シングルマザーは「いまある日常を捨ててでも、子どもとともに新しい生活へと進みたい」と決心を固め、離婚に踏み切った方々です。 それでは、シングルマザーの方々は離婚した後の日常について、お金のこと・子どものこと・元夫との関係を、どう感じ、どう考えながら生活しているのでしょうか。

今回は、離婚弁護士相談広場 編集部が実施した「母子家庭(シングルマザー)の生活と家計についてのアンケート」の結果をご紹介します。 シングルマザーとしてひとりで子育て中の未婚女性256人を対象に、シングルマザーとして子どもを育てることを選んだ離婚の経緯と、離婚後の生活や家計について、様々な角度から掘り下げていきます。

概要 : 母子家庭(シングルマザー)の生活と家計についてのアンケート

  • 実施 : 離婚弁護士相談広場 編集部
  • 回答方法 : Webアンケート調査
  • 調査日時 : 2021年12月14日~20日
  • 調査対象・回答者数 :
    [予備調査]全国の20歳~59歳までの未婚子あり女性 1,000人
    [本調査]2021年現在、離婚してひとりで子育て中のシングルマザー女性 256人

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子あり家庭における2大離婚要因は「性格の不一致」と「経済的理由」

はじめに、離婚してシングルマザーとなった256人の方に、夫と離婚した理由として、あてはまるものをすべて挙げてもらいました。

Q1:離婚に至った主な理由を教えてください。

離婚の理由 回答率 回答者数
性格の不一致 51.95% 133
経済的理由(借金・浪費・働かない等) 43.75% 112
精神的な暴力・ストレス(モラハラ行為やいやがらせ、自由の束縛など) 32.81% 84
相手の不貞行為(浮気・不倫など) 31.25% 80
子どもの問題(子育てへの協力や教育方針など) 27.34% 70
家庭生活に問題がある(家事をしない・無視するなど) 22.66% 58
DVなどの暴力行為 18.36% 47
親族との関係(姑問題など) 15.63% 40
性の問題(セックスレスなど) 10.16% 26
病気(うつ病など)や看病の負担 5.08% 13
その他 2.34% 6

シングルマザーの離婚理由として最多となったのは「性格の不一致」で、256人中133人(51.95%)と全体の半数以上が離婚理由として選んでいました。 次いで、2番目は借金・浪費・働かないなど経済的理由が112人(43.75%)です。

回答者が100人を越えたのは「性格の不一致」「経済的理由」の2つのみ。 子持ち家庭における離婚要因として特に影響の大きいのが、この2項目と言えそうです。

続いて、精神的な暴力・ストレス84人(32.81%)、相手の不貞行為(浮気・不倫など)80人(31.25%)が近いところで並びました。

「物理的な暴力」より多い「精神的暴力・ストレス」での離婚

なお、「精神的な暴力・ストレス」を離婚理由に挙げた84人のうち、「DVなどの暴力行為」をあわせて選択していたのは33人。物理的な危害を含めた暴力を受けていたケースは半数以下にとどまりました。 直接的な暴力がなくても、モラハラ行為・いやがらせなど夫から受けた精神的ストレスを理由に離婚を決断している人も多い現状が垣間見えます。

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シングルマザー生活で最大の不安・負担は「収入が少なく生活が苦しい」こと

Q2:離婚後の生活で不安・負担に感じていることはありますか?

離婚後の生活における不安・負担としては「収入が少なく生活が苦しい」が55.08%で、最大となりました。 シングルマザーの半数以上は経済的な不安・負担を感じていることになります。

次に「自分の将来への漠然とした不安」(49.61%)、「仕事と子育ての両立」(48.05%)と続きます。

3位「仕事と子育ての両立」と4位「パートナーがいない寂しさ」(21.48%)の間で2倍以上のポイント差があることから、

  • 収入が少なく生活が苦しい
  • 自分の将来への漠然とした不安
  • 仕事と子育ての両立

これら3項目が、シングルマザーの生活において特に中心的な負担となっているようです。 経済的な不安を抱え、仕事と子育てに忙殺される中で、将来への不安を感じるシングルマザー像が浮き彫りになりました。

負担の重い住居費・食費。家計が悩みのシングルマザーの半数以上。

前の質問で「収入が少なく生活が苦しい」と回答した方に対して、特に出費として苦しいと感じる家計の費用項目を3つ挙げてもらいました。

Q3:特に出費として苦しいのはどの項目ですか?家計への影響を感じる項目を 3つお選びください

トータルで高額になる教育費・水道光熱費など、固定費への不安が上位に。

特に負担だとの声が多く集まったのは「住居費」(63.12%)、「食費」(56.74%)の2つです。 複数選択式のアンケート形式にも関わらず、回答者の半数以上がこの2点を苦しい出費項目として挙げていました。

第3位となったのは「教育費」(40.43%)です。 回答者が子育て中のシングルマザーということもあり、保育園・幼稚園から高校・大学まで、トータルで高額となる教育費に対する不安が数字となって表れたものと考えられます。

以後、水道光熱費(33.33%)、自動車費(26.95%)、保険代・通信費(ともに18.44%)と続きました。

固定費を中心に、生きていく上で不可欠な必要経費と言える項目が上位に並ぶ中、同程度の位置に保険代が入ってきた点には、万一の場合に備えておきたい、ひとり親としての想いが見て取れます。

一方で

  • 医療費 (7.09%)
  • 趣味・遊興費(おこづかい) (7.09%)
  • 被服費(6.38%)
  • 美容費(4.26%)

などの出費については集まった回答も少数にとどまり、これらの項目は家計の負担としてあまり認識されていないことがわかりました。

離婚して子育て中のシングルマザーの約6割は、慰謝料や養育費を受け取っていない

Q4:別れた夫から慰謝料や養育費はもらっていますか?

