深夜ラジオの代名詞『オールナイトニッポン』(以下:ANN)。その枠の中に、27時からの放送枠『オールナイトニッポン0(ZERO)』(以下:ANN0)がある。2012年の4月期からスタートしたこの枠は、放送開始から12年経った今でも熱狂的なリスナーが健在だ。

直近では、2024年11月24日に『三四郎のオールナイトニッポン0(ZERO)』の番組最大規模となるイベント「三四郎のオールナイトニッポン10周年記念 バチボコプレミアムライブ in 日本武道館」を開催。9000人以上のリスナーが大熱狂した。

そんなコアリスナーを抱えるANN0だが、最近ではラジオの垣根を超えている。2023年10月2日よりライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」と手を組み『ANN0』を無料独占ライブ配信。ラジオ番組生放送中のスタジオの様子を、動画で見ながら無料で楽しめるようになったのだ。

映像と音声、メディア同士がクロスすることで盛り上がりを見せている印象だが、このコラボが実現した理由は何なのか。なかなか聞けない裏側を『オールナイトニッポン』のプロデューサーを務める冨山雄一氏と17LIVEでコンテンツグループ統括責任者を務める田代渚氏に聞いた。

昨年10月からライブ配信中の「ANN0」で起こっている変化

――早速ですが『ANN0』ライブ配信の反響はいかがでしょうか?
  • 【17LIVE株式会社 コンテンツグループ統括責任者 田代 渚】

非常にポジティブな反響をもらっています。SNSを見てみると、やはりANNが持っているパワーや大きさを感じますね。


今の若い人たちはスマホで映像を見る世代ということもあって、相性がいいなと感じています。特に10~20代の人たちは、“ラジオ番組配信の様子を見る”というよりも、“1つの映像配信を見る”ような感覚で楽しんでもらえているようです。17LIVEさんと組んでから、新しいリスナーがどんどん流入してきてくれている実感もあります。


――特に反響が大きかった回についてもお伺いしたいです。

歌い手のEveさんとゲーム配信者のキヨさんがパーソナリティを務めた回は凄まじい反響がありました。やはりEveさんのように普段顔出しをしていない方だと、手がちらっと映るだけでもレアだったようで。新規の視聴者も増加しましたし、反応もよかったです。


  • 【株式会社ニッポン放送 コンテンツプロデュースルーム・ルーム長 冨山雄一】

その回は、17LIVEさんがどんな形でもおもしろがってくれるのが功を奏したと考えています。やはり映像プラットフォームなので「ちゃんと人が出てきて動かないとダメですよ」という場合もあったと思うんです。ただ、パーソナリティの一部パーツだけをちら見せしたり、スケッチブックを見せたりするような動きを許容してくださったことで、おもしろさが生まれたのかなと。VTuberの星街すいせいさんがぬいぐるみを置いて参加した回も非常に反響がありましたね。


そう言っていただけると嬉しいです。


これまでは映像の見せ方が補助的だったのに対し、17LIVEさんの場合はそれに限らないのも大きいです。例えば、森香澄さんが特番をやった際には、”あざとカメラ”と名付けた17LIVE専用のハンディーカメラを彼女の手元に置いて配信していました。あれはネーミング込みで非常におもしろい仕掛けだったなと思います。


また、反響が大きかった回でいうと、あのちゃんと幾田りらさんの生歌パフォーマンス。あれもすごくレア感がありました。生放送で歌を披露するのは緊張感もあると思うのですが、素晴らしいパフォーマンスだったなと。僕自身も印象に残っています。


それに関連すると、今年の9月9日から1週間、アーティストがパーソナリティを担当する『ニッポン放送70周年記念オールナイトニッポン MUSIC WEEK』を開催しました。そのときにハンブレッダーズが生演奏を披露したのも反響が大きかったです。スタジオにバンドセットを用意したのでかなりギュウギュウ詰めだったのですが、その様子を映像で見られるからこそわかるおもしろさだったと思います。「17LIVEで配信しているからこそ、映像でも楽しめるよう濃い内容にしたい」というところに結びついている気がしますね。


