※画像は2023年4月時点の完成予想イメージであり、2024年9月に公表した計画変更は反映されておりません。
いちょう並木などの緑に囲まれ、スポーツ施設が集まる場所として多くの人たちに親しまれてきた「神宮外苑」。その自然や文化を継承し、次世代に繋げていくために、このエリアがより魅力的に生まれ変わります。そこで神宮球場、秩父宮ラグビー場の立て替えや、自然あふれるオープンスペースの拡充など、新しく整備される「神宮外苑地区まちづくり」の取り組みについてレポート。さらに本プロジェクトに携わる三井不動産の担当者に、神宮外苑の将来像について聞いてきました。
スポーツ競技の継続性や自然環境に配慮した「神宮外苑地区まちづくり」
緑豊かな都市景観を保全し、にぎわいあふれるスポーツの拠点をさらに発展させることを目的に進められている「神宮外苑地区まちづくり」。2023年に始まった神宮第二球場の解体工事を皮切りに、各施設の整備を順次行い、全体完成は2036年頃を予定しているそう。
長期計画である理由は、スポーツ競技開催への影響を考慮し、球場・ラグビー場が使えなくなる期間をできる限り短くするため。位置を入れ替えながら順番に建て替えが行われます。またこのエリアの魅力のひとつで、長く愛されてきた4列のいちょう並木は、伐採せずに保全されるため、変わらず神宮外苑のシンボルとして次世代に引き継がれます。4列のいちょう並木の保全に万全を期すため、新神宮球場の位置を当初計画から約10mセットバックしたそう。さらに新たに樹木が植えられ、神宮外苑全体の樹木本数は1904本から2304本に、緑の割合も約25%から約30%に増加され、整備前よりも自然豊かな景観が楽しめるようになります。
球場・ラグビー場の建て替えが必要な理由とは?
数々の名勝負を生み、多くのスポーツ好きに愛されてきた聖地・神宮球場と秩父宮ラグビー場。それらが取り壊されることを惜しむ声もありますが、神宮外苑が抱える課題を解決するためにはやはり建て替えが必要なよう。
まず神宮球場は完成から98年が経っており、老朽化による漏水や腐食が顕著。それに加え、コンコースや観客席の間隔が狭く、段差も不揃いでバリアフリーの対応が不十分であること、さらにバックヤード不足など、様々な課題が。それらを解決するために、現球場ではスペースに限りがあり、リニューアルは難しいと判断。また、球場の外側も敷地が狭く、入退場時の混雑や歩行者と車両の動線が分離できないなど、安全性の課題もあり、建て替えることが決定しました。
秩父宮ラグビー場も同様で、完成から77年が経っており、老朽化が目立っています。座席が狭くカップホルダーの設置がない、車いす席や車いすトイレの不足、選手や観客導線の確保などの課題を抱えていました。以前からユニバーサルデザインの導入や多様化するニーズへの対応が求められていたこともあり、今回建て替えが決定しました。
神宮球場、秩父宮ラグビー場ともに、今の位置に建て替えると、工事による競技中断期間が長くなり、競技開催に大きな影響が。特に神宮球場は学生野球、プロ野球などで年間約450試合以上を開催しており、長期間の競技中断は現実的ではないため、場所を入れ替えて整備されます。新秩父宮ラグビー場建設後、現秩父宮ラグビー場を解体し、新神宮球場を建設するなど、段階的に建て替えられることになります。
どんな風に生まれ変わるのか、詳しい概要について、三井不動産の担当者に直撃してきました。
新球場・新ラグビー場はこんなにスゴイ!
