大学生活も後半にさしかかると、就職活動が気になってきませんか? 本格的な就活が始まってしまうと、書類の記入や面接の準備など、やることが山積みで企業研究の時間がなかなかとれなくなってしまう場合も。そうなる前にさまざまな企業を知っておくと、志望先を選びやすくなるかもしれません。
今回現役大学生の2人が訪れたのは、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)。新幹線をはじめ、日本の交通インフラを支えている組織です。「独立行政法人と一般企業の違いは?」、「どんな仕事をしているの?」などの疑問を、若手職員のみなさんに聞いてみました。
新幹線、船舶……JRTTがつくっている身近なもの
JRTTという独立行政法人があることを、初めて知りました。どんな仕事をしている組織なのでしょうか?
新幹線や都市鉄道などを建設しています。建設といっても、我々職員が実際に重機を動かして工事をしているわけではありません。工事工程の管理や品質管理、さまざまな関係者との調整など、大きなプロジェクトを進めるためのプロジェクトリーダーのような仕事をしています。
鉄道だけでなく、JRTTでは船舶の建造支援も実施しています。海運会社は必要に応じて新しい船を造りますが、資金調達に課題を抱えている場合もあります。船を1隻造るには、数億円から数十億円ものお金がかかるので、JRTTは「共有建造」という仕組みで、船の建造をサポートしています。
銀行のようにお金を貸すイメージでしょうか?
そういった資金的な支援に加えて、船舶建造に関する技術的な支援も併せて提供しています。船が古くなって事故が起こることを防ぎ、国内の海運業の発展に寄与する事業です。フェリーや離島航路で運航する船、貨物船の建造など、国内の輸送を支えています。
※JRTTが建造した共有船は、離島航路(国庫補助航路)のうち約6割の航路で就航しています。また、全国の内航貨物船の約36%(総トン数)を占めています
鉄道や船など、私たちの生活に欠かせないものをつくっているんですね!
あまりにも当たり前に使っていたので、誰がつくっているのか、そういえば気にしたことがありませんでした。
今日みなさんが乗ってこられたみなとみらい線も、JRTTが手がけた路線なんですよ。ほかにも、つくばエクスプレスなど、全国各地で在来線の建設をいくつも手がけています。
そうだったんですね!
九州新幹線や北陸新幹線など、さまざまな新幹線の線路やトンネルをつくったり、延伸工事を行ったりもしています。
※北陸新幹線(金沢・敦賀間)は、2024年3月に開業。東京~福井間の所要時間は従来の3時間15分から最速2時間50分に短縮されました
仕事で感じたやりがいとは? 大規模プロジェクトならではの魅力
みなさんが普段取り組んでいる業務の内容を教えてください。
私は現在、総務課で働いています。所属する本社の事務所の管理やルールの整備が主な業務ですが、全国各地の事務所やほかの部署からの問い合わせへの対応も多いです。
北海道新幹線部に所属しており、函館から札幌をつなぐ新幹線事業に関する管理や調整をしています。土木工事の設計、施工に関する調整業務や、北海道内の事務所や国土交通省からの問合せへの対応、報道発表用資料の確認などが主な業務です。
船舶の建造に関する契約事務手続きが主な仕事です。建造の各段階で発生する書類の作成について、海運会社や造船所の方に案内します。日によって違いはありますが、事業者の方と打合せをする機会が多いですね。前にいた部署では経理の仕事をしていました。
部署の異動があるんですね!
私は、最初は東京にある事務所に配属されました。その後、札幌での2年間の勤務、国土交通省への1年間の出向を経て、現在は横浜にある本社の総務課で働いています。
私は入社後新大阪の事務所に配属され、その後福井県の敦賀にある建設現場近くの事務所に3年間勤務しました。本社に来たのは2020年で、4年間は設計部で働き、2024年4月から北海道新幹線部で勤務しています。このように、事務所内で異動する場合もあります。
異動が数年おきにあるのは、多方面の力を伸ばしてゼネラリストを育てよう、という方針なのでしょうか。
そうですね。たとえば事務系職員の仕事は、総務、経理、契約、用地と大きく4種類に分けられます。広い視野で業務に取り組むことができる職員となるよう、若手のうちはこれらの力をひとつずつ育てていくイメージです。
やりがいを感じた瞬間や、印象に残っている仕事はありますか?
