債務整理で借金問題を解決する方法には、任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求の4種類があり、それぞれメリットとデメリット、向いているケースとそうでないケースがあります。

自分の状況に応じた債務整理を利用することで借金問題を効果的に解決できるので、債務に苦しんでいる方はぜひ当記事を参考にして下さい。

債務整理とは? 任意整理・個人再生・自己破産の違い

債務整理とは、借金(債務)の元本の金額を減らしたり、利息をカットしたりして、借金を無理なく返済できるようにする手続きです。手続きによっては借金自体を免除する効果があるものもあります。

債務整理は大きく分けて3種類あり

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

です。債務整理の種類によって手続きの概要や効果が異なるので、それぞれ解説していきます。

任意整理とは借金を返済しやすくする手続き

任意整理とは、カード会社や消費者金融などの債権者と直接交渉して、借金を無理なく返済できるような内容の新しい返済方法を決める手続きです。従来の返済方法では借金を返済できなくなってしまった場合に、利息をカットして返済できるようにします。

任意整理を受け入れるかどうかは債権者次第なので、任意整理が成立するには双方の合意が必要です。また、任意整理の内容をどうするかも理論的には話し合いによります。

債権者が合意しなければ任意整理は成立しませんが、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することで、任意整理を成功させることが期待できます。任意整理では、将来利息をカットしつつ、元金を3〜5年程度の期間で返済できるようにします。

任意整理について詳しくはこちら>>

個人再生とは借金を大幅に減額する手続き

個人再生とは、裁判所に申し立てをして、借金を大幅に減額して無理なく返済できるようにする手続きです。

任意整理は裁判所を介さずに手続きできるのに対し、個人再生は必ず裁判所で手続きをしなければなりません。個人再生の手続きには時間や費用がかかりますが、その分だけ借金を大幅に減額できるのが特徴です。

個人再生をすると、借金を5分の1~10分の1程度に減額し、原則として3年間(最長で5年間)で返済していくことが可能になります。また、一定の要件を満たす場合には、自宅を手放さずに個人再生をすることができます。

ただし、個人再生を利用するには、上記の方法で十分に返済できる見込みがあること(返済できる収入の見込みがあること)が必要です。

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自己破産とは借金自体を免除する手続き

自己破産とは、裁判所に債務の免責の申し立てをして、借金の支払い自体を免除してもらう手続きです。必ず裁判所を介して行わなければならない点は、個人再生と同様です。

個人再生が借金自体は免除されないのに対し、自己破産は免責が認められれば、借金自体を返済しなくてよいという効果があるのが特徴です。

ただし、自己破産は借金自体が免責されるという強力な効果がある反面、自宅を含めて、価値の大きい財産は基本的に手放さなければなりません。

自己破産について詳しくはこちら>>

過払い金請求で払いすぎた借金を取り戻す

厳密には債務整理とは異なりますが、借金(債務)を整理するための方法として、過払い金請求があります。

過払い金請求とは、消費者金融や信販会社などに支払いすぎた利息(過払い金)の返還を請求することです。過払い金がある場合に返還請求をすれば、返還された金額を他の債務の返済などに活用できます。

以下の条件にあてはまる場合は、過払い金が発生している可能性が高いので、専門家に相談してみることをおすすめします。

  • 借金をしたのが2010年6月17日より前
  • 借金の金利が年20.0%以上
  • 借金を返済中である、または完済してから10年以内である

過払い金請求について詳しくはこちら>>

債務整理のメリットとデメリット

債務整理の種類には任意整理・個人再生・自己破産がありますが、全ての方法に共通するメリットとデメリットを解説します。

全ての債務整理に共通するメリットとデメリット

借金の返済額が減る/返済が免除される

全ての債務整理に共通するものとして、借金の返済額が減る(返済が免除される)効果があります。

借金がどれくらい減額されるかは方法や状況などによって異なりますが、一般に任意整理よりも個人再生のほうが減額の効果が大きいです。

自己破産の場合、未納の税金などの一部の債務をのぞいて、借金自体が免除される(借金を返済しなくてもよい)強力な効果があります。

債権者からの請求や督促・取り立てがストップする

弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、カード会社や貸金業者などの債権者からの取り立てを止めることができます。

借金問題の悩みの一つは、債権者からの執拗な取り立てに対応しなければならないことです。ただでさえ借金を返済できずに苦しんでいるところ、取り立てによってさらに心身を消耗するのは苦しいもの。

弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、受任通知という書面を債権者に発送するので、それによって取り立てが一時的に(手続きが終了するまで)止まります。

受任通知とは、借金をした人が弁護士などの一定の専門家に債務整理を依頼し、専門家が受任したことを債権者に通知する書面です。

受任通知が届いた場合、カード会社や貸金業者などの債権者は借金の取り立てを止めなければならないことが、法律で規定されています。債務整理を依頼して取り立てを止めることで、精神的にも余裕がでてきて、借金の整理に前向きに取り組みやすくなります。