三井不動産の担当者に、神宮外苑の未来像についてインタビュー
A.新神宮球場は、現在の秩父宮ラグビー場がある位置に誕生し、2032年完成予定です。大学野球の聖地かつ東京ヤクルトスワローズの本拠地として愛されてきた現在の神宮球場の伝統や開放感は継承し、屋外型としたまま、延床面積を拡張し、コンコースや通路はもちろん、バックヤードを広く設置することで、観客はもちろん、選手の方にも使いやすく、開放感のある球場を目指しています。新球場の詳細な設計はこれからですが、収容人数は約32,000名と現球場の座席数を確保しながら一層ゆとりのある座席を実現し、今まで以上に快適な観戦環境を整える予定です。また球場の外側もスムーズな動線が確保され、安全性に配慮した造りになります。
Q.新しい神宮球場ならではの楽しみ方を教えてください。A.新神宮球場は、新しく整備される中央広場と繋がりを意識した計画としており、いちょう並木も併せてより外苑の豊かなみどりを感じられるようになる予定です。計画にあたって、国内外の多くのスタジアムを参考にしていく予定で、新しい座席やエリアの導入だけでなく、内野席の上にホテルが併設されるため、一部の客室からは試合を観戦することもでき、今まで以上に様々な観戦スタイルが楽しめるようになります。また、店舗を備えた複合棟とデッキで繋がるため、より使いやすく、魅力的な球場に生まれ変わるでしょう。
A.新秩父宮ラグビー場は、解体工事中の神宮第二球場がある位置に誕生し、2029年度以降で完成予定です。こちらは今までと異なり屋根付きの全天候型のラグビー場に生まれ変わります。地下1階・地上7階建てで、ラグビー開催時の収容人数は約1万5000人を想定しています。現秩父宮ラグビー場の魅力であるピッチとスタンドの近さ、スタンド勾配は継承されるので、これまで同様に迫力あるプレーを楽しむことができます。またフィールドを囲むコンコースや、高い位置からフィールド全体を眺められるスカイラウンジを整備したりと、多彩なバリエーションの観客席をご用意することでより気軽に観戦できるような工夫も行う予定です。このような取り組みにより、新たなファン層の獲得にも繋がるのではないかと思っています。
Q.ラグビー以外にどのような利用方法が検討されていますか?A.屋内の全天候型の施設になるため、コンサートやイベントなど幅広く活用される予定です。イベント開催時の収容人数は約2万人を想定しています。施設内には幅50m、高さ12mのビジョン1面と、幅16m、高さ9mの映像装置2面が設置されるのも特徴のひとつ。スポーツとエンターテインメントの両方が楽しめる、新しいにぎわいの空間となるでしょう。
A.オープンスペースは、計画地における広く一般に公開されている広場、緑地、歩行者通路などを指します。現在は自由に入れない敷地や通り抜けできない敷地が多くあり、「フェンスや塀で隔てられていて閉鎖的な空間」という現状の課題を解決していきます。中央広場などを新たに設置し、創建時に親しまれた絵画館の前に芝生の広場を復活させるなど、整備後はその割合が約21%から約44%に拡張。憩いの場となる空間が増え、今以上に誰もが気軽に訪れて楽しめるようになります。
Q.具体的にどのような使い方ができるのでしょうか。
A.中央広場は約1.5haの広さを誇り、思い思いの時間を過ごせる場となります。多様なスポーツ交流を図るために、スポーツ体験など、様々なイベントも行っていく予定で、多くの人々が楽しめる開かれた空間にしてまいります。また、災害時には広域避難場所として、防災性が飛躍的に高まります。緑とスポーツの拠点としての歴史を積み重ね、多くの方に愛されてきた神宮外苑なので、次の100年に向けて利便性、安全性、快適性に加えて防災性なども向上させながら、より多くの方に利用していただける、魅力あふれるまちづくりを目指していきます。ぜひ期待してお待ちいただけたらと思います。
新しいスポーツの拠点としてはもちろん、都会のオアシスとして自然と気軽に憩える場、そして大規模災害時の防災拠点としての役割も担う神宮外苑。全体完成は2036年ですが、少しずつ整備されていくのでその変化を見守りつつ、生まれ変わった姿を見るのがこれから楽しみですね。
※掲載のパースやイラストは計画段階の完成予想イメージであり、変更の可能性がございます。
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