高いホスピタリティと運転技術で、お客様に安全かつ安心の時間を提供するハイヤー乗務員。実際にどんな働き方をしていて、どのような学びや気づき、そして成長があるのでしょうか。また、そのためにはどういったスキルや努力が求められるのでしょうか。
そこで、1950年にハイヤー事業を創業し、74年間の歴史を持つ大和自動車交通グループの大和自動車交通ハイヤー株式会社、代表取締役社長・矢野尚(やの・ひさし)さんと、同社で働くハイヤー歴28年のベテラン乗務員・最所英幸(さいしょ・ひでゆき)さんの2人に、マイナビニュースの若手社員が話を聞いてきました!
はじめに……【ハイヤーの基礎知識】を紹介!
ハイヤー乗務員とタクシー乗務員は何が違うの?
タクシー乗務員の仕事は「走る」ことがメイン
読者のみなさんも一度は利用したことがあると思いますが、タクシーはできる限りさまざまな場所へ行き、たくさんのお客様を乗せて走ることが独自の経験となり、キャリアアップにつながります。
ハイヤー乗務員の仕事は「待つ」ことがメイン
基本的に固定のお客様に対し、1日を通じて安全で安心な運転をお届けすることはもちろんですが、一度送り届けたあとはいつでも迎えができるよう近くで待機することが求められます。また、お客様は役員クラス以上の方が主なので、運転技術や知識に加え、高度なホスピタリティ=おもてなしの精神が重視されます。
………このように、車を走らせることは同じでも目的や提供するサービスは真反対と言えるほど、異なる仕事なのです。
待つことがメインという「ハイヤー乗務員の1日」ってどうなっているの?
上記はあくまで会社への送り迎えのみの場合で、これに会食や週末のゴルフなどが加わるとスケジュールはその都度変化します。また、待機中はいつ声がかかるか分からない(仕事・プライベート問わず急な用事の発生)ので、基本的には持ち場を離れて勝手に移動はしません。
「ハイヤー乗務員になったからこそ……」大きく成長が得られる仕事
ではここからは、矢野さんと最所さんにハイヤー乗務員について、詳しく話を聞いていきたいと思います!
お客様から言われて印象的だったこと、思い出に残っていることはありますか?
最所さん: 10年以上前に担当したお客様から「スピードを出さないように」と言われたことがあります。お客様いわく、「たとえ5分10分遅れたとしても事故を起こすリスクのほうがはるかに高い」と。その言葉は非常に印象に残っています。その一方で「とにかく急いで」とおっしゃるお客様もいますので、そこは難しいところではあります。
サービス面では、後部座席が4人乗りの大型車を運転していたとき、座席の冷蔵庫に常に自前で水とおしぼりを入れておくことを心がけていました。あとは朝の移動時にお客様が読むための新聞やハンガー、スリッパですね。上着がしわにならないようかけたり、靴を脱いでリラックスできたりしていただくように用意していました。
矢野さん:ハイヤーは「動く応接室」と呼ばれるように、お客様にどれだけリラックスしてもらうかが大切です。しかし、お客様によって求めるサービスはそれぞれ異なりますので、その人に合わせた柔軟な対応が求められます。
ハイヤー乗務員をやる上で、勉強したことや絶対に必要だと思うことは何でしょうか?
最所さん: お客様ご本人に対する丁寧なサービスももちろんですが、ご家族、特に奥様への対応も非常に大事です。逆にそういうところを見ているお客様もいらっしゃいます。
例えばどの分野の仕事でもそうですが、やはり挨拶をきちんとすることではないでしょうか。「おはようございます。本日もよろしくお願いいたします」。まず基本中の基本である挨拶ができないと、マイナス(の印象)から入ってしまいます。
お迎えにあがるときに奥様が玄関先にいらした場合は、当然奥様に挨拶いたしますし、近所を散歩されている方、近くに住んでいる方、同じマンションの方など通りがかりの方でも挨拶をいたします。基本を愚直に守ることで、仕事が円滑に進んでくれると思っています。
挨拶は、簡単ですけれど丁寧にきちんと。これは本当に大切なコミュニケーションの基礎です。
最所さんが普段から心がけていることや何か続けていることはありますか?
