この半導体ニュースのまとめ

・先端半導体デバイス市場は2031年に2025年比2.3倍となる224兆円規模へ拡大
・AI関連市場は2031年に130兆円規模となり、全体に占める比率の6割弱へ拡大
・HBM・AIアクセラレータ・ネットワークICが成長のけん引役となりメモリ市況が全体の好不調を左右する存在に

富士キメラ総研が、AIやデータセンター需要の拡大を背景とした先端半導体市場の調査結果をまとめた「2026 先端/注目半導体関連市場の現状と将来展望」を発表した。

それによると、対象とする生成AI、エッジAI、DX/GXを実現する先端/注目半導体デバイス15品目の世界市場は、2031年に2025年比2.3倍の224.0兆円へと拡大することが予測されるという。

AI関連半導体が市場の主役に、比率は6割弱まで拡大

対象15品目の半導体市場の拡大の中核を担うのがAI関連半導体となる。調査では、サーバー向けCPU、AIアクセラレータ、データセンター向けスイッチIC、HBMなどで構成されるAI関連市場が、2031年に同4.4倍の130.0兆円へと拡大することが予測されており、市場全体に占める割合も2025年の3割強から6割弱へと高まる見込みだという。

  • 先端/注目半導体デバイス15品目の世界市場推移

    先端/注目半導体デバイス15品目の世界市場推移。2026年は見込み、2027年以降は予測 (出所:富士キメラ総研)

背景には、生成AIやデータセンター投資の継続的な拡大があり、半導体需要の構造がこれまでのモバイル(スマートフォン)中心から、AIインフラ中心へと転換しつつある点がある。

最大成長分野はHBM、2031年には約50兆円市場に成長

製品ごとの動向をみると、HBMの成長が突出しており、2031年には同12.1倍の49.7兆円に達する見込みとする。複数のDRAMダイを積層し、TSVで接続することで高帯域化を実現したHBMは、AIアクセラレータの高性能化を実現するうえで欠かせない要素であり、需要そのものが拡大し続ける上に、AI処理の高性能化ニーズへの対応として、容量の増加、ダイ積層数の増加、パッケージの高度化などの課題を同時に進める必要があり、単価の高くなる傾向があり、こうした背景から市場の成長率が高くなるとする。

また、2026年はメモリが全体的に供給不足となる中にあって、AIサーバの需要拡大と高性能化に伴うニーズへの対応としてHBMの製造をDRAMサプライヤ各社が優先的に進めていることから、供給不足には陥らないとの見方を示している。

  • メモリ(従来型DRAM/HBM/NAND)の市場推移

    メモリ(従来型DRAM/HBM/NAND)の市場推移。2026年は見込み、2027年以降は予測 (出所:富士キメラ総研)

メモリ市場が落ち着きを取り戻すのは2020年代後半

一方で、DRAMやNANDといったメモリ市場全体としては、2026年に供給不足による価格高騰を背景に急拡大するものの、DRAMサプライヤ各社の供給能力が増強される2028年ごろには需給が緩和し、価格が2025年水準へ回帰する見通しだとする。

その結果、2020年代後半には市場が一時的に横ばいまたは縮小する可能性がある。半導体市場はシリコンサイクルと呼ばれる好不況の波が繰り返されてきたが、その都度、メモリメーカー各社の業績はアップダウンを繰り返してきた。今後の半導体市場も、そうしたこれまでの流れ同様、メモリの市況の影響を受けることとなり、AI需要による成長とメモリ市況の循環による調整の組み合わせで推移するものと見られる。

AIアクセラレータは性能向上と単価の上昇で市場が拡大

AIアクセラレータ市場は2031年に同約2.9倍となる約71.5兆円へと拡大する見通し。

この成長は単純な出荷数量の増加だけでなく、高性能なGPUの需要の増加と、それに伴うHBM搭載数量の増加、ならびに先端パッケージングの進化による単価の上昇が影響する点が特徴といえる。

また、2027年以降は推論用途チップやクラウド事業者による自社開発品の生産量増加、中国メーカー製品の増加などにより、ローエンドからミドルレンジ帯の裾野の拡大も進む見込みだとしている。

データセンター向けスイッチICの市場規模は8倍増へ

データセンターの上層部ネットワーク接続通信機器であるスイッチ機器を制御するスイッチIC市場も、2031年に同約8倍増となる8.4兆円規模に達すると予測される。

AIサーバーは、ラック内のAIアクセラレータ同士をすべてラック内のスイッチで接続するラックスケールAIシステム化が進んでおり、スイッチICの重要性が高まっている。

さらに、CPO(Co-Packaged Optics)の導入による高付加価値化に伴う単価上昇も市場成長を押し上げる要因と考えられ、今後の大規模システム化により成長が期待できるとしている。

AI半導体市場のけん引役のすそ野が拡大

AIニーズの世界的な拡大と、さらなるAIの進化に向けたAIデータセンターの規模の拡大に伴い、AIシステムの構成がこれまでのロジック中心から、メモリやパッケージ、そしてネットワークを含めた全体を最適化する方向にシフトしつつある現在。今回の調査レポートは、そうした構造転換を示すものと言えるだろう。