「竹山家のお茶の間で団らん」はX(旧Twitter)で配信中の家族会議型バラエティ番組。カンニング竹山さんがパパ役、篠田麻里子さんがママ役、越智ゆらのさんが娘役を務め、毎回多彩なゲストが登場。“今知っておきたいアレコレ”をテーマにバラエティに富んだトークをお届けしている。

第22回となる今回のテーマは「地層処分」だ。これまでにも同番組では5回にわたり地層処分を紹介。竹山家は北海道の幌延町(ほろのべちょう)や神恵内村(かもえないむら)、青森県の六ヶ所村(ろっかしょむら)、原子力発電環境整備機構(NUMO)本社などを訪れ、地層処分について学んできた。

今回はスタジオに関西学院大学社会学部の野波寛教授を迎えたほか、NUMOのWebCMに登場しているインフルエンサーで現役保育士のてぃ先生、栗栖あに華さんと新沼凛空さん、宝持沙那さんも出演。地層処分について全国の人々がどんな意見を持っているのか、そしてそれら多様な意見をどのように合意形成していけばいいのかについて社会心理学の観点から学んでいった。なお、ゆらのさんは体調不良のためお休みとなった。

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前回のおさらい!「地層処分」の安全性について

番組は前回学んだ地層処分の安全性に関するおさらいからスタート。新沼凛空さんと宝持沙那さんは地層処分の多重バリアシステムを説明した。原子力発電で使い終えた燃料を、再処理した際に残る放射能の高い廃液を水に溶けにくいガラスと融かし合わせ「ガラス固化体」をつくる。ガラス固化体はそのままの状態ではなく、金属製の容器に入れ、さらに緩衝材(粘土)で覆うことにより「人工バリア」を構築するのだ。さらにこの高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)を地下300メートル以上の深い岩盤に埋めることで、人間の生活環境から隔離し閉じ込める。これが「天然バリア」である。ここまでの説明を聞いた竹山パパは「地下300メートル以上がポイントになりますから、それを忘れないようにしてください」とコメントしていた。

一方、栗栖あに華さんは「地震の多い日本でも地層処分はできるのか?」について説明。地下深いところの揺れは地表の3分の1~5分の1になり、岩盤(天然バリア)と人工バリアが一緒に揺れることになるため、高レベル放射性廃棄物だけが壊れる可能性が低いことを説明し、日本でも地層処分は可能なことを示した。

ここから今回の本題へ。社会心理学を専門とする野波教授によると、地層処分場だけではなくゴミの集積場など「みんなのためになくてはならない公共施設ではあるものの、地元が反対を示すことが多い施設」についての合意形成は非常に難しいとのこと。そこで、さまざまな立場の人が話し合い、どのようにして合意を形成するのかを研究するのが「合意形成の心理学」なのだ。

実は最近、地層処分をめぐって新たな動きがあった。北海道の寿都町(すっつちょう)と神恵内村(かもえないむら)で実施している文献調査の報告書が公表されたほか、佐賀県の玄海町(げんかいちょう)で文献調査を受け入れたことがニュースになったのだ。これを受けて、てぃ先生から「そもそも文献調査ってなんですか?」という質問が。これに竹山パパは「地層処分場を選定しようというときに、安全性の観点からその土地に埋めていいのか、活断層や火山の有無を地域特有の文献やデータから机上調査するなどのこと」と、これまでの番組で得た学びを活かして回答した。

街頭インタビューに挑戦! 街の人々に聞いた、文献調査ってどう思う?

では街の人々は文献調査についてどのようなイメージを持っているのだろうか。今回は栗栖あに華さん、新沼凛空さん、宝持沙那さんの3人が、東京と福岡で街頭インタビューを実施した。なお、街頭インタビューについては前回放送でも実施したが、その際に竹山パパからは「話を聞くときは『ちょっといいですか?』と聞かず『今日は何をしにきたのか』と世間話から入るといい」とのアドバイスが。今回はそのアドバイスを意識したことで、スムーズに街頭インタビューができたようだった。

さまざまな意見があり、 「風評被害でイメージが悪くなりそうなので、自分の住んでいるところは(文献調査に選ばれると)嫌だ」という心配な声がある一方で、「必要な処分場であれば調査するのは当然」というポジティブな意見や、「政府が決めるより、住んでいる人たちの意見が大事」と地元を尊重する声などもあがっていた。

これに竹山パパは「文献調査=地層処分場の決定みたいに思ってらっしゃるかたも多い」、麻里子ママは「 どうにかしなきゃいけないってことはわかっている感じですね」とそれぞれコメント。てぃ先生は「今回のインタビューを通して(文献調査や地層処分について)初めて自分事化できた人も多いのでは」とインタビューの有意義さについて述べていた。

また、実際にインタビューを行った宝持沙那さんは「私たちくらいの年代は文献調査という言葉自体も知らない方が多かった」としながらも、「(街頭インタビューをきっかけに)文献調査ってなんのことだろうと思って繋がっていただいたら(調べてくれたら)嬉しい」と取材を振り返った。

3人の街頭インタビューについて麻里子ママからは「インタビューの導入がすごい上手でしたね」と称賛の言葉が。竹山パパも「前と変わったね」と満足げな表情を見せていた。

「誰がなぜゲーム」で合意形成をやってみた! はたして8人の意見はまとまるのか?