最所さん:ハイヤーは待機時間が多いので、自社もしくはお客様のお勤め先に待機室があります。そこでは当然、他の企業の乗務員さんもいるのですが、積極的に自分から挨拶するようにしています。普段からしっかりとコミュニケーションを取っていると、自分が困ったときに相談に乗ってもらいやすくなりますから。
ルーティン的なものとしては、朝の出社前にも必ずシャワーを浴びていて、28年間、欠かしたことはありません。車という密室の中なので、お客様に不快な思いをさせないように、“におい”に対しては細心の注意・対策を払っています。制汗スプレーや汗拭きシートは必須ですし、下着の替えも持ち歩いていますよ。
未経験者でもチャレンジできる? 採用時に注目するところ、入社後の研修制度を知りたい!
実はこれも気になっていたのですが……入社してから実際お客様を担当するまでの流れや研修制度について教えてください。
矢野さん:まずは入社して2カ月半ほど、教官の指導のもと実際に道を走りながら覚えていく研修がございます。それと並行して、さまざまな場面でどのような対応をすれば良いのかという、基本的なサービス面での基礎知識を教えていきます。
そこからお客様の朝の出勤や帰宅のみの業務から始めて、少しずつ現場に慣れていってもらいます。その後、1人のお客様専用の乗務員となる「専属」や「請負」(お客様が所有している車に乗って送迎するサービス)などに配属します。平均して半年、早ければ3カ月ほどで配属されるというのが主な流れです。 そこから先は乗務員それぞれに対応を任せることになりますが、研修期間が終わったあとも会社から乗務員と綿密に連絡を取り、わからないことや疑問点があれば一緒に考えて改善していきます。
採用時には、どんな点を意識して見ているのでしょうか?
矢野さん:これは当たり前のことかもしれませんが、相手の目を見て話ができるかどうか。やはりお客様を相手にする仕事ですので、挨拶、社会人の言葉遣いなど話し方、話の聞き方など最低限のコミュニケーション能力があるかどうかを重視します。
反対に運転技術や道路を知っているかどうかはあまり気にしていません。またカーナビだけに頼りすぎると、ナビが使えない時に困ってしまうため、新人乗務員には必ず見開きの地図を用意し乗車後にその日走った道を振り返って覚える、というやり方をすすめています。これは30年、40年のベテランでもやっていることです。
最所さん:カーナビに頼っていると“景色”を覚えないんですよ。もちろん便利だし使ってもいいですけど、私たち乗務員は街の景色で道を覚えることも多いので、アナログな部分も決して疎かにはできません。
未経験や他業種からのチャレンジでも、挑戦はできるのでしょうか?
矢野さん:ハイヤー乗務員の仕事は、普通の人ではなかなか経験することができないステータス性の高さが魅力の1つです。自分の努力次第では10年、20年、それ以上も続けられ、しかも自分にしかできない独自のキャリアを積み重ねることができます。応募される方のなかには、ほぼペーパードライバーという人もいらっしゃいます。むしろ変な運転のクセがついてない方が覚えるのも早いし、成長する伸び代があると私は思います。
最所さん:私は他社のハイヤー乗務員を務めていたこともあるのですが、大和自動車交通は他と比べて家庭の匂いがするというか、“壁”が少ないです。自分の可能性にチャレンジできるという意味でも、やりがいのある職場ですね。
最後に、ハイヤー乗務員の仕事を一言で表すと?
矢野さん:「信頼」です。
人と人とのつながりですね。極端な話、そこだけで成り立っていると言っても良いかもしれません。互いに信頼関係があれば、たとえミスをしても、カバーしたりフォローしたり、次のチャンスをもらえたりしますので。
最所さん:「奉仕」です。
お客様を自分の親のように思って接することです。時代が変わってお客様も変わりましたが、この気持ちだけは変わらないと思います。
本日はお話を聞かせていただきありがとうございました!
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このように、お客様の安全・安心を第一に心がけて日々、業務をしているハイヤー乗務員のみなさん。自らのコミュニケーション能力や運転技術・知識を深める努力が必要ですが、その分、他では得られない経験や大きな自己成長にもつながるという、かけがえのない魅力もあります。丁寧で手厚い研修、温かい職場環境に加え、福利厚生もしっかりとした大和自動車交通グループに興味を持った人はぜひチェックしてみてください。
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