※この記事は2025年4月2日時点の情報をもとに執筆しています。

3月28日、ついにプロ野球が開幕しました! 2023年から2年連続で5位と辛酸をなめてきた東京ヤクルトスワローズの開幕対戦カードは、昨シーズン4年ぶりのリーグ優勝を果たした読売ジャイアンツでした。

結果は、痛恨の3連敗……。5点差を逆転された開幕戦のショックを引きずってしまったのか、2戦目も3戦目も攻守に精彩を欠き、残念ながら開幕ダッシュは失敗に終わりました。

しかし、4月2日のホーム開幕戦では、8回裏に古賀優大選手の起死回生の同点打で3点差を追いつくと、延長10回裏に丸山和郁選手がサヨナラタイムリーを放ち、劇的な今シーズン初勝利を収めたのです。

村上宗隆選手や塩見泰隆選手など、主力が怪我で離脱している中、厳しい状況は続きそうですが、とはいえ、まだまだシーズンは始まったばかり。当然、諦めるには早すぎます。

そこで今回は、東京ヤクルトスワローズの2024年シーズンを振り返りながら、これから上位進出を目指して巻き返していくために欠かせない条件を見ていきましょう!

昨シーズンに続き、今年も開幕前から怪我人続出……。
一日でも早く“完全体”になれれば、上位進出の可能性も!

2024年シーズンの東京ヤクルトスワローズは、62勝77敗4分、勝率.446の5位。1年を通して波に乗り切れなかった、そんな印象でした。髙津臣吾監督をはじめ、首脳陣がやりくりに頭を抱えていたように感じましたが、その主な要因は「怪我人の多さ」と「投手陣の不調」にあったといえます。

思い起こせば、昨シーズンは開幕前から怪我人続出。この悪い流れを断ち切れず、3月29日の開幕戦でキャプテンの山田選手が途中交代し、翌日には抑えの田口麗斗投手とともにコンディション不良などを理由に登録を抹消されました。その後も、リードオフマン・塩見選手が左ひざのじん帯を損傷したり 、打率リーグトップを走っていたドミンゴ・サンタナ選手が左足裏炎症を起こしたり 、覚醒の兆しを見せていた丸山和郁選手 や赤羽由紘選手 がフェンス衝突や死球で離脱してしまったり……。

そして迎えた2025年。誰もが「王座奪還」を誓い、例年にも増して気合いが入っているように見受けられましたが、村上選手や塩見選手といった主力に加え、ドラフト1位の中村優斗投手や抑え候補のマイケル・バウマン投手など期待の新戦力まで怪我で次々に離脱。「とにかく全員が、無事に元気に過ごしてほしい」とのファンの願いは開幕前に儚く消えてしまいました……。

ただ、143試合を戦うペナントレースは長い。一日でも早く“完全体”になれれば、上位進出の可能性は大いにあると信じています。

チーム防御率は、ぶっちぎりの最下位……。
開幕3連戦でも露呈した不安定な投手陣の整備が最重要課題

2024年シーズンの東京ヤクルトスワローズのチーム防御率は、3.64で最下位。読売ジャイアンツ、阪神タイガース、広島東洋カープ、中日ドラゴンズの4球団が2点台で、5位の横浜DeNAベイスターズが3.07ですので、東京ヤクルトスワローズの防御率は“一人負け”でした(ちなみに防御率トップのジャイアンツの失点が381なのに対し、スワローズは556失点)。

さらに先発と救援に分けて見てみると、先発防御率4.02と救援防御率3.04は、いずれも最下位。先発防御率が4点台、救援防御率が3点台というのは、ともにセ・リーグ内唯一で、“投高打低”といわれていたシーズンでありながら、これだけ打たれるとさすがに厳しいものがあります。数字が示している通り、先発投手の駒不足が深刻。昨シーズンは先発投手が早いイニングで打ち込まれる試合が少なくなく、それが救援陣の疲弊につながってしまったのは否めません。

開幕投手に抜擢された奥川恭伸投手が6回無失点の好投を見せてくれたのは大きな希望となりましたが、2戦目と3戦目の先発を託された吉村貢司郎投手と高橋奎二投手は5回を持たずして降板。この3人が先発の柱になれるかどうかが上位進出の鍵を握っているといっても過言ではないので、次回登板で白星を掴み、調子を上げていってくれることを期待したいところです。

開幕3連戦では、38安打21失点とジャイアンツ打線に滅多打ちにされ、早くも投手陣の不安定が露呈してしまいましたが、その中でもルーキーの荘司宏太投手の好投には目を見張るものがありました。今シーズンのブルペンを支えてくれる存在になりそうです。怪我で離脱しているバウマン投手や、出遅れている大西広樹投手らの早期の一軍復帰が待たれますが、若い新戦力も積極的に試しながら投手陣を整備してほしいと思います。

打撃はリーグ屈指!
今シーズンも、打って打って打ちまくれ!

