スマートフォンの普及を背景に男女の出会いの場として主流になりつつあるマッチングアプリですが、ロマンス詐欺をはじめとする犯罪の温床になっているという怖い一面もあります。リスクについての正しい認識を持ち、安全に利用することが大切です。
マッチングアプリで増加する「ロマンス詐欺」とは?
手軽に異性と知り合えるマッチングアプリですが、利用者の本人確認が難しいことから犯罪の温床になっているという一面もあります。
たとえば、近年被害者が増えているロマンス詐欺は、恋愛感情を利用した詐欺です。SNSやマッチングアプリで知り合った相手と親しくなり、相手が自分に恋愛感情を持ったのを利用してお金をだましとります。
外国人の異性になりすましてターゲットに近づく「国際ロマンス詐欺」が有名ですが、もちろん、相手が日本人であっても油断はできません。
マッチングアプリによる詐欺でよくある手口
恋愛感情を悪用した詐欺
マッチングアプリを婚活・恋活目的で利用している人も多いと思います。そんなマッチングアプリだからこそ起きやすいのが、利用者の恋愛感情を悪用した振り込み詐欺です。
詐欺師はまずターゲットに好意を抱かせた後で、「取引に必要な資金を立て替えてほしい」「弁護士費用を貸してほしい」「家族が病気で治療費が必要」「借金があるのでお金を貸してほしい」など、さまざまな理由で送金を求めてきます。 冷静に考えれば不審な内容のお願いでも、相手に好意を持っていると、何も疑わずに相手の言葉を信じてしまいがちです。
そうして、相手を信じてまとまった金額を振り込んだとたん、音信不通になります。
投資詐欺への勧誘
いわゆる投資詐欺もありがちな手口です。
詐欺師は「もうかる話がある」「結婚資金を作るために投資しよう」などと言葉巧みに投資・もうけ話を持ちかけてきます。
もちろんまともな投資・もうけ話ではなく、「必要な手続きをするため」として詐欺的なサイトなどに誘導されるケースがほとんどです。
「少額でいいから」とお金を渡してしまったら最後、言葉巧みに勧誘されて最終的には多額のお金を搾り取られてしまいます。
ネットワークビジネスの勧誘
マッチングアプリで、ネットワークビジネスやマルチに勧誘されるケースもあります。
アプリ上でやりとりしているときは不審な点がなかったとしても、SNSで個別にやりとりしたり、実際に会ったりすると「もうかるビジネスがある」「簡単に稼げる」と勧誘が始まるパターンが多いようです。
マッチングアプリでのロマンス詐欺が流行する背景
マッチングアプリでロマンス詐欺などの犯罪が流行する原因としては、次のようなものが考えられます。
心理的なハードルの低さ
オンライン上でのやりとりは気軽にできる分、表面的な相手の印象を信じて簡単に気を許してしまいがちです。
しかも恋愛のような個人的なことは他人に相談しにくいため、被害に気づくのも遅れてしまいます。
劇場型詐欺などによる手口の高度化
犯人が個人とは限らず、組織的に犯罪が行われている可能性があることも事態をややこしくしています。
マッチングアプリを通じた投資詐欺には、複数の関係者が登場する劇場型詐欺もあるのです。
たとえば、詐欺サイトに誘導する場合は、詐欺師と詐欺サイトがグルになっています。
また、被害にあった人に対して「被害を回復してあげる」という名目で近づき、さらにお金を巻き上げるケースもあります。
仮想通貨取引の流行による国際的犯罪組織の暗躍
これまでの詐欺といえば、指定した口座に現金を振り込ませる手口が定番でした。
しかし仮想通貨(暗号通貨)の流行により、偽の仮想通貨投資サイトに誘導するなどして仮想通貨を送金させるケースも出てきています。
ロマンス詐欺の中には国際的な犯罪組織の関与も疑われるものもあり、そうしたケースでは仮想通貨の送金先が海外の口座・取引所になっていることも多いです。
お金の動きを探るのが難しいため、一度詐欺師に支払ってしまうとお金を取り戻すことは極めて困難になります。
ロマンス詐欺で逮捕された場合の罪状・罰則
