性能も見た目も譲らない道具の美学
限りなくアコースティック楽器に近い演奏感を実現したエレクトリックバイオリン「YEV PRO」。打ちやすく、ミスを出しにくいレディース向けゴルフクラブ「INPRES DRIVESTAR For Ladies」。どちらも外観と性能の両面でプレーヤーの気持ちに寄り添っている。両者を生み出す原動力には、「使い手の可能性を最大限引き出す相棒のような道具をつくりたい」という、作り手たちの切なる願いがある。
限りなくアコースティック楽器に近い演奏感を実現したヤマハのエレクトリックバイオリン「YEV PRO」。“ナイスショットを何度でも”を実現するレディース向けゴルフクラブ「INPRES DRIVESTAR For Ladies」。
音楽とスポーツ、分野は異なるものの、どちらも外観と性能の両面でプレイヤーの思いに寄り添い続ける製品だ。そして、両者を生み出す原動力になったのが、「使い手の可能性を最大限引き出す相棒のような道具をつくりたい」という、作り手たちの切なる願いである。
いつもの感覚で、特別な輝きを
「慣れない環境で演奏する時には、違和感が少ないということが非常に重要です」。そう語るのは、YEV PROの開発を担当した松嶋朗生。
そもそもエレクトリックバイオリンを演奏する環境は、アコースティックバイオリンとは異なることが多い。例えばライブステージでの演奏は、音楽ジャンルはもちろん、音量や音響空間、照明、観客との距離、さらには会場の熱気までもがクラシック演奏の環境とは異なる。全てが「いつもと違う」状況下で、楽器だけは限りなく「いつもどおり」――それが奏者に与える安心感は計り知れない。
「YEV PROはアコースティックバイオリンと同じ空洞構造にすることで、楽器自体が響くように設計しています。周囲の音量が大きくても、バイオリンの振動が顎や手に伝わることで“自分の音”をつかみやすくなる。重量や音色もそうですが、少しでも普段の楽器に近い感覚で演奏できるよう工夫しました」(松嶋)
同時に、プロ奏者にとって観客の視線を集めることも重要である。常に真正面を向くエレキギターやベースと違い、バイオリンはさまざまな角度から観客に見られる。「ヤマハのエレクトリックバイオリンには、メビウスの輪のような構造によってどこから見ても立体的に見える美しさがあるので、プロの方にも高評価をいただいています」(松嶋)。YEV PROではさらに高級感のある配色を施し、他の楽器に負けない存在感を実現した。その洗練された外観が、奏者に自信を与えるのだ。
打ち込めるクラブに、込めた想い
INPRESレディースモデルの企画を担当した降旗明日香もまた、「性能と見た目の両立がゴルファーを精神的に支える」と語る。
「ゴルフでは、スイングの初動に入る寸前の心理状態が結果に大きく影響します」。自信がなかったり、狙っているターゲットが狭かったりすると、どうしてもプレッシャーを感じてしまう。特に女性は、男性ほど飛距離が出ないので「周りの人を待たせてしまうのではないか」と気後れする人が多いという。
「25年モデルには、ナイスショットが生まれる技術をたくさん搭載しました。その機能を十二分に使いこなしてもらうには、力まず自然に打つことが重要になります。だからこそ、女性ゴルファーを安心させられる“顔”が絶対に必要だったんです」(降旗)
降旗自身、ゴルフクラブの印象が心に与える影響を何度も肌で感じている。特に印象に残っているのは、初めて自分でドライバーを買った時のことだ。「それまでは父から譲り受けた重くてヘッドが小ぶりのものを使っていたのですが、新しいクラブはサイズ感も色味も違って、同じクラブとは思えないぐらい楽な気持ちで振れました。まだゴルフ経験が浅く、緊張しやすい時期だったけれど、自信を持ってスイングできたのを覚えています」。
さりげなく、でも、心強いこだわり
機能美と造形美の両立に力を注いだ松嶋と降旗が目指したのは、プレイヤーを無意識のレベルで支え、彼らのベストを引き出すことである。
「機能を押し付けるのはヤマハの考え方ではない」と降旗は言う。例えば、25年モデルのアイアンには内部を支える「図心リブ」が搭載されており、球がどこに当たっても飛距離のロスを抑え、ナイスショットを出しやすい仕様になっている。「ですが、突起が見えてしまうとクラブを握った時に違和感を覚えます。機能的には重要な部分ではありますが、外観上はあえて隠す、そんな気遣いを施しました」(降旗)。
