今回も前回に引き続き、「変更履歴」の使い方を紹介しよう。ここでは、変更履歴の表示モードを切り替える方法と、複数のユーザーが校閲した文書の操作、自分のユーザー名を変更して校閲する方法を見ていく。変更履歴を快適に利用するためのテクニックとして、覚えておくと役に立つだろう。

  • 変更履歴の表示モードとユーザー名の変更

    変更履歴の表示モードとユーザー名の変更

変更履歴の表示モード

まずは、変更履歴の「表示モード」を切り替える方法から紹介していこう。以下の図は、ある学生が書いたレポートを担当教官が添削した様子だ。ただし、変更箇所が多く、かなり読みづらい表示になっている。

  • 大量の変更履歴が記録されている文書

    大量の変更履歴が記録されている文書

このような状態では、「どこを、どう修正すべきか?」を把握するだけでも多くの時間を費やしてしまう。また、添削している担当教官も「正しく修正できたのか?」を確認しづらい状況になってしまう。

こういうときのために、変更履歴の表示モードを切り替える方法を覚えておこう。変更履歴の表示モードは、「校閲」タブにある以下のコマンド(変更内容の表示)を操作すると切り替えられる。

  • 変更履歴/コメントの表示方法の変更

    変更履歴/コメントの表示方法の変更

全部で4種類の表示モードが用意されているので、それぞれの特徴を順番に紹介しよう。

「シンプルな変更履歴/コメント」を選択すると、すべての修正を反映した後の文章が表示される。校閲者が「正しく修正できているか?」を確認したり、修正を依頼した人が「最終的にどのような文章に修正されたのか?」を確認したりする場合に活用できるだろう。

  • 「シンプルな変更履歴/コメント」の画面表示

    「シンプルな変更履歴/コメント」の画面表示

「すべての変更履歴/コメント」は、変更履歴の表示モードの初期値となる。原文に赤字修正を追記した形になり、「どこを、どう修正すべきか?」を一目で確認できるのが利点といえる。ただし、今回の例のように赤字修正が多すぎると、かなり読みづらい文面になってしまう。

  • 「すべての変更履歴/コメント」の画面表示

    「すべての変更履歴/コメント」の画面表示

「変更履歴/コメントなし」を選択すると、すべての修正を反映した後の文章が表示される。「シンプルな変更履歴/コメント」と同じ表示になるが、こちらはコメントも非表示になるのが相違点となる。

  • 「変更履歴/コメントなし」の画面表示

    「変更履歴/コメントなし」の画面表示

「初版」を選択すると、すべての変更履歴が非表示になり、修正前の原文だけが表示がされる。修正を依頼した人が「自分はどのような文章を書いていたのか?」を確認する場合などに活用できる。

  • 「初版」の画面表示

    「初版」の画面表示

このように、4種類の表示モードを切り替えながら修正箇所を確認していくと、「原文」と「修正後の文章」を比較しやすくなり、修正の指針を把握しやすくなる。赤字修正が多すぎる場合の対処法として、覚えておくと役に立つだろう。

「吹き出し」として表示する内容の選択

文書の右側に「吹き出し」として表示されている内容をカスタマイズする機能も用意されている。こちらは「変更履歴とコメントの表示」コマンドにある「吹き出し」の項目で表示内容を変更すればよい。

  • 「吹き出し」として表示する内容の指定

    「吹き出し」として表示する内容の指定

ここで「変更履歴を吹き出しに表示」を選択すると、書式の変更だけでなく、本文の修正も「吹き出し」として表示されるようになる。ただし、修正箇所が多すぎると以下の図のような表示になり、訳の分からない状態になってしまう。

  • 「変更履歴を吹き出しに表示」の例(1)

    「変更履歴を吹き出しに表示」の例(1)

一方、それほど修正が多くない文書では、これが最も見やすい表示方法になるかもしれない。本文エリアには修正後の文字だけが「赤字」で表示され、修正前の文字は「吹き出し」に表示される、という状態になる。

  • 「変更履歴を吹き出しに表示」の例(2)

    「変更履歴を吹き出しに表示」の例(2)

「すべての変更履歴を本文中に表示」を選択した場合は、本文の修正だけでなく、書式の修正も本文エリアに表示されるようになる。ただし、書式を変更した後の状態で画面が表示されるため、書式変更を見落としてしまう危険性がある。よって、あまり利用頻度は高くない表示方法と考えられる。