さて、街頭インタビューでもわかったように、人々の声はさまざまだ。野波教授も「地層処分について知ったあとで、いろいろな意見が出てくるのは当然のこと」と言う。その上で難しいのは、「人によって意見や価値観、信念が違っていたとしても合意形成はひとつしかできない」ということだ。

そんな三者三様の意見をまとめて合意形成するために野波教授が開発したのが「誰がなぜゲーム」である。これは、架空のストーリーに沿って参加者それぞれが立場の違う登場人物になりきって物事を考えるゲーム。自分が割り当てられた役になりきることでさまざまな立場の人の考えを学べるというわけだ。

今回は栗栖あに華さんと新沼凛空さん、宝持沙那さんら8名の若い世代が、「住民」「専門家」「国民」「政府」の4つの役に分かれ、話し合いを実施。「地層処分場の是非を決める権利は誰が持つべきか」について、全員が納得できる答えを出すのが最終的な目的である。

まずは8名それぞれが役になりきった上で、「誰が権利を持つべきか」について自分ひとりで順位をつけていく。立場ごとに考え方が異なるため、当然順位は人によってさまざま。集計の結果、「住民」を1位に選んだ人が多く、「専門家」が2位、「政府」が3位、「国民」が4位という結果に。

おもしろいのはここからだ。野波教授によると、「役割をただ割り振られただけで、その役になりきるのは難しい」とのこと。そこで次は、自分と同じ役割の人と議論を行い、合意形成を目指すのである。それにより、あやふやだったその役割としての価値観や意見が固まり始めるのだという。

実際のゲームでも、お互いに意見やその根拠を出しながら歩み寄り、合意形成を図られていった。その結果、1位が「住民」であることは変わらなかったが、「国民」が2位に上昇し、「専門家」が3位に。「政府」が4位という順位に落ち着いた。

この議論を見た野波教授は「立場は同じであるはずなのに、ぜんぜん順位付けは変わっていた。価値観や意見の違いを超えてひとつの立場としてひとつ意見を作らなきゃいけない。それですり合わせが始まって、一方が引っ張ったり譲歩や妥協をしたりしながらまったく違う意見が出てくることもある」と解説。実際に参加した新沼凛空さんは、「政府役として国に最終決定権があるから政府が1位と思っていたけれど、同じ政府役の藤井さんの考えに納得し、話し合って1位を決めました 」とゲームを振り返っていた。

こうして同じ立場同士で作り上げた意見を持ち寄り、今度は4つの立場の全員で議論してひとつにまとめるのがゲームの最終段階だ。8名での議論は、それぞれの立場からさまざまな意見が飛び出した。「住民が一番身近で、リスクを負うのは住民だから1位」、「専門的知識を持っているのは専門家だけど、国民という多数派に比べたら少数派になってしまう」、「結局まとめるのは政府だと思うので、3位が政府で4位が専門家」といった各意見がぶつかりあった結果、少しずつ各々の意見への理解や共感が生まれ、すり合わせが行われていく。

最終的に1位は「住民」、2位は「国民」、3位は「政府」、4位は「専門家」という結果となった。栗栖あに華さんは「いろいろな立場の方々と話し合って、1位2位はスッと決まったんですけど、3位4位が難しくて。他の意見を聞いて自分の意見が変わったり、考え方が変わったりすることもありました」とコメントした。

ゲームの様子を見ていた麻里子ママは「このゲームを通して自分事にできる。相手の立場を考えられる思いやりも生まれるゲームだと思った」と感想をコメント。これに野波教授は「自分の価値観は曲げられないけれども、なんとか相手とすり合わせることはできないかと考えてみる。それは人間としてもすごく大事」と語った。

また、てぃ先生からは「僕たち大人は小さいお子さんに対して『相手のことをもっと考えてみなさい』と言うけれど、僕たち大人がそれをできているのかなって考えさせられた」とコメントがあり、竹山パパも「なりきって考えるというのは、教育論としてもすごく良いことかもしれない」と答えていた。

野波教授によると、実はこのゲームにもうひとつの立場「将来世代」という人を加えると、参加者の考え方ががらりと変わっていくという。「地層処分場は地域間だけでなく世代間にも不公平を引き起こしてしまう。原子力発電を使って安定的な電力(生活)を享受し、その結果発生してしまった高レベル放射性廃棄物という廃棄物を次の世代に押し付けてしまう。そんな目に見えにくい不公平を考えてくださいと言うだけで、ゲームの結論は大きく変わる」とのことだ。

野波教授は最後に「これから先、私たちは次の世代との公平・不公平も考えていく必要が出てくる」とコメント。これに竹山パパは「確かに地層処分場も次の世代の人のために作っておかないとまずいんじゃないか。だから文献調査して、次の世代につなげるために我々が今できることを考えていかなきゃいけない」と応じていた。

番組収録後、今回得た学びについて栗栖あに華さん、新沼凛空さん、宝持沙那さんがレポートとしてまとめた。レポートはNUMO公式サイトで公開されている。

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「竹山家のお茶の間で団らん」第22回は現在、竹山家のお茶の間で団らん公式Xにてアーカイブ配信中。ぜひチェックしてほしい。

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