自分たちが注いだ技術に、見た目で気づいてもらえなくてもいい。「主役はゴルファーであって、道具はあくまでもサポート役。『このクラブは高性能』と思ってもらうより、自然にプレーに入り込める方がいい結果につながると思います」(降旗)。
一方、YEV PROもプレイヤーにとって自然な演奏体験を提供することに重点を置いている。開発当初はよりエレクトリック寄りの音づくりを目指すべきという議論もあったが、エレキギターやベースとは違い、バイオリンにおいては奏者のほぼ100%がアコースティックバイオリンを主軸としている。エレクトリックバイオリンは奏者にとって、二番目の相棒なのだ。だからこそ、エレクトリックに持ち替えても違和感なく演奏できるように、アコースティック奏者が求めるものをなるべく忠実に再現した。
例えば、アコースティックバイオリンの魅力のひとつである、ビブラートをかけた時の音色の変化。「奏者は無意識のうちにこの音色の変化を求めています。YEV PROは奏者の感覚を生かせるよう、あえて少しクセのある音づくりに力を入れました」(松嶋)。バイオリンらしい演奏感と音質を実現することで、奏者がアコースティックで培った表現力を最大限引き出したいと松嶋は願っている。
一音一音、一打一打が、発見に
目に見えるところでも、見えないところでも、使い手を支え、ベストパフォーマンスを引き出す道具たち。使い込むほどに、新たな可能性にワクワクする――そんな未知なる体験を目指している点こそ、YEV PROとINPRESレディースモデルに共通するKeyである。
「音楽は言語のようなもの」と考える松嶋は、エレクトリックバイオリンが奏者の表現を広げる存在であってほしいと考えている。「新しい楽器を手にすると、自分の中にいままでなかった軸ができたような感覚になります。こんな表現をしたら面白いかも、こんな音楽がつくれるかもしれない、と発想が次々に湧いてくるんです」。
アコースティックで腕を磨いたプロ奏者にとって、YEV PROはどんな発見をもたらすだろう。「ライブハウスで聴くロックやポップスは聴き手の気持ちを盛り上げますが、クラシックはしっとり心に染みこんでいく。同じ音楽でも、文脈によって感情への作用は違ってきます」(松嶋)。YEV PROを手にすることで、これまでとは違う形で観客の心を動かし、楽しませることができたら――奏者にとって、それは新しい「言語」を手にするようなものだろう。クラシック以外の演奏機会を得て、より豊かで多彩な音楽活動が広がっていくかもしれない。
一方、降旗はINPRESレディースモデルが女性ゴルファーにとって常に頼れるパートナーであってほしいと願っている。「ゴルフの魅力は運動神経や年齢に関係なく、マイペースに楽しみ方を選べるところ。キャディーバッグから取り出すたびにテンションが上がったり、構えた時に安心できたりするクラブを提供することで、ゴルファーの“自分らしいプレー”を後押しできたら幸せですね」。
自分らしいプレーを味わううちに、ゴルフ場はやがて、ゴルファーが何度でも訪れたい場所になる。「ゴルフは本来、広大な自然の中で思いっきりスイングできる爽快なスポーツです。一打一打に集中していると、仕事や家庭での悩みや失敗はすっかり忘れられます」(降旗)。ナイスショットを何度でも――そんなゴルフに没頭している時間が、いつか、自分らしく輝ける特別な時間へと変わっていく。
人は誰しも、未知なる自分に出会う瞬間を求めている。YEV PROとINPRESレディースモデルは、使い手に新たな可能性をもたらす相棒のような道具たちである。これまでにない音楽表現と、ゴルフ場で味わう自分らしい時間。松嶋と降旗がつくり続けているのは、プレイヤーが新しい自分と出会うための、小さな、でも、かけがえのないきっかけなのかもしれない。
(取材:2024年8月〜9月)
性能も見た目も譲らない道具の美学
#1 バイオリニストの表現を、新たなステージへ
性能も見た目も譲らない道具の美学
#2 女性の感性に寄り添うゴルフクラブ
共奏しあえる世界へ
人の想いが誰かに伝わり
誰かからまた誰かへとひろがっていく。
人と人、人と社会、そして技術と感性が
まるで音や音楽のように
共に奏でられる世界に向かって。
一人ひとりの大切なキーに、いま、
耳をすませてみませんか。
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