ロマンス詐欺などで逮捕された場合、詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪の法定刑は1月以上10年以下の懲役であり、罰金刑はありません。
なお組織的な詐欺の場合は、組織犯罪処罰法により1年以上20年以下の懲役に法定刑が引き上げられます。
ロマンス詐欺以外にもあるマッチングアプリの犯罪被害
マッチングアプリを舞台にした犯罪被害やトラブルはロマンス詐欺や悪徳商法だけではありません。
ストーカー被害などの男女トラブルや性犯罪に巻き込まれてしまう人もいます。
性犯罪につながる行動
マッチングアプリでの出会いをきっかけにセクハラやレイプなどの性犯罪に巻き込まれてしまう人もいます。
さらに、相手に性的な写真や動画を送ってしまった結果、ネットに写真・動画をばらまかれるリベンジポルノ被害、あるいは「拡散されたくなかったらお金を払え」と恐喝の被害に遭うケースも多いです。
ストーカー被害
マッチングアプリがきっかけでストーカー被害にあってしまうケースもあります。
特にありがちなのは、連絡先を交換した後に交際を断ったら相手の態度が豹変してストーカーになってしまうケースです。
しつこい電話やメール、メッセージアプリのIDをSNS上でさらされたといった被害が報告されます。
サクラ・身分詐称
悪質業者の運営するマッチングアプリ・サイトでは、運営側がサクラを雇っていることがあります。
いわゆる出会い系詐欺のように、メッセージのやりとりに必要な有料のポイントを買わせるケースもあります。
また詐欺とまでいかなくても、ホストなどが営業のためにマッチングアプリを利用していたり、既婚者が独身とウソをついて利用していたりするケースもあるようです。
被害を避けるためには?
ロマンス詐欺をはじめとした犯罪から身を守り、マッチングアプリを安全に利用するためには普段から危機管理を徹底することが大切です。
規約違反の行為をしようとする相手とはやりとりしない
マッチングアプリには規約があります。たとえば、外部サービスへの誘導やビジネスの勧誘行為などは規約で禁止されていることも多いです。
アプリの規約を確認し、規約違反の行為をしようとする相手とのやりとりは避けましょう。
すぐに連絡先を交換したがる相手に注意する
連絡先や住所など個人情報を安易に相手に教えないようにしましょう。 また、裸の写真などリベンジポルノに使われかねない写真や動画を送らないことも大切です。
すぐにメールアドレスやメッセージアプリのIDなど連絡先を交換したがったり、わいせつな動画を送るように頼んできたりする相手とは距離を置くべきです。
マッチした人の知人・友人とは会わない
悪徳商法や詐欺は組織ぐるみで行われることも多いため、相手が詐欺師などの危ない人の場合は相手の「知人」「友人」も危ない人である確率が高いです。
マッチングした人の知人や友人には会わないようにしましょう。
お金の話が出たら相手を疑う
投資には必ずリスクがあります。他人に簡単にもうかる話を教えてくれる人はまずいません。
また、もっともらしい理由をつけて、お金を送らせようとする人にも注意が必要です。
お金の話が出たら、まず相手を疑いましょう。
自分ひとりで判断しない
特にロマンス詐欺の場合、詐欺師は自分に好意を持たせてから犯行に及びます。 そのため、渦中の本人にとって、相手を疑うことは難しいことです。
何か違和感を覚えることがあったら早めに周りの人に相談し、アドバイスをもらうようにしましょう。
詐欺の疑いがある場合は信頼できる人に相談を
万が一マッチングアプリで詐欺被害にあってしまった場合、できるだけ早く警察や国民生活センターへ相談しましょう。
「お金を返してほしい」と思う人もいるかもしれませんが、一人で対応しようとするとかえって詐欺師に丸め込まれ、被害が拡大してしまうおそれもあります。
返金や損害賠償を検討する場合は自己解決しようとせず、弁護士に相談しましょう。
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