「女性が活躍しやすい職場」と聞くと、どのような会社を思い浮かべるでしょうか。女性の管理職比率が高い会社や多様性が認められている会社、出産・育児等のライフイベントを迎えた際も働き続けられる会社など、きっとイメージはさまざまでしょう。企業等も社員の要望に応えて多種多様な方法で「女性が活躍しやすい職場」を実現しています。
そこで今回は令和4年度東京都女性活躍推進大賞を受賞した企業・団体のみなさんにインタビューを実施!「女性の活躍」をテーマに、独自の制度や取組について教えてもらいました。
東京都では、女性の活躍を推進するため、
優れた取組を行っている企業や団体等を「東京都女性活躍推進大賞」として
表彰しています。
若手社員でも経営会議のリーダーに!
株式会社吉村
事業内容
日本茶を主とする食品包装資材の企画・製造・販売
教えてくれるのはこの人!
高橋愛里さん
販売サポート部課長。顧客からの注文内容を社内システムに入力するほか、内覧会の運営や販促活動の提案などを行っている。経営会議のリーダーも担当。
入社の理由は「社長の人柄」に惹かれたから。面接したときに「この人には何でも言えそう」と柔らかい雰囲気を感じたこと、会社全体も風通しが良さそうと、入社を決めた。
―― 高橋さんが所属している販売サポート部は、新たにできた部署だそうですね。設立の背景には「マネジメントは男性」「補佐は女性」といった風土をなくしたいという思いもあったとのことですが、具体的にどういった経緯でできた部署か改めて教えていただけますか?
販売サポート部は元々、営業から指示をもらって作業をする営業事務という補佐のような業務を担当していました。ただ、社内で「ピンクカラージョブ(※)みたいで嫌だよね」という雰囲気が強まり、販売サポート部として独立させたんです。
※伝統的に女性が従事することの多い職種・仕事。吉村では定型的な事務業務のみ行うことを指している。
ほかにもデザインを担当しているクリエイティブデザイン部が同じような経緯で独立しています。部署の独立の背景には、「自立した社員を増やしたい」という会社の方針も関係していると思います。「女性が多い部署だから独立させよう」というよりは、自ら主体的に仕事のできる“自走力“のある社員を増やすための取組だったかもしれません。
―― 貴社では無意識の男女別役割分担意識をなくそうと積極的に取り組まれていると伺いました。具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか?
実は弊社ではすでに「男性だから」「女性だから」という意識が、ほぼなくなっています。そのため仕事をしていても男女差をあまり感じませんし、特別な取組があるとも思っていません。それでも強いて挙げるなら、入社3年未満の社員が経営会議に参加する「21世紀枠」という取組は特徴的だと思います。女性社員も積極的に参加しており、私も6年前から経営会議の副リーダー、昨年からはリーダーを担当しています。
―― 女性社員や若手社員の方も積極的に参加されているのですね!参加し始めてから、経営会議はどう変わりましたか?
以前は、課長以上の社員が参加するような堅い雰囲気のある会議でしたが、取組を始めてからは会議の雰囲気がやわらかくなったと思います。また、経営にあまり関わってこなかった社員の視点が加わることで、斬新なアイデアが出るようになりました。
―― 高橋さん自身も部署の独立や経営会議の参加などによる影響を実感したことはありますか?
部署が独立してからは、営業と販売サポート部が対等な立場で話せるようになったと感じています。営業が意見を真剣に聞いてくれますし、販売サポート部への相談も増えました。また、経営会議に参加したことで視野が広がったと実感しています。以前は自分の仕事だけで手一杯でしたが、経営会議でさまざまな部署の視点や仕事内容を知り、俯瞰して物事をとらえられるようになりました。
▲ 社内会議の様子
弊社ではそのほかにも「ノーベル起案」という制度があり、規定の用紙に必要事項を書けば誰でもアイデアを提出できるんです。トップダウンではなく、性別や年齢に関係なく社員一人ひとりの意見を積極的に取り入れてくれることを実感しますね。
―― 高橋さんが貴社に入社してよかったと思ったことや、活躍できていると感じたことを教えてください。
弊社はとにかく「やりたいことにチャレンジさせてくれる会社」です。社長の橋本(久美子)が「チャレンジして起きた失敗は悪いことではない」と考えているので、社員たちの間でも「とりあえずやってみる」が合言葉になっているんです。そんなところが入社してよかったと感じます。
自分らしく活躍できていると感じるのは、何か決め事をするときです。会議を回すことに得意意識を持っているのですが、実際に「高橋が進行していると、すぐ決まるよね」「まとめ方が上手いよね」と言ってもらえると嬉しいです。
―― 高橋さんが描く、今後のプランや目標を教えてください。
昨年の10月から販売サポート部の課長になったので、みんなに楽しく働いてもらうための工夫をしていきたいです。例えば、人は不得意な仕事をするよりも、得意な仕事をするときのほうがワクワクしますよね。そんなワクワクを増やしていけたらという思いで、メンバーの「得意不得意表」というものを作って、部署内の見える化に取り組み始めました。これは販売サポート部と同時期に独立したクリエイティブデザイン部が独自に考えて作ったものです。心理的安全が担保されて自己開示が率直にできると、助け合って成果を出すことが当たり前になり、デザインの採用率の向上や生産性アップにつながっていくという過去の経験から、これを始めました。この成功事例を、販売サポート部でも取り入れたいと準備をしているところです。
▲ 得意不得意表の一部
また、部署を超えた社内の連携も強化していきたいです。複数の部署が連携することで相乗効果を生みだせば、よりお客様の力になれると思うので、まずは私自身が販売サポート部と営業の架け橋になりたいと考えています。
Message
私は学生時代、社会人になることに恐怖を感じていました。生活リズムも変わりますし、責任もアルバイトとはまったく違います。しかし、チャレンジや責任感をむしろ楽しめるようになれば、仕事へのやりがいや生きがいを感じるはずです。また、会社の中には絶対に自分を理解してくれる人がいます。何事もあまり重く受け取らずに人に相談しながら取り組んでいただけたらと思います。将来の楽しさも考えながら就職活動に取り組めば、自分の人生に花を添えられると思うので、ぜひがんばってください!