一方、野手陣の成績は昨シーズンもリーグ屈指でした。チーム打率は読売ジャイアンツ、横浜DeNAベイスターズに次ぐ3位の.243(中日ドラゴンズと同率)でしたが、506得点と103本塁打はリーグトップ。村上選手、サンタナ選手、ホセ・オスナ選手で形成するクリーンナップの破壊力は抜群でした。村上選手は本塁打(33本塁打)と打点(86打点)の2冠に輝きながらも納得していないと思うので、日本ラストイヤーを公言している今シーズン、怪我から復帰した後は、とんでもない数字を残してくれるんじゃないかとワクワクしています。

加えて昨シーズンは、長岡秀樹選手の大躍進が光りました。2022年シーズンにショートのレギュラーに定着し、リーグ連覇に貢献すると、球団史上最年少でゴールデングラブ賞を受賞。しかし、翌2023年シーズンは不振に陥り、打率.227と規定打席に到達した選手の中で最下位に沈みました。やり返す決意を胸に臨んだと思われる昨シーズンは、打撃が開眼。打率.288、163安打とキャリアハイの成績を残して最多安打のタイトルを獲得し、ベストナインにも選出されました。一部批判に晒されながらも、不調だった2023年シーズンも起用を続けた髙津監督に見事応えたのです。30日には開幕3戦目にしてようやく今シーズン初ヒットが出たので、これからどんどん量産してくれることでしょう。

ただ、昨シーズンは、村上選手、サンタナ選手、オスナ選手、長岡選手が何とか打線を引っ張るも、特に前半は「打線がつながらない」「点につながらない」試合が目立っていました。せっかく投手が抑えても点が取れずに負けてしまう、いわゆる“投打がかみ合わない”状況が長く続いていたように記憶しています。主力が離脱しているのはチームとして痛いですが、中堅・若手野手にとっては、いわばチャンス。“鬼の居ぬ間に”ポジションを奪い取るくらいの気概を持ってほしいと思います。育成出身でプロ5年目の赤羽選手が初の開幕スタメンに選ばれ、3試合連続安打と気を吐いたのは頼もしかったです。中堅・若手野手が成長すれば、さらに打線に厚みが増し、他球団にとってますます脅威となるはずです。

打って打って打ちまくる。投手陣の再建にはやっぱり時間がかかりそうなので、これしかありません。2001年、12球団ワーストの防御率4.98でリーグ優勝した近鉄バファローズのように(笑)

今年もたくさんの名場面を目撃したい!
2024年シーズンの思い出の試合も振り返っておこう

今年も、プロ野球では数々の名場面が生まれることでしょう。東京ヤクルトスワローズにとっては苦しい2024年シーズンでしたが、思い出に残る試合もありました。

ひとつは、奥川投手の復活劇。およそ2年ぶりに登板し、京セラドーム大阪で980日ぶりとなる勝ち星を挙げました。 お立ち台では、涙で言葉にならず。人目を憚らず号泣する姿に、思わずもらい泣きしてしまったファンはたくさんいたのではないでしょうか。神宮球場でも好投し、本拠地では995日ぶりの勝利をつかみました。白星には恵まれなかったものの、開幕戦でのピッチングは完全復活を予感させるものでした。奥川投手が先発ローテションの中心となって1年投げ切ることができれば、巻き返しも夢ではなさそうです。

ヤクルトファンが涙したといえば、青木宣親選手の引退試合も感動的な素晴らしいものでした。2018年2月、「自分のやり残したことはヤクルトが優勝すること」と言ってメジャーから復帰し、その言葉通り、2021年には6年ぶりのリーグ制覇と20年ぶりの日本一に導いてくれました。チームメイトからもファンからも愛される青木選手の引退セレモニーでは、涙腺崩壊。青木選手から「自分が愛したこの球団をよろしくお願いいたします」と告げられたものだから、東京ヤクルトスワローズを一生愛することを改めて心に誓った次第です。精神的支柱だった青木選手が引退してしまいましたが、山田キャプテンや今シーズンから副キャプテンに就任した村上選手がチームをより一層盛り立ててくれるはず。ゼネラルマネジャー(GM)特別補佐として見守る青木さんを安心させるためにも、村上選手、早く戻ってきてください!

今シーズンは始まったばかり!「捲土重来」の再現を願って!

2025年シーズンの東京ヤクルトスワローズのスローガンは「捲土重来 2025 TEAM SWALLOWS」です。「捲土重来(けんどちょうらい)」とは「一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを盛り返して巻き返すことのたとえ」ですが、今から28年前の1997年も、同じスローガンを掲げ、野村克也監督のもと、リーグ制覇と日本一を達成しました。

この年は、大補強を成し遂げた読売ジャイアンツが圧倒的優位と目されていましたが、開幕戦で絶対的エースの斎藤雅樹投手から小早川毅彦選手が3打席連続ホームランを放って勝利すると(当時中学生だった僕は、テレビの前で大興奮でした笑)、そのまま勢いに乗ったスワローズが独走して優勝を手にしたのです。

奇しくも1997年と同じく、東京ドームでジャイアンツとの開幕カードでしたが、真逆の3連敗。開幕戦でのまさかの逆転負けに始まり、エラーや記録に残らないミスが立て続けに起こって失望したファンも少なくないかもしれませんが、長いシーズン、まだ始まったばかりです(ちなみに、2021年に6年ぶりにリーグ優勝したときは開幕3連敗からのスタートでした)。

今年は、キャンプ中に衣笠剛会長兼オーナー代行と、つば九郎を支えてきた社員スタッフの訃報が届いたこともあり、チームは優勝に向かって並々ならぬ想いを抱いているに違いありません。「捲土重来」の再現を願い、今シーズンも熱く“応燕”していきましょう!

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