――レギュラー回に目を向けてみても、映像をうまく使っているパーソナリティが多い印象を受けます。

毎年「三四郎のANN0」に、なかやまきんに君がゲストで登場するのが恒例となっているのですが、あまり噛み合わずに間が空くというおもしろさがあると感じています。それだけでもラジオとしては成立しているのですが、映像で見ると3人がアイコンタクトを取っている様子が見られるので、おもしろさが増しているなと感じました。


「メディアやネットにおける秘密基地のような感覚」
ANNがライブ配信プラットフォームと組み始めたきっかけやメリット

ーーそもそも『ANN0』と17LIVEがタッグを組んだきっかけを教えてください。

もともと17LIVEの存在は知っていて、以前からオファーをさせていただいてはいました。その中で、17LIVEとニッポン放送側のタイミングがちょうど合致したのが去年の10月だったと感じています。


かなりスケールの大きな取り組みなので、慎重に考えなきゃいけないなと思いました。ただ、結果を見ても、一緒に取り組むことができて、非常によかったと改めて感じています。


ーーどのような点に、タッグを組んだ良さを感じているのでしょう?

このANN0が始まる27時って、多くの人は寝ている時間だと思うんです。ただ、データ上で見てみると、いわゆるANN0の時間帯の視聴維持率(最初から最後まで見てる人の割合)が非常に高いんですよね。そのようなところにANNのパワーを感じています。


27時台にコンテンツが生で動いているメディアって、たぶんANNだけだと思っていて。ただ、同じように動いているという意味では、ライブ配信プラットフォームもそうで。メディア側とインターネット上で動いているものの2軸が合体して動いている感じから、メディアとかネットにおける“秘密基地感”を感じています。それに僕としては17LIVEで配信している映像が、実はライブだけで消えちゃうというのも、とてもいいなと感じています。リアルタイムでしか味わえない楽しさという意味で。27時に17LIVEを開いたら、月〜金まで絶対に誰かがいるみたいなANN0ならではの特性とも相性がいいのかもしれませんね。


ーーこれまでのANNのリスナーは17LIVEをどのように活用されている印象ですか?

やはり映像を見ながらラジオを聴けるところが、大きな魅力になっている印象です。それと同時に、17LIVE上でコメントできる、リアルタイム性も刺さっているのかなと。


それから27時という時間帯は家にいるユーザーも多いので、そことの相性も良いのだと思います。どうせラジオを聴くのなら、寝転びながら聴くだけじゃなく、見ようと。その結果、チャット欄や、SNSで参加しやすいのかなと感じています。ラジオ終了後に見られる、17LIVE限定のいわゆるアフタートークを楽しみにしているリスナーも多い印象です。


そうですね。17LIVE限定アフタートークのみアプリ内でアーカイブ配信を残しているのですが、SNSで盛り上がった回はアフタートークを目的に17LIVEを観に来てくれる方も多くいらっしゃいます。


視聴はこちら
※17LIVEアプリのインストール後、無料でご覧いただけます

ラジオ配信やライブ配信における変化/ラジオとライブ配信の親和性

ーーライブ配信やラジオ配信における、近年の市場の変化を教えてください

17LIVEは、いわゆるライブ配信専用のプラットフォームとして、日本では2017年の9月からサービスを始めました。そこから、いわゆるコロナ禍、2020年4月ぐらいに一気にビジネスとして成長をし、2020年から2024年にかけてはだいたい市場規模って7倍ぐらいになっていて、ここから先の10年でも大きく成長すると見込まれています。今のビジネスモデルは基本的にギフティング(投げ銭)によって成立しているのですが、今後は例えばライブコマースなどのような新しいビジネスモデルがどんどん入ってくるんだろうなと感じていますし、我々としてもそこに入っていかなければいけないと感じています。


