地球温暖化や海洋汚染、資源の枯渇など、環境問題が深刻化している昨今、環境に配慮した社会の実現を目指して、 さまざまな取り組みを進める企業が増えています。
そんな中、環境問題への関心が高まりを見せる前の1990年代から、環境に配慮した製品の生産販売を実施してきた企業が「帝人フロンティア」です。同社では、1995年に使用済みペットボトルからリサイクルしたポリエステル繊維「ECOPET®(エコペット®)」の販売をスタート。以来、エコペット®は進化を遂げながら今年で30周年を迎えました。
今回は、エコペット®について詳しく学びたいマイナビニューススタッフが、帝人フロンティアに突撃取材!実は意外なところでも活用されているエコペット®の魅力を伺いました。
【座談会参加者メンバー】
帝人フロンティア 久保さん
衣料マーケティング部 マーケティング課に所属。エコペット®を中心とした多くの自社開発素材のブランディングおよび拡販に従事し、入社1年目ながらSNSでの発信業務や展示会の企画運営など幅広く手がけている。
マイナビニューススタッフA
日頃から環境問題に興味あり。エコペット®にも興味津々の様子。
マイナビニューススタッフM
環境にまつわるあれこれについて、まだまだ勉強中のエコ初心者。
衣料や生活雑貨にも!「エコペット」が使われている身近な製品
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本日はよろしくお願いいたします! |
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早速ですが、エコペット®がどういったものなのか、教えてください! |
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エコペット®は、使用済みペットボトルや繊維くず・裁断くずをリサイクルした「リサイクルポリエステル繊維や製品」です。まだリサイクルの関心が薄かった1995年に販売を開始し、今年で30周年を迎えました。 |
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そんなに長い歴史があるんですね! |
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エコペット®はどんなものに活用されているんですか? |
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まず、繊維といえば衣料をイメージしやすいと思いますが、これらの洋服の生地がエコペット®で作られています! |
ハンガーラックには、洋服がずらり。さらりとした生地からふわふわのボア、スポーティーなスウェットまで、オールシーズンを網羅するバリエーションです。
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かわいいうえに暖かい! |
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これは軽くて着心地バツグンですね! |
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衣料の生地と一口に言っても、風合いや肌触り、機能性はそれぞれ異なり、その種類は多岐にわたります。エコペット®は、ユニフォーム・フォーマル・カジュアル・スポーツなどさまざまな洋服に活用されているんですよ! |
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こんなにたくさんあれば、知らず知らずのうちに着用していたかもしれませんね。ちなみにエコペット®が使われているアイテムは、どこで出会えるのでしょうか? |
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店頭であれば下げ札などで見分けられるのですが、例えば、インターネットの衣料品通販サイトなどで「エコペット」や「ECOPET」と検索していただくと、使用されているアイテムが表示されることもありますよ! |
某サイトでMが試してみると、数百もの商品がヒットしました。
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エコペット®は衣料以外にも使われているんですか? |
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もちろんです!例えば、ランドセルや靴、サッカーボールなどに使われている人工皮革の基布にもエコペット®が使われています! |
他にも、公共交通機関の座席シートのクッション材や、天井材にもエコペット®が使われていることがあります。用途によって形状を変え、機能性を保ちながらより環境にやさしい素材でさまざまな製品を作れるのが、エコペット®の魅力のひとつなのです。
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エコペット®で作られた”超”軽量天井材「かるてん」
30年、ひたすら実直に。進化を遂げてきた「エコペット」の機能性に脱帽!
