近年、企業の業務を通して自然環境への貢献を行うSDGs、従業員や地域、社会に対して責任のある行動をとるCSR活動に積極的に取り組む企業が増えています。

今回は全3回の連載企画! 高速道路事業を通したSDGs/CSR活動を実践しているNEXCO東日本の取り組みに迫ります。第1回は、2年前に設置された新しい事務所「札幌管理事務所」で働く佐々木慎治さんにインタビュー。

道内最大の交通量を誇り、降雪地帯としても知られる札幌エリアではどのようなSDGs/CSR活動を行っているのでしょうか?

- 札幌管理事務所 -

道央自動車道と札樽自動車道、後志自動車道の維持管理と料金サービスの業務を行う。日本有数の降雪地帯において、利用者が安全で快適に利用できるよう管理を徹底している。

- インタビュイー -

佐々木 慎治さん
2014年、NEXCO東日本入社。宇都宮管理事務所、ネクスコ・メンテナンス北海道旭川事業所、新潟管理事務所を経て、2020年7月より札幌管理事務所に勤務。現在は、事務所の統括や予算の管理を担当している。

NEXCO東日本 札幌管理事務所の仕事とは

降雪地帯ならではの工夫

――札幌管理事務所での業務内容を教えてください。

札幌市を中心に延びる札樽自動車道と道央自動車道、後志自動車道の3路線、約123kmの高速道路維持管理を24時間365日行っています。

――札幌ならではの高速道路の特徴を教えてください。

連続高架橋を採用している点です。連続高架橋の下には国道が走っており、さらには人家もたくさんあります。このような特殊な条件のなかでの作業には工夫が必要で、たとえば除雪し溜まった雪は人家に当たらないようダンプで運搬します。溜まった雪を道路外に飛ばす除雪方法を採用できないため、労力や時間、更に費用もかかります。

連続高架橋

↑国道や民家に隣接する「連続高架橋」

――降雪地帯であることも大きな特徴ですよね。

そうですね。やはり降雪は北海道ならではの特徴です。毎年10月中旬から4月中旬までを雪が降る「雪氷期間」と設定しているのですが、この期間は積雪対策や降雪に伴う緊急事象対応に集中することになるため、雪氷期間以外で済ませなくてはいけない作業がたくさんあるんです。

道路の損傷や設備の故障などの補修は5月初旬から10月末頃までのおよそ半年間で終わらせないと、その後は降雪のために作業ができなくなってしまいます。そのために、しっかりとした計画を立ててスケジュールに沿って行動しています。

――雪が多い期間は、吹雪による通行止めなど大変な苦労がありそうですね。

いざという時に困らないよう、天気予報は常に把握しています。毎日、朝7時と16時になると、株式会社ウェザーニューズから天候情報が送られてきます。それを私と課長職以上、そしてグループ会社のネクスコ・メンテナンス北海道のメンバーで共有するんです。そのうえで、朝9時と16時に事務所内社員及びグループ会社が参加する判定会議でその日の動きを決めます。

高速道路の整備がSDGsにつながる!?

――NEXCO東日本ではSDGs/CSR活動に積極的に取り組んでいるとのことですが、日頃の業務がどのような形で社会貢献につながっているのでしょうか?

弊社のSDGs/CSR活動における大きなコンセプトは「地域をつなぎ、地域とつながる」です。高速道路を安全安心、快適便利に利用いただき、地域の皆さんのお役に立つことが最も大切な社会貢献だと考えています。

札幌管理事務所は、維持管理を行う区間が積雪寒冷地で、かつ連続高架橋を設置しているのが特徴です。さらに、札幌市内や小樽を結ぶ道内でも交通量が多い区間、いわゆる北海道の動脈を管理しているので、必然的に道内で一番の交通量が発生します。このような条件下なので、お客さまにご不便をかけないよう、いかにスムーズな高速道路管理を行うかを日々考えるだけでなく、常に実施と改善を繰り返してより良い高速道路環境の実現を目指しています。

札幌インターチェンジ

↑NEXCO東日本 札幌管理事務所のすぐそばある札幌インターチェンジ

――利用者の皆さんが高速道路をいつも通りに使えることが何よりも重要なのですね。

管理事務所が常に目指すべき状態は「何も起こらないこと」だと思っています。特別なことが何も発生せず、誰にも褒められない状態が理想的です。もちろん、そのうえで更なる快適性をご提供することは大切ですが、いつも通りであることは最低限達成しなくてはなりません。

――降雪や事故などの影響で渋滞が起こった場合は、どのような対応をされていますか?

