住み慣れた地域で、誰もが豊かで安心して暮らすことのできる地域社会づくりに貢献するため、保障の提供と地域貢献活動に取り組んでいるJA共済。

その取り組みのひとつに挙げられる「防災・減災・災害救援」の一環として、JA共済は令和6年10月19日・20日に開催された「ぼうさいこくたい 2024 in 熊本(内閣府主催)」にて、熊本大学とコラボして『ザブトン教授の防災教室』を出展しました。

本記事では、熊本大学とのコラボに至った経緯や、出展に込めた想い、イベント当日の様子をご紹介します。

防災・減災・災害救援にかけるJA共済の想い

JA共済では、「一人は万人のために、万人は一人のために」という「相互扶助」を事業活動の原点として、組合員や利用者に対して「ひと・いえ・くるまの総合保障」を提供しています。

例えば「いえ」の保障では、火災や台風・地震などの自然災害による不測の事態が生じた場合、組合員やそのご家族に生じる経済的な損失をカバーし、生活の安定を図ることを目的に、共済による「保障の提供」を行っています。

しかし、自然災害が多発化かつ多様化している日本の現状を踏まえると、事後の保障だけでは十分とは言い切れないとJA共済は考えています。事前に被害を回避したり、減らす取り組みについても、共済による「保障の提供」と同じく重要視しています。

そうした考えから、JA共済は「地域貢献活動」の一環として、防災・減災・災害救援の活動に力を入れるようになりました。「全国の組合員や利用者の皆さまが、それぞれの地域で豊かで安心して暮らすことのできる地域社会づくりに貢献したい」。この想いを実現するため、共済事業と地域貢献活動はどちらも欠かすことができない取り組みなのです。

災害救援に向けた地域貢献活動では、災害発生時に「災害シート・災害キットの無償配布」(※ JA共済のご契約者さまで一定の要件を満たす場合に限ります。)をはじめとした、さまざまな復興支援を実施しています。今年1月の「能登半島地震」においても、多くの被災された方々を支援しました。

また、普段から防災・減災のための啓発活動に注力しているのもJA共済の地域貢献活動の特徴。イス型の地震動体験装置「地震ザブトン」を用いて、過去に発生した地震の揺れを体験できる『ザブトン教授の防災教室』を全国各地で展開しています。今回の「ぼうさいこくたい 2024 in 熊本」で、3年連続3回目の「ぼうさいこくたい」への出展となりました。

JA共済の地域貢献特設サイト
「ザブトン教授の防災教室」

JA共済の地域貢献特設サイト
「ちいきのきずな」

熊本大学とコラボ! 特別プログラム完成までのドラマを振り返り!

では、どうしてJA共済は熊本大学とコラボすることになったのでしょうか? 「ぼうさいこくたい 2024 in 熊本」の開催前日、熊本大学に足を運び、経緯や狙いについてお伺いしました。

プロフィール

――まず、出展する『ザブトン教授の防災教室』について、概要を教えてください。

山﨑さん:『ザブトン教授の防災教室』は、「地震ザブトン」というイス型の地震動体験装置を用いた体験学習型プログラムで、過去に発生した地震のリアルな揺れを疑似体験いただき、備えることの重要性を啓発するものです。

今回は、熊本大学工学部の竹内研究室とコラボレーションし、平成28年に発生した熊本地震を軸とした、特別プログラムを制作しました。参加者に対し、熊本各地の揺れ体験に加え、熊本地震に関する知識や教訓、家具固定の方法などについて考えるきっかけを学生たちと一緒に提供します。

  • JA共済 山﨑勝也さん

なお、内閣府等が主催する「ぼうさいこくさい」は国内最大級の防災イベントです。来場者も多く、防災・減災を啓発する貴重な機会と捉えています。

――熊本大学の竹内研究室とコラボすることになった経緯について教えてください。

和泉さん:昨年、神奈川県で開催された「ぼうさいこくたい」に出展した際、竹内教授とお会いしたことがきっかけになりました。その後、ぜひ一緒に何かできないかと相談させていただきました。

地域防災をテーマに掲げる竹内教授の研究室では、地域ごとに異なる防災の取り組みの必要性を提唱・研究されていますので、地域に根差した地域貢献活動を行っているJA共済の理念は共通する部分があると感じています。学生ならではの自由なアイデアと行動力によって、私たちの発想を超えるものを得ることができるのではないかと、大いに期待していました。

  • JA共済 和泉崇之さん

――学生主導で特別プログラムを制作するにあたり、「地震は急に誰にでも起こり得るものと意識してもらい、その後の防災対策につながるものにしてほしい」とJA共済から要望があったと聞いています。どのあたりを工夫しましたか?