  • 「すべての変更履歴を本文中に表示」の例

    「すべての変更履歴を本文中に表示」の例

校閲ユーザーの選択

状況によっては、ひとつの文書を複数人でチェックする(回覧する)ケースもあるだろう。この場合、「赤字」だけでなく「青字」など、校閲者ごとに色分けされた状態で変更履歴が表示される仕組みになっている。

  • ユーザー別に色分けされた校正履歴

    ユーザー別に色分けされた校正履歴

このように複数人が校閲した場合は、特定のユーザー(校閲者)だけを「色付き」で表示することも可能だ。以下の図は、「霜垣律人」の修正箇所だけを「色付き」で表示した例となる。

  • 特定のユーザーだけを色付きで表示する操作

    特定のユーザーだけを色付きで表示する操作

ただし、この場合は、オフにしたユーザーの変更履歴が普通に「黒色」で表示されることに注意しなければならない。このため、修正前の文字(削除する文字)と修正後の文字がダブって表示されてしまう。

  • 通常の文字として表示された変更履歴

    通常の文字として表示された変更履歴

「特定のユーザー」だけを強調する表示方法として効果的ではあるが、その反面、「他のユーザー」の変更履歴が本文を乱してしまうことに注意しておく必要がある。

変更履歴オプション

変更履歴の表示を細かくカスタマイズできる設定画面も用意されている。この設定画面を呼び出すときは、以下のように操作しよう。

  1. 「校閲」タブを選択する
  2. 「校正履歴」グループの右下にある「小さい四角形」をクリックする
  3. 「詳細オプション」ボタンをクリックする
  • 変更履歴オプションの表示

    変更履歴オプションの表示

すると、以下の図のような設定画面が表示され、各々の表示方法を細かくカスタマイズできるようになる。各設定項目の「色」を変更して、全ユーザーの修正箇所をすべて「赤色」で表示する、などのカスタマイズも行える。

  • 変更履歴の詳細オプション

    変更履歴の詳細オプション

モノクロの文書であれば、少しくらい色数が多くなっても問題はないが、カラーの文書の場合、「本来の文字色」と「各ユーザーの色」が混同することになり、修正箇所を判別しづらくなってしまう恐れがある。

このような場合は、ユーザーに関係なく、すべての変更履歴を赤色で表示するようにカスタマイズすると、修正漏れを回避しやすくなる。

ユーザー名の一時的な変更

最後に、ユーザー名の一時的な変更について紹介しておこう。取引先から文書の校閲を依頼されたが、実際に取引先と連絡を取っているのは社内の同僚であり、自分は窓口ではない、というケースもあるだろう。

この場合、自分の名前を文書に残すことに抵抗を感じるかもしれない。しかし、普通に修正作業を進めていくと、自分のユーザー名が「校閲者」として文書に記録されてしまう。このような状況に陥ったときは、一時的にユーザー名を変更してから校閲作業を進めていくとよい。

  1. 「校閲」タブを選択する
  2. 「校正履歴」グループの右下にある「小さい四角形」をクリックする
  3. 「ユーザー名の変更」ボタンをクリックする
  • ユーザー名の変更(1)

    ユーザー名の変更(1)

すると「Wordのオプション」が表示されるので、「ユーザー名」を適当な名前に変更する(頭文字は空白でも構わない)。さらに、「Officeへのサインイン状態にかかわらず、常にこれらの設定を使用する」をオンにしてから「OK」ボタンをクリックする。

  • ユーザー名の変更(2)

    ユーザー名の変更(2)

これで校閲者のユーザー名を変更できる。以下の図は、本文内にある文字に「下線」の書式を指定した例だ。校閲者が、先ほど変更したユーザー名で記録されていることを確認できるだろう。

  • ユーザー名を変更して記録した変更履歴

    ユーザー名を変更して記録した変更履歴

このようにユーザー名を一時的に変更することで、自分の名前を伏せたまま校閲作業を進めていく方法もある。校閲作業が済んだ後は、先ほどと逆の操作(ユーザー名を本名に戻す、チェックボックスをオフにする)を行うと、元のユーザー名に戻すことができる。

以上、細かな点も含まれるが、変更履歴を上手に活用するための補助機能として覚えておくと役に立つだろう。