私たちの暮らしに欠かせない電気。エアコンを付けるにも、スマホを充電するにも電気を使います。マイナビニュースのスタッフNも、快適な暮らしに必要な電気に興味がある様子。

そもそも電気は、火力、水力、原子力、再生可能エネルギーなど、さまざまな方法でつくられています。スタッフNが最近の日本の電気の発電方法について調べると、燃料を海外からの輸入に頼る火力発電が約7割を占める一方、電気を安定的に大量につくることができる「原子力発電」の割合が1割未満と少ないことに気がつきました。

資源の少ない日本で電気を安定的に使い続けるためには、さまざまな発電方法を組み合わせる必要がありますが、「原子力発電」と聞くと、安全面が不安だと感じている方もいるでしょう。 スタッフNも原子力発電の安全面が気になりだしたようです。

そこで、今回は実際に新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所を訪れ、いつ起こるかもしれない自然災害に対する安全対策について取材してきました。

「原子力発電」は電気をつくるための方法の一つですが、安全面での不安が拭いきれません。今回の取材では、実際にどのような安全対策をしているのか、しっかり見て理解したいと思います。

柏崎刈羽原子力発電所を取材!
自然災害への安全対策を聞いてみた

今回は、新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所を訪問。実際に自然災害に対してどのような安全対策を行っているのか、東京電力ホールディングス株式会社の高田将克さんにお話をうかがいました。

高田さんは、柏崎刈羽原子力発電所の取り組み状況を新潟県内の皆さまへわかりやすく発信していく役割を担っています。

今日はよろしくお願いします!

さっそく、柏崎刈羽原子力発電所の中をご案内しますね。

柏崎刈羽原子力発電所ってこんなところ

柏崎刈羽原子力発電所は、新潟県のほぼ中央の日本海側、柏崎市と刈羽村に立地する7つの発電設備がある発電所です。

柏崎刈羽原子力発電所の安全対策

柏崎刈羽原子力発電所の安全への取り組みは、どのような考えに基づいているのでしょうか?

 高田さん 「福島第一原子力発電所の事故では、放射性物質を外部に放出するという大変重大な事故を起こしてしまいました。これにより、今もなお、大変多くの皆さまに、ご迷惑とご心配をおかけしておりますことに深くお詫び申し上げます。
柏崎刈羽原子力発電所では、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえて、地震、津波など自然災害への安全対策を行ってきました。」

■地震の「揺れ」への対策

地震対策としては、福島第一原子力発電所事故以前から、原子炉がある建屋内の配管・電線管などのサポート(支え)を強化し、排気筒についても周囲の柱を追加したほか、揺れを軽減させる装置を取り付け、設備の耐震強化を実施してきました。

  • 建物の換気を行う排気筒に、柱を追加して耐震強化を実施

地震対策を詳しく見る

■津波から「守る」

福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて、津波に対しては、どのような対策をしているのですか?

まず、大きな津波にも対応できるよう浸水から重要な設備を守る『防潮堤(ぼうちょうてい)』を設置しました。

  • 敷地の海側に海抜15mの『防潮堤』

とても高くて頑丈そうですね。
でも、もしもこの『防潮堤』より高い津波が来たら、どうなってしまうのでしょうか……?

“もしも”の備えは他にも行っています。海抜5mに設置された1~4号機では、建屋の空気取り入れ口などを『防潮壁(ぼうちょうへき)』や『防潮板(ぼうちょうばん)』で覆うことで、建屋内への水の侵入を防ぎます。

  • 『防潮壁』と『防潮板』

  • 浸水から守る分厚い扉『水密扉』

さらに建屋内に浸水した場合に備え、非常用の電源や冷却装置などの重要な機器がある部屋には、水が入らないように、分厚い『水密扉』を設置しています。

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■原子炉などを「冷やし」続ける

それでも、もし津波が押し寄せ、重要な機器が浸水してしまったら……どうするのですか?

原子炉を冷やす方法を多くし、安全性を高めています。
緊急時に電気を供給する『ガスタービン発電機車』や、原子炉を冷やすために使う『消防車』などの車両を発電所構内の高台に分散させて配置しています。

  • 軽油の燃焼ガスでタービンを回し、電気を供給する『ガスタービン発電機車』

  • 必要な時に必要な場所に移動して冷却装置等へ電気を供給する『電源車』

  • 電源がない場所でも原子炉などへ注水できるよう『消防車』を構内に分散して配備

原子炉を冷やし続けるための対策は、それだけにとどまりません。

原子炉などを冷やすための水源として、高台に約2万トンの『貯水池』を作りました。

約2万トン! 原子力発電所内にこんな大きな『貯水池』があるなんて知りませんでした。

  • 約2万トンの『貯水池』

『発電機車』や『消防車』、『貯水池』など、多様な方法で対処できるように備えているのですね。安全対策への手段が多様にあることで、予期せぬことにも対応できるよう準備しているのがわかりました。

■水素の爆発と放射性物質の放出を「防ぐ」

それでも事故が起きてしまったら、放射性物質が放出されてしまうのでしょうか?

万が一事故が起きてしまった場合には、福島第一原子力発電所事故のような大量の放射性物質の放出を防ぐために、水素の爆発を防ぐ水素処理設備や放射性物質をフィルタで可能な限り取り除く装置を設置しています。

■緊急時に対応するための訓練の実施

設備があっても、万が一のときに使いこなせるのでしょうか?

年間を通して、緊急時に対応するための訓練を繰り返し実施しています。

  • 緊急時対策所での訓練

  • 電源喪失を想定した現場訓練

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知ってみることから理解がはじまる!
柏崎刈羽原子力発電所を取材してわかったこと

今回、柏崎刈羽原子力発電所を取材して、地震や津波などの自然災害に対して、多重かつ多様に安全対策の取り組みを行っていることがわかりました。

 高田さん 「これからも福島第一原子力発電所事故の反省と教訓に基づき、リスクを限りなくゼロに近づけられるような安全対策に取り組んでまいります。また、柏崎刈羽原子力発電所の安全への取り組みについて丁寧にわかりやすく説明するとともに、今後も立地地域の皆さまをはじめ、新潟県の皆さまのご意見を傾聴し、いただいたご意見を発電所の運営に活かしてまいります。」

原子力発電所は、安全面で不安な部分があったけれど、地震や津波に対して何重もの多様な対策をされていることがわかり、理解が深まりました。

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原子力発電の仕組みや安全対策などがわかる
「柏崎刈羽原子力発電所 サービスホール」

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