喜志永さん:「熊本地震の疑似体験を通じて、日常の防災対策を見直す」をコンセプトに据え、「地震ザブトン」体験とその前後を3ステップに分けて、災害を自分事化してもらえるように制作しました。

ステップ1では、熊本地震に関する知識や教訓を、ステップ2では「地震ザブトン」を、ステップ3では家具固定などの防災対策を行うことの重要性について考えるきっかけを提供しました。

3つのステップの中で僕はステップ2の「地震ザブトン」体験を担当したのですが、心の準備をせずに新鮮な気持ちで座ってもらえるよう、待機列から「地震ザブトン」の動きが見えないようにブラインドを設置したのが今回工夫したところです。

  • 熊本大学 喜志永佑磨さん

古閑さん:私は「地震ザブトン」体験後の家具固定などの防災対策について考えるステップ3を担当しました。体験前の学習内容や「地震ザブトン」体験の感想を引き出し、突然発生する地震に対してどのような備えをすれば有効なのか、ミニチュア家具や家具転倒防止器具などを実際に用いながら具体的に問いかける内容にしています。

  • 熊本大学 古閑智夏さん

――それぞれの担当でアイデアをカタチにする際、何か苦労したことはありましたか?

喜志永さん:3つのグループに分かれて作業を進めていったのですが、来場者が一連の流れを体験するにあたって、全体のビジョンを共有しながらも内容の重複を避けたりするために小まめにすり合わせを行うことが大変でした。JA共済の方などと話し合うだけでなく、学生全員でのミーティングも何度も行いました。

竹内教授:私の研究室では企業とコラボするプロジェクト自体が珍しいので、学生たちは自分たちが主体となって進めていくことに慣れないところもあったかもしれません。しかし、作るモノの規模が大きい土木建築の世界においては、人とのコミュニケーションや客観性を重んじる姿勢が特に求められることを日頃から伝えてきました。知らず知らずのうちに染み込んでいた力が活かされたのではないかと思います。

  • 熊本大学 竹内裕希子教授

古閑さん:「地震ザブトン」体験が目玉になるので、体験後のステップ3はダレてしまいがちですが、日常の防災対策につなげるための重要な役割を担っています。真剣に情報を伝えつつも、前向きに家具転倒防止について考えてもらえるように楽しい雰囲気づくりを目指すことにしました。リハーサル時には竹内先生やJA共済の方に来場者役をお願いして、フィードバックをいただきながら台本をブラッシュアップしていきました。

――JA共済とコラボしてみて、どういった意義を感じていますか?

竹内教授:演習では提案で終わってしまうケースが多いので、予算や納期といった“大人の事情”に直面しながらも自分たちのアイデアをカタチにしていくプロセスを学べたのは、良い経験になったのではないでしょうか。就職すると責任が生じるであったり、学生時代のように楽しめないのではという印象を抱きやすい学生たちにとって、本業に携わる大人たちの“本気の遊び心”が垣間見えたのは、すごく意義深いものになったと感じています。

――「ぼうさいこくたい」に向けて、意気込みをお願いします。

古閑さん:自宅の家具転倒防止対策はもちろん、地震はいつ起こるかわかりませんので、外出先や旅行先で頼りになる情報やモノについてもお伝えしたいです。

喜志永さん:防災・減災の関係者は何も専門家だけでなく、JA共済のような身近な団体もさまざまなカタチで関わっていることを初めて知りました。防災意識が高まる機会になり、ほかの取り組みにも興味を持ってもらえるようになればうれしいです。

「ぼうさいこくたい」の様子をレポート!