* * *
個人に合わせた20種類以上の勤務形態!
株式会社ノヴィータ
事業内容
WEBマーケティング支援、コンテンツ企画制作、人材サービス
教えてくれるのはこの人!
藤村咲希子さん
WEB制作のプロジェクトを推進するディレクター。2022年2月からは、ディレクターが所属する部門においてリーダーとして育成にも携わっている。
1年間インターンに参加して、入社前から社内の風土がわかり、さらに自分が働いているイメージも持てたので入社を決めた。
―― 貴社では女性が働きやすい職場づくりを進めていると伺いしました。具体的な取組内容を教えてください。
弊社では在宅勤務を基本として、一人ひとりに合わせた勤務形態を採用しています。一部の勤務形態においては3ヵ月ごとに内容を見直していて、例えば、「子どもの夏休み期間は育児の負担が大きくなるので、勤務時間を短めに調整する」といった活用の仕方をしています。社員一人ひとりに合わせてフレキシブルに対応しているうちに、いまや勤務形態は20種類以上にもなりました。
―― 取組を始めた経緯を教えてください。
2016年1月に現社長の三好(怜子)が出産を経験したことが大きなきっかけでした。育児と仕事の両立にトライすると、さまざまな壁があることがわかったそうです。「ほかの社員には大変な思いをさせたくない」という考えから、働き方を整備するようになりました。
▲ 全社員が参加するミーティングの様子
―― 藤村さん自身も、取組の効果を感じましたか?
働き方が整備されたおかげで、仕事のために何かを“諦めなければいけない”というマイナスな気持ちになることが少なくなりました。私自身は現在フルタイムで働いており、今すぐに時短勤務などの制度を活用する予定はありませんが、会社に相談しやすい環境が整っているので安心して働けます。また、同じメンバーと長く仕事ができることもありがたいです。もし勤務形態などの制度が充実していなければ、ライフステージの変わり目で、退職や転職を選ぶメンバーもいたかもしれません。しかし、弊社では働き続けることが当たり前になっているので、プロジェクトをとりまとめていく必要があるディレクターとしても安心感があります。
―― 貴社では働き方やキャリアをテーマとしたウェブメディア「ラシク(LAXIC)」を運営されています。これはどのようなメディアですか?
当初はワーキングマザー向けのメディアとして、よりよい働き方を模索する女性の姿を中心に発信していました。ただ、コンテンツを制作していくうちに、社会全体で働き方へのニーズが多様化していることに気づいたんです。そこでラシクもリニューアルして、働くママさんに向けた情報に限らず、より柔軟で自分らしい働き方の価値を提供していくことになりました。
今後は企業向けの情報もさらに強化して、他社の働きやすさも後押ししたいです。参考になる社内外の事例も紹介できればと思っています。性別に関係なく、全員の働き方を考えることで、結果的に女性も働きやすくなるはずです。
―― 藤村さんが仕事で活躍できていると感じるのはどのようなときですか?
お客様に感謝されたときや、提案を「いいね」と気に入っていただけたときです。日々の積み重ねを振り返ったとき、できることが増えていたり、お客様のお役に立てていたりすると、やりがいを感じます。
―― 藤村さんが描く、今後のプランや目標を教えてください
昨年の2月からリーダーになり、後輩を育成する機会が増えました。今はまだ「この仕事をやってね」とピンポイントでお願いすることが多いですが、徐々に後輩が取り組む仕事の幅を広げられるよう、伴走の仕方を試行錯誤したいと考えています。自分が新人だったころに取り組んで大変だった仕事については、後輩たちに同じ思いをしてほしくないので、改善案も考えます。私ができることを後輩に伝え、後輩はさらにその下の後輩に教えていくことで、部全体の可能性や機動力を高めたいです。
Message
私がそうだったのですが、エントリーシートを書いていた頃と、入社したあとは見える世界がまったく違うはずです。華々しく見える仕事も、実際は地道なやりとりの上に成り立っています。
だからこそ、少しずつできることを積み重ねて階段を上っていけば、着実に仕事が上達すると気づきました。就職活動中はとてもいい経験が得られると思います。みなさんもさまざまなことにチャレンジして、気づきを糧にしてほしいです。
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若手社員の意見を取り入れられるよう経営会議を工夫したり、一人ひとりの生活に合わせた働き方を用意したりと、誰もが働きやすい職場作りに取り組んでいた東京都女性活躍推進大賞受賞企業。インタビュー中も笑顔が絶えず、働くことへのやりがいや楽しさがにじみ出ていました。
今回の2社以外にも東京都女性活躍推進大賞受賞企業・団体のインタビューを公開していますので、ぜひチェックしてみてください!
ほかの受賞企業・団体のインタビューはこちら!
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