・2026年第1四半期のNANDフラッシュ上位5社の売上合計が前四半期比83.7%増の389億ドル超へ拡大
・AIサーバー需要とHDD不足を背景にエンタープライズSSDへのシフトが加速
・少なくとも2026年は供給不足が続き、高価格維持とサーバー用途主導の市場構造に
TrendForceは5月25日、半導体メモリの1種であるNAND型フラッシュメモリ市場に関する最新調査結果を発表した。それによると、2026年第1四半期における主要5社の売上合計は前四半期比83.7%増の389億ドル超となったという。AIサーバー需要の急拡大と供給制約が重なり、価格上昇が市場全体を押し上げた形だ。
AIサーバー需要がSSD市場を押し上げ
今回の市場拡大の主因は、AIインフラ構築に伴うエンタープライズSSD需要の急増にある。高速データ転送と大容量ストレージが必要となるAIサーバーでは、従来以上に高性能なSSDが求められている。
加えて、HDDの供給不足が構造的に続いていることも影響し、ストレージ用途の一部がQLCを採用したエンタープライズSSDへと移行している。これによりSSD需要がさらに押し上げられる形で市場構造の変化が加速しているとTrendForceでは指摘している。
価格上昇と供給制約が市場成長を主導
需給ひっ迫を背景に、NANDの平均販売価格(ASP)は市場予想を上回る水準で推移したことが主要因となり、各社の売り上げを押し上げた形となった。
2026年第2四半期に入っても供給不足は解消されない見通しであり、スマートフォンやPC向け需要が価格上昇により抑制される一方で、サーバー向け需要がそれを補う構図が続くとみられる。
サムスンが首位維持、各社とも大幅増収
メーカー別ではSamsung Electronics(サムスン)が首位を維持した。第1四半期の売上高は前四半期比で104.7%増の135億ドル規模としている。ASPの上昇とサーバー製品の出荷数量の増加が寄与する形で市場シェアも31%台へ拡大した。
2位のSK hynixグループは同44.6%増の約75億ドルとしており、QLCエンタープライズSSD需要の拡大を背景に成長を確保した模様である。3位のキオクシアも好調で、売上高は同80.0%増の約60億ドル規模としており、価格上昇の恩恵を受ける形で収益性が改善した。
4位のMicron TechnologyとSandiskもキオクシアとほぼ同水準の約60億ドルという売り上げを確保した。それぞれ前四半期比で約97%増という高い伸びを示しており、中でもSandiskはデータセンター向け事業の伸びが同200%超と顕著で、製品ミックスの高付加価値化が寄与したとされる。
2026年は供給制約が継続、サーバー用途優先へ
TrendForceは、主要メーカー各社が2026年中は大規模な新規生産能力の増強を計画していないことを指摘している。このためAI関連需要の強さを背景に、供給不足は年間を通じて継続する可能性が高い。
同時に、生産リソースはサーバー向けストレージに優先的に割り当てられる傾向が続くとみられ、モバイル向けなど他用途への供給は制約を受ける可能性がある。
AIインフラ材料へと構造変化が進むNAND
今回のTrendForceの調査から見えてくるのは、NAND市場が従来のPCやスマートフォン中心の需要構造から、AIデータセンター中心へと急速に移行している点だろう。
特にQLCエンタープライズSSDの普及や高層化NANDの採用拡大は、単なる容量増加ではなく、AI処理に適したストレージアーキテクチャへの転換を意味する。TrendForceでも200層以上のNAND製品が2026年末までに市場の主流になるとの見方を示している。
こうしたサーバー用途での活用による市場拡大を鑑みると、NANDはもはや汎用的な不揮発性メモリという位置づけではなく、AIインフラを支える基盤部材の1つとして位置付けられ始めていると見ることができ、今後も市場の成長は、データセンターサーバー用途に強く依存する構造が続くとみられる。