そして迎えた10月19日。会場のひとつとなった「熊本城ホール」はたくさんの人で盛り上がっていました。『ザブトン教授の防災教室』のブースには、開始時刻前から並ぶ人の姿も。

1つ目のステップでは、熊本地震に関する知識をクイズ形式でチェック。学生に解説してもらいながら、理解を深めていきます。

2つ目のステップでは、「地震ザブトン」で熊本地震を疑似体験。待機列の前にはブラインドがあり、前の人の様子が見えないため、緊張感が増します。9つの地域から2つを選び、地域や地盤などによる揺れの違いを比較。場所によって揺れ方や振れ幅が異なり、震源から遠くても決して油断できないことを、身をもって知りました。

3つ目のステップでは、家具転倒防止について考えます。本棚などが転倒して扉を塞いでしまうと、部屋に閉じ込められてしまう恐れがあります。本棚の重さを想定した30kgのお米を持ち上げようとしてみると、家具を固定する必要性を痛感せずにはいられませんでした。ワークショップでは、ミニチュア家具と家具転倒防止器具を使って、実際にどうすれば家具を安全に固定できるかを、体験していきました。

すべての体験が終わると、修了証が授与されました。来場者からは「『地震ザブトン』が見えず、ドキドキした。同じ震度でも場所によって揺れ方が違うのを体験できて勉強になった」「ちょうど引っ越ししたばかりなので、教えてもらった家具固定の方法を試してみたい」「家具固定は見て見ぬふりになっていて、後回しにしてしまっていた。ちょっとしたことで被害が変わるのを体験できたので、帰ったら実践したい」といった声が聞かれました。

「熊本地震の疑似体験を通じて、日常の防災対策を見直してほしい」。熊本大学の学生たちの想いは体験された方にしっかりと伝わったと言えるでしょう。

「被災した瞬間は何もできない」。教訓を胸に、事前に防災対策を!

最後に、今回の振り返りと今後の展望についてJA共済の山﨑さんと和泉さんに語っていただきました。

――熊本大学の学生とコラボしたからこそ得られた効果や、プログラムの充実度を高められた点などがあれば教えてください。

山﨑さん:地域防災について学ばれている学生たちの知見や、実際に熊本地震で被災された経験を活かした学生ならではのアイデアと行動力のおかげで、私たちの発想を超える“特別プログラム”をつくることができたと自負しています。

約4カ月間、どうすれば備えの重要性を認識いただき、その後の行動に移してもらえるのかを論点に、学生たちと一緒に考え、議論し、試行錯誤しながらカタチにしていく経験は、私たちにとっても貴重な時間となりました。そうしたプロセスを経たからこそ、素晴らしいプログラムが完成したと自信を持てるまでに至ったと考えています。

――学生とのコラボを今後も続ける予定はありますか?

和泉さん:今後も、防災・減災活動に限らず、さまざまな分野で学生とのコラボをしていきたいですね。JA共済としては、今回のように学生たちの柔軟な発想を取り入れることで、新たなチャレンジや展開につながると考えています。一方で参加いただく学生たちにとっても、「教わる側」から「教える側・伝える側」になることによって、より深い理解が得られると思いますし、企画力や折衝力など今後さまざまな場面で役立つスキルを育む一助になれば幸いです。

――JA共済の防災・減災活動について今後の展望を教えてください。

和泉さん:今年8月8日に政府が「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表したこともあり、防災・減災に向ける意識はこれまで以上に高まりつつあると考えています。しかしながら、それを自分事として捉え、大災害への事前の備えを具体的に実行するに至っている方々はそう多くないかもしれません。

JA共済では、引き続き、積極的に防災・減災にかかる啓発活動に取り組み、少しでも多くの方に“災害への備え”の重要性を伝えていきます。また、今回の熊本大学との取り組みを契機に、今後もさまざまな団体・企業などと協力しながら、活動の輪をさらに広げていきたいと思っています。

――防災意識を高めるために読者に伝えたいメッセージをお願いします。

山﨑さん:災害は誰にでも起こり得るものです。過去被災された方々に話を伺うと、「被災した瞬間は何もできない」と口を揃えておっしゃいます。そうした教訓を自分事として捉え、事前に備えることが大切です。

防災・減災の取り組みはさまざまありますが、自分でできることからひとつずつ実行していくしかありません。JA共済では地域貢献特設サイト「ちいきのきずな」で災害などへの備えについて情報発信をしていますので、ぜひご覧ください。

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JA共済と熊本大学がコラボした特別プログラムは、大盛況のうちに幕を閉じました。JA共済は、防災・減災の取り組みのほかにも健康増進活動・交通事故未然防止活動など幅広く地域貢献活動に取り組んでいます。全国各地の地域社会に対応した、多彩で充実した活動が行われていますので、チェックしてみてください。

JA共済の地域貢献特設サイト
「ザブトン教授の防災教室」

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