具体的には、実験的な手法として、ミスト化学気相成長(ミストCVD)法を用いた全組成範囲における「r-GexSn1-xO2薄膜」の合成と物性の解析から行われたところ、組成の変化によって、格子定数およびバンドギャップを変調できることが判明。それと同時に、r-GexSn1-xO2混晶薄膜の各組成における格子定数とバンドギャップの値が、第一原理計算から算出された値ならびに傾向と一致することが確認されたほか、0≦x≦0.57(x:薄膜内のGe組成)におけるn型伝導性が実証されたとする。

  • ルチル型酸化物混晶系の結晶構造と結晶における電子の移動についてのイメージ

    ルチル型酸化物混晶系の結晶構造と結晶における電子の移動についてのイメージ (出所:京大プレスリリースPDF)

また、理論的な手法として、第一原理計算を用いて、r-GexSn1-xO2とr-GexSi1-xO2混晶のバンドアライメント解析が行われたところ、r-GexSn1-xO2ではGe組成の増加、r-GexSi1-xO2混晶ではSi組成の増加によるバンドギャップの増大が予測されたとするほか、各組成における伝導帯と価電子帯の挙動から、r-GeO2ならびにGe含有量の高い組成のr-GexSn1-xO2におけるp型ドーピングの可能性、ならびにr-SiO2ならびにSi含有量の高い組成のr-GexSi1-xO2の障壁層としての有用性が示唆されたとする。

研究チームでは今回の研究を踏まえ、今後、パワーデバイスへの応用を目指した、r-GeO2をはじめとするルチル型酸化物半導体に関する研究・開発のさらなる発展が期待されるとしている。