ラジオに関しては、スマホでラジオを聞けるようになったことが1つ革命的なことかなと。スマホを持っている=1人1台ラジオを持っているのと変わらない状況ですからね。それを受けて、ラジオの作り方も変わってきています。今までは、時計代わりにラジオを聞いている方も多かったのですが、最近はわざわざ聴きにくる人、その番組を目掛けてくる人が多いので、つけっぱなしにしていたら、いつの間にか聴いていたが成立する時代ではないなと感じています。


そう言う意味では、ライブ配信とも似ているかもしれません。


スマホの可処分時間にYouTubeを開くのか、TikTokを開くのか、radikoや17LIVEを開くのか、というところにどうやって存在感を出して割って入るかが重要になっています。そう言う意味では、出面が多いほうがリーチできる人数が圧倒的に増えると思っているので、radikoもやりますし、Podcastもやりますし、17LIVEさんとも手を組んでいる、それが今のコンテンツの作り方のような気がしますね。


共通点は「リアルイベント」。なぜそこに熱狂が生まれるのか?

――両社に共通するポイントとして「リアルイベント」があるかと思いますが、なぜそこに熱狂が生まれると感じますか?

17LIVEにおいては、イベントがユーザーさんやライバーさんの行動を喚起するトリガーになっているので、重要視しています。その中でもリアルイベントは、直接会場に行くことでしかわからない熱量や、ライバーさんがファンと直接会うからこそ感じるものがすごくあるのだと思っていますね。


非常に通ずるなと感じたのが「三四郎のオールナイトニッポン10周年記念 バチボコプレミアムライブ in 日本武道館」です。このイベントは、リスナーじゃないときっと理解ができない内容になっていたと思っています。でも、その分、圧倒的に濃くて、深く狭いイベントだったんです。


スポーツ観戦やコンサートにも似ていますよね。映像のほうが見やすいけど、スタジアムに行かないとわからない魅力や熱狂がある。17LIVEのリアルイベントでも全く一緒のことが起きている感覚があります。


ANN0のイベントでいうと、27時に集まっている人たちのオフ会みたいだなと感じています。普段はラジオや17LIVE、SNS上で集まっている人たちがリアルで会う、普段の番組から地続きな人たちの集まりのような気がしています。だから、集まったときに他人じゃない感覚がするのかなと。


そうですね。17LIVEのリアルイベントも、現状はクローズドなコミュニティの中に生まれる熱狂がすごく大きくて。だからこその深さはあるのかなと感じています。


おそらく今の時代って、マスよりもコア、狭く深くみたいなところに熱狂が生まれると思うんです。そこが、ラジオと17LIVEの親和性が高い理由の1つだと思っています。


伸長を続ける「オールナイトニッポン」ブランドの今後のビジョン

ーー今後、一緒に手を組んでやりたいことがあれば教えてください。

ぜひ一緒にやりたいなと思っているのは、オフラインイベントですね。そこは我々としても強みですし、ANNさんでも明確に熱狂を生んでいるものだと思うので。コラボレーションする可能性があるのかなと感じています。


今、半年に1回17LIVEのライバーさんに生放送に出てもらう取り組みをさせていただいているんですけど、この取り組みをもう少し発展的にできたらと考えています。



「オールナイトニッポン0(ZERO)」と「17LIVE」のコラボレーションは、ニッポン放送のラジオ文化とライブ配信のリアルタイム性を融合させ、深夜27時だけの特別な体験を生み出している。深夜の特別な時間を、ぜひあなたも体験してみてはいかがだろうか?

なお、12月30日(月)〜1月4日(土)の週はお正月スペシャルウィークとして、1夜限りのスペシャルなパーソナリティが連日登場。是非お見逃しなく!

視聴はこちら
※17LIVEアプリのインストール後、無料でご覧いただけます

[PR]提供:17LIVE