一方、債務整理の方法に共通するデメリットは、債務整理をした事実が信用情報機関に登録されることです。信用情報機関に登録されることで、一定期間はクレジットカードやカードローンの審査に通らなくなったり、家や自動車のローンが組めなくなったりします。

債務整理方法問わず共通するメリット・デメリットは以上のようなものですが、続けて任意整理・個人再生・自己破産の各手続き方法にフォーカスして、それぞれのメリット・デメリットを確認していきましょう。

任意整理のメリットとデメリット

任意整理のメリット

  • 借金の理由を問わず手続きができる
  • 過払い金がある場合、その分だけ元本を減らせる
  • 将来利息のカットによって、元本のみの返済ですむ可能性がある
  • やむを得ない事情があれば、特定の借入先のみと交渉できる
  • 保証人(連帯保証人)に影響なしで手続きができる
  • 原則として家や車を手放す必要がない
  • 家族や勤務先に比較的にバレにくい

任意整理のデメリット

  • 任意整理に応じるかは基本的に相手の自由である
  • 個人再生や自己破産と比べると大幅な減額にはならない
  • 信用情報に掲載される

任意整理は、いわば銀行や消費者金融などの債権者との個別交渉です。当事者同士での返済計画の見直し交渉であり、裁判所を介することもないので、個人再生や自己破産で発生するような財産処分などに関する法的なしばりもあまりありません。

そのため、任意整理では家や車を残したまま返済計画を見直す、特定の借入先のみと交渉する(特定の借入先のみ返済しない行為は偏頗弁済とみなされるため、あくまでやむを得ない事情がある場合のみ)など比較的自由度の高い手続きが可能です。

債権者の交渉内容に自由度がある分、債務者からの任意整理に応じるかどうかもまた自由です。大幅な減額に債権者が応じることはないので、個人再生・自己破産などの法的手続きに比べれば少ない減額幅で着地するケースが一般的です。

個人再生のメリットとデメリット

個人再生のメリット

  • 借金の元本を5分の1~10分の1程度にできる
  • 借金の理由を問わず手続きができる
  • 原則として家を手放さずにすむ
  • 手続き中に資格や職業が制限されない

個人再生のデメリット

  • 保証人(連帯保証人)が責任を負うことになる
  • 手続きが難しく、時間と費用がかかる
  • 信用情報に掲載される

個人再生は裁判所を通じて行う債務整理手続きで、任意整理に比べ大幅な借金の減額が見込めます。手続きは法律に基づいて行われ、債権者の同意の有無に関わらず借金減額が可能です。

一方で、個人再生は、減額されたとしても借金を返済していくことを前提とした手続きであり、借金の返済が免除(免責)されるわけではありません。そのため、返済を継続していけるだけの収入を得る見込みがあることが必要条件となります。

また、個人再生を行うと、債務の支払義務は保証人に移ります。善意で保証人を引き受けてくれた方に迷惑をかける可能性があるため、手続きを進める際は慎重な検討と、保証人との事前の事情説明も不可欠です。

自己破産のメリットとデメリット

自己破産のメリット

  • 税金などの一部の債務をのぞいて、債務自体が免責される
  • 無職や主婦でも手続きができる

自己破産のデメリット

  • 家など一定以上の価値のある財産は手放すことになる
  • 手続き中は資格や職業が制限される
  • 免責が認められない場合がある
  • 手続きが難しく、時間と費用がかかる
  • 信用情報に掲載される

自己破産は、債務全体の免責を受ける手続き、つまり、借金をゼロにする手続きです。

明確で強力なメリットがある分、免責許可を判断するための調査や、財産処分に関するルールは厳格です。家や車など価値のある財産は処分することになり、職業制限も発生します。

まとめ

債務整理とは借金を減額したり免除したりして、借金問題を解決するための手続きです。債務整理の方法は任意整理、個人再生、自己破産です。

任意整理は裁判所で手続きをする必要がない、家や車を手放さなくてすむなどのメリットがありますが、減額できる幅はあまり大きくありません。

個人再生は借金を大幅に減額でき、一定の場合にはマイホームを手放さずにすみますが、必ず裁判所で手続きをする必要があり、手間や費用がかかります。

自己破産は裁判所に認められれば借金自体が免責されますが、車や家などの財産は基本的に手放さなければなりません。

いずれの方法においても一長一短があるので、弁護士や司法書士などの専門家に債務整理を依頼して、最適な方法を提案してもうらうのがおすすめです。

以下のページでは、債務整理による日常生活への影響、期間の目安、費用の相場など、更に詳しい内容を解説しています。 今回ご紹介した債務整理について、もっと知りたいという方は本記事とあわせてご参照ください。

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