慰謝料や養育費をもらっているシングルマザーは、全体の41.4%、慰謝料や養育費をもらわずに子育てをしている方が58.6%と、もらっている人よりもらっていない人の方が多い結果となりました。

子のいる方が離婚を考える上では、約6割のシングルマザーが慰謝料や養育費の支払いを受けていない点は、理解しておく必要があるシングルマザーの現実と言えます。

離婚に踏み切る前に、自分と子どもが生活できる経済的な状況をどのように作るか、確認しておくことが重要です。

自分の収入と、子どもとの生活に必要なお金を試算しておくことで、シングルマザー家庭として生きていくためにどれだけの金額が必要なのかが把握できます。

子どもの生活・養育にかかるお金は、必ずしも、母親自身の収入だけでカバーすべきものではありません。

母親の収入だけで不足する分については、父親に対して子どもの養育費として請求する権利があることを理解しておきましょう。

離婚後の養育費の相場についてはこちら>>

子どもがいる家庭での離婚の場合、親権(身上監護権)を持ち子どもの養育を担う親が、他方の親に養育費を請求することは、法律的にも認められています。 また、浮気やDVなど、夫側の原因で離婚した場合は慰謝料を請求できます。慰謝料は、夫の浮気やDVなどで受けた精神的苦痛を補償する性質のもので、請求が正当に認められているお金です。

今回のアンケートで「生活が苦しい」と回答した方のうち、慰謝料・養育費を受け取れていない6割の方も、本来であれば、適正な慰謝料・養育費を受け取ることで生活状況を改善できる可能性はあるものと考えられます。

離婚慰謝料の相場と請求できる条件>>

経済的な負担・厳しさを感じていても、シングルマザーの離婚満足度は97%

Q5:現在の暮らしをふまえ、離婚してよかったと思いますか?

離婚して良かったか、後悔しているかを問う質問では、離婚してよかったと感じる方が97.27%、後悔していると答えた方は2.73%と大差が付きました。

シングルマザーの方にとっては、離婚することで経済的な問題が発生しやすくなる傾向はあるものの、離婚に踏み切ったこと自体に後悔するケースは非常に少なく、離婚満足度は97/100と非常に高いことがわかりました。

離婚を決意する6つの瞬間と理由ランキング>>

まとめ

  • 子あり家庭における2大離婚要因は「性格の不一致」と「経済的理由」
  • シングルマザー生活で最大の不安・負担は「収入が少なく生活が苦しい」こと
  • 経済的な不安を抱え、仕事と子育てに忙殺される中で、将来への不安を感じるシングルマザー像が浮き彫りに
  • 特に負担になっているのは住居費・食費。家計に悩むシングルマザーの半数以上。
  • トータルで高額になる教育費・水道光熱費など、固定費への不安が上位に。
  • 離婚して子育て中のシングルマザーの6割近い方は、慰謝料や養育費を受け取っていない
  • 経済的な負担など厳しさは感じていても、シングルマザーの離婚満足度は97%

なお、離婚弁護士相談広場のWEBサイトでは、シングルマザーの皆様の生の声など、より詳細な内容をレポートにして公開しています。あわせてご参照ください。

アンケート結果の詳細はこちら >>

今回の調査結果や、集まった生の声もふまえると、子どもを抱える母親が離婚する際、最大の懸念点となるのはやはり金銭面・経済的な問題だと言えるでしょう。

ひとり働きながら子育てをしていく負担は非常に重く、シングルマザーは、常に慌ただしい生活を強いられます。

子どもの体調不良で仕事を早退や欠勤するのはよくあることで、子どものケアのため賃金が低くても時間の都合のつくパートやアルバイトでしか働けないという方も少なくありません。 早退・欠勤でなくても、意図せぬ会社の休業や失職で収入が減り、経済的に立ち行かなくなるリスクは、ひとり親家庭では、そうでない家庭と比較にならないほど高まります。

にも関わらず、6割近いシングルマザーが慰謝料や養育費を受け取っていません。 はじめから慰謝料や養育費の請求を諦め、請求していない方も少なくないものと考えられます。

子連れ離婚における養育費・慰謝料請求、離婚後の生活設計は弁護士に相談を

シングルマザーが抱える経済的問題を解決するには、離婚後でも母子が安定して生活できる収益構造を確保すること、母子が生活していける離婚後の生活設計を描けるかが重要となります。

子どもと自分の人生を考え、離婚を検討されている方は、どうかひとりで抱えこまずに、まずは離婚問題に強い弁護士にご相談ください。

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