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同じ素材がこれだけ多くのものに活用されているのが驚きです! |
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トレンドに左右されず、リサイクルが受け入れられにくかった時代から実直に30年続けてきたからこそと自負しています! |
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エコペット®は、30年の間に具体的にどういった進化を遂げてきたんですか? |
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1995年の発売開始当初のエコペット®は、使用済みペットボトルをマテリアルリサイクルによって再生した短繊維(短い繊維)のみの展開でした。 当時は、布団の中わたや詰め物、産業資材用途など、表に出ない裏の材料として採用されることが多かったんです! |
ペットボトルのマテリアルリサイクルとは、使用済みのペットボトルを洗浄・破砕、そして溶かし固めてペレット状のポリエステル原料にすることです。そのペレット状の原料を溶かし、細長く固めて繊維状にすれば、リサイクルポリエステル繊維になるのです。
発売当初は短い繊維「わた」にしかできませんでした。
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ターニングポイントになったのが、2000年にケミカルリサイクルを開発したことでした。廃棄されるポリエステル繊維製品を化学分解して原料にまで戻し、再度、化学結合することで、色がついている生地の繊維くずや裁断くずからも石油由来の原料と同等の品質のリサイクルポリエステル繊維を作ることができるようになりました。 また、細くて長い繊維や特殊な形状の繊維も生み出せるようになったことで、さまざまな用途への展開も可能となり、さらには機能性を持つエコペット®が次々と誕生しました! |
その後、マテリアルリサイクルでも品質の良い、細くて長いポリエステル繊維を生み出せるようになり、さらに活用シーンが拡充しました。
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確かに、先ほどご紹介いただいた衣類の生地は、さらりとしていたり、ふわふわとしていたり、肌触りが違いましたよね! |
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肌触りの違いを表現できるのもエコペット®の特徴ではあるのですが、その他にもエコペットがつかわれていながらも、特殊な機能の生地もあるんですよ! そのひとつが「MINO TECH®(ミノテック®)」です。日本古来の雨具「蓑(みの)」の「水を滑らせ、雨をよける」構造を再現した生地で、水滴が転がります。実践してみますね! |
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おぉ~!ほんとに転がってる! |
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小石のように転がっておもしろいですね! |
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このミノテック®は、ロングスカートなどにも使われているんですよ! |
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雨が降って裾が濡れるのはストレスなので、この悩みを解消してもらえるのはありがたいです! |
続いて久保さんが取り出したのは、ゴルフグローブ。
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もうひとつご紹介したいのが、このゴルフグローブに使われている「NANOFRONT®(ナノフロント®)」です! ナノフロント®は髪の毛よりも細い超極細長繊維なのですが、こちらを編んだ生地の表面には非常に細かい凹凸ができます。この凹凸が大きな摩擦力を発生させ、高いグリップ力を発揮します。しかも、濡れても水の膜ができにくいため、雨の日のラウンドでも滑りません! |
テーブルの上で引っ張っても、ちょっとやそっとでは動きませんでした。
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これだけ滑らないと、不安なくクラブを振れますね! |
こういった特殊な機能を付与できるようになったのは、帝人フロンティアが長年にわたって開発を追求してきたからに他なりません。
しかし、それだけでなく、社会全体のエコ意識が高まり、分別・資源回収が進んだことで、リサイクル原料自体の品質が良くなったことも要因と、久保さんは付け加えました。30年も前から環境問題に目を向け、リサイクルポリエステル繊維の活用をリードしてきた同社の功績は大きいといえるでしょう。
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ゴミの分別って、やっぱり大切なんですね! |
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そうなんですよ!ごみの分別は誰もが実施できる、資源循環への一歩なんです。最近、衣料などの繊維廃棄物の問題が取り上げられることが多くなりました。 当社もまずは、燃えるゴミとして出されてしまう衣料品を救い出せるように、分別・資源回収などで衣料品をリサイクルし、繊維の原料、資源として循環させるような仕組みづくりを強化する必要があります。そして何よりも、そうした仕組みによって資源を循環させるには皆さんの協力が必要なんですよね。 さらに、私たちはこれからもリサイクルの技術開発は勿論のこと、ポリエステル以外の異素材・異成分を分離する研究開発などに尽力していきます! |
目指すは、「エコペット」をはじめとしたリサイクルポリエステル繊維で循環する社会
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最後に、エコペット®のこれからについて教えてください! |
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これまで「ど」が付くほど真面目に環境に向き合ってきましたので、それはこれからも変わりません。そのうえで、環境に配慮するのはもちろん、エコペット®で作る機能素材を通じて生活者の皆さんの課題を解決していきたいです! 「リサイクルポリエステルといえばエコペット®」という認知が広がるよう、イベントを企画したりSNSをリニューアルしたりしながら情報発信を強化していきます! |
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お話を伺って、試行錯誤されてきたエコペット®の30年の歴史に感動を覚えました!今後またどのような製品に活用されていくのか、すごく楽しみです! |
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30年前は小学生だったのですが、母親から「ペットボトルは衣料にリサイクルされるから分別してね」と教わっていて、今日合点がいきました! SDGsという言葉が登場するより遥か前から取り組まれてきたことは凄いことですし、次世代にもゴミの分別の必要性を伝えたいと思います! |
帝人フロンティアが目指すのは、エコペット®をはじめとしたリサイクルポリエステル繊維で循環する社会。そのためには、私たち一人ひとりが小さなアクションを積み重ねていくことも求められます。
ゴミを分別したり、エコペット®のようなリサイクルポリエステル繊維が使われている商品を選んだりすれば、そう遠くない日に持続可能な循環型社会が訪れるかもしれません。