除雪や通行止めをいち早く解除するために、関係各所と連携を取って人員を配置することはもちろん、公式のSNSで現状をこまめにお伝えしています。ご迷惑をおかけしている利用者の皆さまに「今はこれぐらい吹雪いています」「このように作業しています」などと広報することで、少しでもご理解をいただければと考えています。

NEXCO東日本だからこそ得られるやりがいとは?

――現在の業務に感じているやりがいを教えてください。

「高速道路の維持管理に不可欠な各社員が担当する業務を、滞りなく進めるために自分は何ができるか」についていつも考えていてその使命感はやりがいにつながっています。また、常に事務所一丸となって動いているので、何か不具合が起きても「こういう準備をしていたからうまくいったね」と全員で共有し合い北海道の動脈となる重要な路線の管理を担っていることに大きな達成感を覚えます。

――事務所内では、若手の社員さんが活躍できる環境が整っているようですね。

入社してまだ2年目で、道路補修の工事を発注し億単位の仕事を成立させている社員もいます。工事は冬までの限られた期間で終わらせないといけないため責任は大きいのですが、やり遂げたときには達成感を抱いてくれています。また、同じく入社2年目で、一般の方が事故を起こした際の対応・管理を行っている社員もいます。たとえばガードレールが損傷するなどの問題が起きた場合、当事者の方と保険会社の方とも連絡を取り合うような難しい仕事です。

彼らは責任ある仕事にやりがいを感じてくれていますが、当然困ることもあるはずです。そういう時は、私を含め経験年数のある社員が的確にレクチャーを行いサポートするよう心がけています。

――佐々木さんが入社された時には想像していなかった、業務の魅力とは何でしょうか?

マネジメントの仕事なのでデスクワークが主だと思っていたのですが、思っていたよりも現場での作業が多く、さまざまな学びを得ています。また、転勤や出向によって、まったく違う環境でキャリアを積めるのも貴重な経験です。

入社間もない段階から現場の最前線を経験できる環境なので、大きい裁量の業務を担当することができます。私がまだ一人前にはほど遠かったころ、同じ部署の先輩社員たちがしっかりとサポートしてくれていました。今はその時の先輩への恩返しも込めて、後輩たちのサポートを行うようにしています。

NEXCO東日本でしか得られないやりがいとは?
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NEXCO東日本で実現する、これからのSDGs

――高速道路を安全快適に維持管理するために導入している、最新技術を教えてください。

たとえば、事故が起きた場合だと、今までは現地に行って「ここは起点から何キロ地点か」を調べる必要がありました。しかし、今はキロポストを表示するアプリがあるため、発生場所が何キロ地点なのかをすぐに把握することができます。そして、そのアプリ内で写真を撮ると別のアプリと連携し撮影場所が地図に表示されるので、社員は各自に支給されているタブレットで事故現場をすぐに確認できるんです。

また、高速道路のあらゆる場所にカメラを設置しており、事故や渋滞、吹雪の状態をリアルタイムでチェックできるシステムも整えています。さらに、現地に赴く社員は車のフロント部分にカメラを付けて動画を撮影し、その映像を事務所のメンバー全員が見られる状態にしています。そのうえで各地の様子は無線機で伝達しているので、リアルタイムで関係者全員が状況を共有できるんです。

――SDGsの観点から、この先持続的に実現したい試みはありますか?

現在、準天頂衛星システム「みちびき」を活用して「自律走行機能付きロータリ除雪車」の自動運転試験を行っています。除雪車を運転する技術者の高齢化や人口減少を解消するためです。今ある課題を改善しながらより高いクオリティで除雪作業を行うことで、今まで以上に、高速道路を安全快適にご利用いただきけるようになればと思っています。

――最後に、札幌管理事務所として、今後目指しているSDGsへの貢献方法やCSRの実現方法を教えてください。

何よりも「交通を止めないこと」を最優先に考えています。それがお客さまへの最大の恩返しで、かつ使命ですから。今後も「地域をつなぎ、地域とつながる」をコンセプトに、各種工事に励み、広報もきちんと行い、安全にご利用いただける維持管理に努めたいと思います。

NEXCO東日本のSDGsとCSRまとめ


・常に安心安全な状態を目指し、「地域をつなぎ、地域とつながる」
・吹雪、事故、渋滞などの非常時に、連携プレーで素早く対応
・公式SNSで、交通状況をこまめに発信
・アプリやGPSなどの最新技術導入で、作業を迅速化

NEXCO東日本のSDGs/CSRについて
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[PR]提供:東日本高速道路株式会社