相鉄・東急直通線(神奈川東部方面線)のレール締結式という式典で、地元の方々とお話したことが印象に残っています。自分の関わる事業の影響力の大きさを実感しました。船舶業務でも、建造に携わった船を使って仕事をされる方々の笑顔や「造れてよかった。ありがとう」という言葉にやりがいを感じています。
敦賀で新幹線のトンネルが貫通した瞬間です。一部区間の施工監理を担当したのですが、自然が相手なので思い通りにいかないこともありました。何年もかけてようやく掘り終わり、光が差し込んできた瞬間に「この仕事をやりきった!」と感じました。
札幌の事務所にいたときに担当した用地取得の仕事が印象に残っています。適正な価格で土地をお譲りいただけるよう、地道に交渉を重ね、地権者の方に了承していただいたときは達成感がありました。仕事の結果がきちんと形に残るのも、嬉しかったですね。
仕事ではどのような方々と関わることが多いですか?
経理課時代は社内のあらゆる部署の方と、現在は海運会社の方や造船所の方など社外とのやりとりが多いです。
基本的には同じ部署の方と関わることが多いです。ときには技術に詳しい方など、関係する部署のみなさんに相談しています。敦賀にいた頃は工事を施工する工事会社の方、土地をお譲りいただいた地元の方とも接していました。
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東京の事務所で働いていたときは、鉄道と道路がぶつからないようにするにはどうしたらいいか、自治体の職員の方と相談することがよくありました。現在の総務課では、JRTTの職員とのかかわりが多いですが、業務で使うITのシステムについて、ベンダーの方と打合せをすることもあります。 |
一緒に働いている職員の方の雰囲気はいかがですか?
穏やかな方が多い印象です。相手を思いやり、皆で協力して事業を進めるという意識を持って働いている方が多いのだと思います。
世代を問わず明るくて元気な方も多いです。仕事でうまくいかないことがあっても、「めげずにがんばっていこう」と前向きな方が多い印象です。
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自然を相手にしているということもあり、ひとりでは進められない仕事が多いので、みんなお互いにコミュニケーションをとることを大事にしていると思います。 |
入社後の研修やサポートはありましたか?
新入職員研修が2週間あり、同期と仲良くなれました。そのあとも5年目までは毎年本社で研修があるので、同期たちと定期的に顔を合わせています。
研修では同期が一堂に会するので、仕事に関する情報交換もできますよね。年次ごとに実施する研修以外にも、職種に応じた研修もあり、仕事をするうえでとても役立っています。
メンター制度も印象深かったです。年次の近い先輩とペアを組んで、月に1回面談します。時には一緒にランチをしながら、仕事やプライベートの悩みを聞いてもらうこともありました。
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ほかにも10年目までの職員を対象に、自分のスキルを磨いていくために毎年目標を設定し、上司との面談を通じてスキルレベルを確かめることができるプログラムもありますよ。 |
職場のワークライフバランスはいかがですか?
