「女性が活躍しやすい職場」と聞くと、どのような会社を思い浮かべるでしょうか。女性の管理職比率が高い会社や多様性が認められている会社、出産・育児等のライフイベントを迎えた際も働き続けられる会社など、きっとイメージはさまざまでしょう。企業等も社員の要望に応えて多種多様な方法で「女性が活躍しやすい職場」を実現しています。
そこで今回は令和4年度東京都女性活躍推進大賞を受賞した企業・団体のみなさんにインタビューを実施!「女性の活躍」をテーマに、独自の制度や取組について教えてもらいました。
東京都では、女性の活躍を推進するため、
優れた取組を行っている企業や団体等を「東京都女性活躍推進大賞」として
表彰しています。
介護職を「大変な仕事」から「いい仕事」に!
社会福祉法人フレスコ会
事業内容
台東区で特別養護老人ホーム84床・ショートステイ11床を運営。
教えてくれるのはこの人!
大熊未沙さん
特別養護老人ホームフレスコ浅草で勤務。入居者と職員の全体統括、研修、人事や採用活動などを担当している。
入職の理由は、当時設立1年目だったフレスコ会に入職すれば、施設を新しく作っていく過程に携わることができると思ったから。また、大好きな浅草で働けるという点も決め手のひとつ。
―― 新しい施設だからこそできるやりがいに魅力を感じて入職されたのですね。
そうです。以前働いていた施設は、行事に関しても毎年やることが固定化されていました。しかし、フレスコ会にはまだそうした「定番の行事」はなかったため、入居者様のことを考えて一から企画できます。季節を感じられるようなイベントを定期的に行っていますが、毎年同じイベントはない、というくらい新しいことだらけです。提案がしっかり通る風土なので、自分のやりたいことを積極的に発信できます。
―― 貴団体では介護職のイメージアップに向けて働き方改革を推進されていると伺いました。具体的な取組内容を教えてください。
法律で定められている人数よりも多くの職員を配置しています。職員のやりたいことができる風土や、ハードワークになりすぎない環境を整えるためにも、基準より多い人数を確保しました。入居者様にとっても、人手が充実していることは安心感につながっていると思います。
また、看護師が24時間いることや、常勤の医師を配置するといった医療職との密接な連携も特徴です。介護職が夜勤中などに不安を感じたとき、いつでも医療職に相談できるのは心強いと思います。
夜勤時間の短縮にも取り組みました。一般的には16時間夜勤が主流ですが、フレスコ会では8時間夜勤を導入しています。朝7時までの8時間夜勤にすれば、お子さんが寝ている間に働けるので、子育て中の職員からも重宝されています。
今年度からは、年間好きな所で5連休を取得できる制度を始めました。年度初めに連休をとる時期を決めて、プライベートもしっかり楽しんでもらっています。
―― 取組を始めたきっかけを教えてください。
離職率が高い介護業界において、フレスコ会では、性別に関係なくみんなが働きやすくなるにはどうしたらいいかを考え、取組につなげてきました。
5連休の取得は、職員からのアイデアで生まれた制度です。リーダー会議で「これがあればもっとがんばって働きたいと思えるもの」を話し合っていたとき、「連休がほしい」という意見が出て実施につながりました。もともと連休を取得できるような年間休日数でしたが、早めに休暇の計画を立てられれば、仕事へのモチベーションにもなります。
―― リーダー会議では職員の意見を積極的に取り入れているのですね。
業務改善のために、働きにくいところはないか常に話し合っています。コロナ禍で外出が難しくなったときには職員や入居者様のストレスがたまりやすくなったので、制限の多い中でも楽しいイベントを実施するために必要なことなどを話し合いました。
―― 取組後、どのような影響や変化がありましたか?
新卒で入職した職員の定着率がよくなりました。教育制度も、実際に教育を受けた人の意見を取り入れて毎年ブラッシュアップしています。
また、5連休をきっかけに入居者様と職員とのコミュニケーションが盛り上がったこともあります。私も連休を使って京都と大阪に旅行しましたが、お土産を配ったり旅先での思い出を話したりと、自然と話題が増えるんです。プライベートの時間を充実させることは職員自身のためにもなりますし、話を聞く入居者様の楽しみにもつながると思います。ほかの職員も連休明けに話が弾んでいるので、制度の実施に関わった私も嬉しくなりました。
―― 大熊さんが活躍できていると感じるのはどのようなときですか?
人が成長していく姿を見ると、私も活躍できていると思えます。人材育成に関わる場面が増えたので、研修から帰ってきてどこか吹っ切れたような表情をしている職員を見ると嬉しくて。研修から持ち帰った知識や技術は必ず入居者様の役に立っていると思います。
▲ 職員たちと会議をしている様子
―― 大熊さんが描く、今後のプランや目標を教えてください。
フレスコ会が運営する施設はまだ1つだけですが、今後はもう少し規模を大きくしていく予定です。その中で質の向上にも取り組み、職員がもっと楽しく充実して働けるようにしていきたいと思っています。
また、私が介護職だと知ると「大変ですね」と返す人が多いので、「いい仕事をしていますね」と真っ先に思ってもらえるように社会のイメージを変えていきたいです。
Message
福祉を目指す学生さんの数が減っていますが、私たちフレスコ会は「やりがいのあるいい仕事」だと思って働いています。介護職に魅力を感じて、自分がやりたい介護とは何かを考えながら目指していただけると嬉しいです。
少しでも介護に興味があったり迷っていたりしたら、ぜひ私たちと一緒に働きましょう。説明会や見学会に参加してみるのもおすすめです!
* * *
専門性を尊重し、働きやすさとやりがいを実現!
