住宅や学校、オフィスビルなど、すべての建築物には必ずといって良いほど、ある素材が使用されています。
ガラス張りの建築物は美しく先進的な印象を与え、見る人をうっとりさせます。加えて、その造形美のみならず、建築物に用いられるガラスは断熱や防犯といった重要な機能も担っており、もはや私たちの生活に欠かせない素材となっていることはいうまでもありません。
そう話すのが、ガラス製品を提供する株式会社山田硝子店・代表取締役社長の安藤さんです。今回は、安藤さんにガラスに携わる仕事の魅力についてお聞きしました。
もしも世界にガラスがなかったら……
何気ない当たり前の毎日が様変わり
「ガラスのない世界を想像したことがありますか?」
安藤さんは開口一番、こう投げかけました。
もしも世界にガラスがなければ、まず建築物の開口部をどうするかを考えねばなりません。開口部をなくしてしまえば閉塞感のある空間で息が詰まりますし、だからといって開けっ放しにしておくと、雨風を凌げないのはもちろん、防犯上も問題でしょう。 プラスチックで代用することになるかもしれませんが、可塑剤※が含まれているため、太陽の熱によって変形したりひび割れたり、どうしても劣化してしまいます。 |
※柔軟性や弾性を与えるために添加される物質の総称
「特に窓では、プラスチックがガラスに取って代わることは難しい」と安藤さんは指摘しますが、その理由が機能性。ガラスは耐久性に優れているうえ、種類によっては断熱や遮熱、採光、透視、防犯など、さまざまな機能を有しています。
「光が差し込む明るい部屋で、安心・快適に暮らす」「ガラス一枚隔てただけで、動物や魚たちと触れ合える」。 何気ない当たり前の毎日も、実はガラスがあってこそ成り立っているのです。 |
ガラスがもたらす恩恵に対する示唆に富んだ言葉の数々には、社会に貢献してきた自負が込められていました。それもそのはず。山田硝子店は1927年(昭和2年)の創業以来、100年近くにわたり、大阪市と札幌市を拠点にガラスやサッシの卸・販売を手がけています。
仕入れたガラスを機械で切断・加工し、配送から工事まで自社で一貫して対応しているのが同社の特徴。施工実績は百貨店やショッピングモール、飲食店の内装や、マンションや病院の外構など、近畿圏や北海道を中心に枚挙にいとまがありません。
過去には、2014年に全面開業した「あべのハルカス」の内装ガラス工事にも参加。豊富な実績を積み上げられているのは、ワンストップ対応ならではの品質の高さとスピード感が評価され続けている証といえます。
ガラスを通して関わった“作品”が半永久的に残る。
仕事のやりがいと山田硝子店で働く魅力
建築物にガラスあり。仕事のやりがいについて、安藤さんはこう表現します。
すべての建築物にガラスが使われているといっても過言ではありません。 そのため、ガラスを通して関わった“作品”が半永久的に残るのがやりがいにつながっています。 |
山田硝子店の場合、街を歩けば至るところに施工した建築物が建っていることから、自慢したい気持ちにもなると目を細めました。
1年くらいかけて完成までお付き合いしますので、建物ごとに思い出が詰まっています。 お客さまや関係者の方々と協力しながらひとつの“作品”をつくっていくのも、仕事の醍醐味ですね。 |
そんな安藤さんが社員に求めるのは、自主性。会社のためではなく、自分のために働いてほしいと伝えているそうです。
あまりに管理しすぎると、おもしろみに欠けます。仕事を楽しんでもらうには、自主性が大切。自分のための自己成長が自ずと顧客へのサービス向上にもつながり、結果的に会社のためにもなる。 社員全員が自己成長に向かって力を発揮できるように、切磋琢磨しながらも和気あいあいと働ける職場づくりを心がけています。 |
決算を全社員に毎月開示し、透明性の高い経営を実践しているのも、その一環。さらなる高みを目指し、ともに向上していこうとする雰囲気が醸成されています。また、10年以上前からITツールを導入し、業務の効率化を図って働き方改革を推進。そこには社員への思いが垣間見えました。
経営理念のひとつに「全社員の物心両面の豊かな生活向上を目指す」を掲げていますが、社員には健康的なワーク・ライフ・バランスを保ちながら働いてもらいたいと考えています。 |
「決算賞与を支給したときの社員の笑顔が一番の喜び」と教えてくれましたが、この背景には苦い経験がありました。安藤さんが代表取締役社長に就任したのは、リーマン・ショック直後の2009年のこと。危機に瀕した会社を立て直すため、2年間は昇給も賞与もストップせざるを得なかったと明かします。
それでも社員は誰ひとり退職せず、がんばってくれました。 もう二度とあんな目には遭わせたくないですし、できるだけ利益を還元して社員のがんばりに報いたいと思っています。 |
自由に働きながらも、いざというときには一致団結する。苦難を乗り越えたからこその強みが、事業を発展させているのでしょう。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて。
ガラスは、まだまだ伸び代がある成長産業
順調に業績を伸ばしている山田硝子店ですが、安藤さんは先を見据えたビジョンを描いています。
今後は設備投資を進め、よりデザイン性を追求できる加工機を揃えるなどして内製を拡大させていきたいと考えています。 そして、M&Aを視野に入れながら、5~10年くらいを目途に東京進出に挑戦したいですね。 |
東京を訪れるたび、建築業界の盛り上がりを実感するという安藤さんは、将来性にも大きな手応えを感じていると力を込めます。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、住宅用の窓ガラスが鍵を握っています。なぜなら、高断熱の窓ガラスであれば、夏は涼しく冬は暖かくなり、省エネ・節電に寄与するためです。 政府は、断熱窓への改修を促進し既存住宅の省エネ化を促そうと、補助金制度「先進的窓リノベ2024事業」を設立しました。一般消費者さまにも営業活動の裾野を広げられる好機と捉えています。 |
いずれ、その対象は商業施設やビルにも波及すると予想しているのだとか。人口減少で将来性を不安視する声もありますが、安藤さんは「まだまだ伸び代がある成長産業」とアピールしました。
中でも当社は無借金経営を続けており、健全な財務体質には自信を持っています。腰を据えて、長く働ける職場環境を整えています。 |
安藤さんは「負けず嫌いで、愛社精神のある社員が多い」と評しますが、共通しているのはガラスに携わる誇り。これまで社会を支えてきたガラスは、これからの時代においても果たす役割は決して小さくありません。
Photo:photographer eringi
[PR]提供:山田硝子店