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仕事と遊びのメリハリはしっかりしているので、ワークライフバランスはうまく実現できていると思っています。どこの会社もそうだと思いますが、ときには残業をすることもあります。でも、残業に追われて自分の生活が成り立たない、なんてことはありません。 |
私も仕事とプライベートは両立できていると感じています。子どもがまだ小さいので朝は保育園に送ってから出勤していますし、子どもが急に発熱したときはお休みをいただくこともあります。在宅勤務制度や育児休業制度にも助けられています。男性でも育休を取得する人は増えていますし、それを妨げるような空気もありません。私も子どもが生まれたときは2ヶ月間育休を取得しました。
仕事と家庭を両立している先輩をたくさん見ているので、もし将来結婚や出産をしたときにも働き続けられそうな職場だと思っています。子どものために在宅勤務をする方や急に帰らなければいけない方がいるときにも、みんなで支えようとする雰囲気があります。
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あと、有給休暇をとりやすいですよね。 |
入社したばかりの頃も、「ゴールデンウィークや年末年始に有給休暇を追加して長めの休みにしてもいいよ」と上司に言ってもらえました。
職員の男女比率を見ると、男性のほうが多い印象を受けました。女性が少なくて働きにくい、と感じたことはありませんか?
私も入社前は男女比率に少し不安がありましたが、事務所に配属されると、年次の近い女性の先輩がたくさんいらっしゃいました。キャリアに関しても男女差は感じません。
大学時代はどのような勉強をしていましたか?
水理学を専攻していました。ただ、学業と仕事は無理に関連付けなくても良いのではと考えていて。鉄道や道路など大規模な公共事業への憧れがあり、JRTTに入りました。
私は音楽教育学を専攻していました。就活の際には教員になるのか、企業に勤めるのか考えて、自分の理想に近いのは後者だと気づきました。経済的な規模が大きくて、多くの人に笑顔を届けられる仕事をしたいと思ったんです。さまざまな企業を見ていく中で、国の政策実現の一翼を担っているJRTTに興味がわきました。
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大学ではマクロ経済学を勉強していました。でも就活で重視していたのは仕事の内容よりも、働いている方の人柄です。JRTTの説明会に参加した際の雰囲気がとてもよかったので、就職したいと思いました。 |
独立行政法人を選んだ理由もあるのでしょうか。大学の友人は公務員などを志望している子が多いので、気になっています。
公務員は企画立案がメインで、独立行政法人は企画を実務として落とし込んでいくイメージがありました。自分だったら後者の仕事をしたいと思ったのが、独立行政法人を選んだ決め手です。民間だけではできない、大きなプロジェクトに携わることができるのも魅力だと思いました。
どんな学生がJRTTに向いていると思いますか?
協調性のある方ですかね。社内外で様々な打合せをすることがありますが、相手の気持ちになって考えることが大切だと感じます。仕事には常に相手がいるということを意識して、共感力を持って話をできる人が向いていると思います。
リーダーシップのある方も向いています。いろんな立場の人と相談や意見交換をして、プロジェクトを遂行するための判断をするのがJRTT職員の仕事です。そうしたときの決断力や、主体的に進めていく姿勢は業務に大いに役立つと思います。
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うまくいかないとき、あきらめるのではなく「どうしたらうまくいくか」を考えられる人と一緒に働きたいですね。用地協議は時に難航してしまうこともありますが、どのようにアプローチすべきかを考え、根気強く取り組む力が欠かせません。 |
本日は貴重なお話をありがとうございました! これから就活を始めるので、とても参考になる内容ばかりで。鉄道や船など生活に欠かせないものをつくり、ささえている魅力的なお仕事だと感じました。
僕は就活の最中で、「影響力の大きな仕事をしたい」と自分の中で軸を考えています。これまではマスマーケティングや広告に目を向けていましたが、JRTTのような仕事もあると知って視野が広がりました!
日本の未来の交通ネットワークに貢献。JRTTで働く仲間を募集中!
JRTTでは、2026年卒向けの新卒採用を実施中。土木、機械、建築、電気、事務の5つのフィールドで働く仲間を募集しています。
日本の鉄道や船舶を支え、未来へのレールを敷いていくJRTTの仕事。興味を持った方は採用HPや公式SNSをチェックしてみてはいかがでしょうか?
JRTT特設サイトも要チェック
JRTTをもっと知りたい方に向けて、特設サイトがオープンしました。「具体的にどんな路線を建設しているの?」「JRTTで働く魅力とは?」といった内容を知ることができます。