社会福祉法人東京児童協会
事業内容
都内22カ所で認定保育園・認定こども園を運営。
教えてくれるのはこの人!
藤井さん
葛西大きなおうち保育園で勤務。看護師として、子供たちや職員の健康管理、保護者からの相談などに対応している。
大学病院で赤ちゃんを診る仕事をしていたが、出産を機に夜勤が難しいと感じ、これまでの経験を活かし、日中に働ける保育園を志望。現在働いている保育園は「第二のおうち」を理念に掲げており、クラスに関係なく保育園全体が「おうち」として子供たちを見守っている雰囲気が気に入っている。
―― 貴団体では看護師、栄養士、保育士の方など多くの方が働かれている中で、一人ひとりが活躍できる職場づくりを推進されていると伺いました。具体的にどのような取組をされているか教えてください。
看護師の専門性をより活かせるように、法人全体で看護師会議を毎月行っています。主に健康教育やリスクマネジメント、コロナ対策などのプロジェクトを作って話し合っています。特徴的なものでは、看護師チームによる「いのちキラキラプロジェクト」という、子供向けの健康教育があります。
毎年看護師チームの中から数名が立候補し、「いのちをまもる」をテーマにその時の状況に沿った健康教育を考えて実践しています。私も昨年度、メンバーとして参加し、「コロナを恐れず新しい生活様式を受け入れるために何ができるか」を伝えていきました。
―― 取組が始まったきっかけを教えてください。
「いのちキラキラプロジェクト」は、法人の保育園で働いていた看護師が、専門性をより活かして働くために理事長先生に提案して始まりました。専門性を活かすことは仕事のやりがいや職員の生きがいにつながります。
また、理事長先生自身も普段から「職員一人ひとりにしっかり活躍してほしい」と考えています。子供たちに学びの場を提供するためには、職員自身の笑顔も大切です。そのため、職員が笑顔で働ける体制作りや健康のサポートなどに力を入れています。
―― 「いのちキラキラプロジェクト」に参加してみて、いかがでしたか?
子供たちに伝えることの難しさを痛感しました。大学病院で看護師として働いているときは子供向けの健康教育に携わる機会がそれほどなかったため、子供たちにわかりやすく伝える方法がわからなくて。園内の保育士さんにもアドバイスをもらいながら準備をしました。ほかの職種の方とも連携を取りながら、良い経験ができたと思います。
▲ 「いのちキラキラプロジェクト」での様子
―― ほかにも働きやすさを感じた制度などはありますか?
私が利用している「限定職員」という制度です。保育園そのものは土曜日も開園していますが、私は子供と過ごす時間を作るためにカレンダー通りのお休みで、勤務時間を1日6~8時間にしてもらっています。毎月勤務時間を見直すことができるので、ライフスタイルに合わせて選べて助かります。
以前引っ越しをしたのですが、通勤時間が長くなり、従来の働き方では生活との両立が難しくなりました。もし勤務時間を短縮できなければ、引っ越すタイミングで辞めていたかもしれません。また、職場に子育て世代の方が多いので、子供が急に熱を出したときにも休みやすくて助かりました。最初は申し訳ないと思いがちでしたが、職場の雰囲気のおかげで今では罪悪感なく子育てにも専念できています。
―― 藤井さん自身も職場の環境改善に取り組んでいるとお聞きしました。
法人全体の衛生委員会に参加しています。衛生委員会とは、50人以上の職員がいる大型園に設置が義務づけられている組織です。東京児童協会では法人全体で環境改善に取り組むために、園の垣根を越えた独自の衛生委員会を作りました。
各園の看護師たちがお互いの園を巡視しあい、改善案やアドバイスを出しています。毎日その園にいると慣れてしまって気づきにくい部分がありますが、ほかの人の視点があれば危険性の高い場所にいち早く気づいたり、より働きやすい環境を作ったりできるはずです。
また、産業医の意見にもしっかり権限を持たせて、職員と上司との橋渡しをしています。病気の症状に応じた適切な勤務時間などを産業医が判断して取り入れているので、療養から復帰する人も働きやすくなりました。
―― 藤井さんが活躍できていると感じるのはどのようなときですか?
保護者の方が「藤井先生いますか?」と名指しで頼ってきてくださったときは、普段の仕事が実を結んだと感じます。園には看護師が1人しかいないので、保護者に覚えてもらいやすくて。子供たちも私に「ちゃんとマスクをしてきたよ!」など健康や風邪予防の取組をアピールしてくれるので嬉しいです。
―― 藤井さんが描く、今後のプランや目標を教えてください。
専門性を活かして、子供たちにより多くのことを伝えていきたいです。コロナ禍の影響で区の離乳食講座がなくなってしまうなど、保護者支援があまりできない現状もあって……。たった1回の講座でもその成果が入園後にしっかり現れるので、入園前の保護者支援や子育て支援にも力を入れていきたいです。
Message
ライフステージごとに大切にしたい内容は、人それぞれだと思います。今自分が何を大切にしたいかをしっかり見極めて、そのときどきの職場や仕事を選んでみてはいかがでしょうか。私がいる法人のように柔軟な働き方が選べる職場もいいですし、仕事に専念したければ業務内容が充実している職場を選んでもいいです。みなさんが自分を大切にできる職場に出会えることを祈っています。
* * *
職員の持ち味がより輝くよう、環境や制度を整えてきた2団体。大変なイメージが先行しがちな介護施設や保育園ですが、女性も活躍できる魅力的な職場を実現していました。
今回の2団体以外にも東京都女性活躍推進大賞受賞企業・団体のインタビューを公開していますので、ぜひチェックしてみてください!
ほかの受賞企業・団体のインタビューはこちら!
[PR]提供:東京都