一括購入するには高額なスマホでも、"分割払い"なら月々の料金と一緒に無理なく支払えます。
多くの人が気軽に利用している分割払いですが、実はれっきとしたローン契約。
そして、場合によってはスマホの分割払いが住宅ローンなど他のローン契約に影響を及ぼす可能性があることを、ご存知でしょうか。
今回は、スマホの分割払いについて考えられる様々なリスクやその対策について解説します。
スマホの分割払いは通信会社とのローン契約
個人信用情報機関(CIC)で支払能力を審査
携帯ショップでスマホの分割払いを申し込むと、携帯電話会社は信用情報機関CICに信用情報を照会して、支払能力に問題がないかどうか審査を行います。
CICは、クレジット会社の共同出資により設立された信用情報機関。
- 携帯電話会社
- クレジット会社
- 百貨店
- 銀行
- リース会社
- 家電メーカー系クレジット会社
- 自動車メーカー系クレジット会社
などの企業が会員として参加しています。
そして信用情報とは、クレジットカードや割賦販売、その他ローンについての契約内容や支払い状況を記録した個人情報のことです。思想や犯罪歴、医療などの情報はここには含まれません。
CICの信用情報が、スマホ分割払いの承認に影響する
CICが提供した信用情報をもとに携帯電話会社が「分割払いをしても問題なさそうだ」と判断すると、分割払いが承認され、携帯電話会社が顧客の端末代金を立替払いすることになります。
分割払い契約の情報は、CICに新たな信用情報として登録されます。それ以降は、分割払いの支払い記録が毎月CICで更新されていくことになります。
このように、CICはあくまでも信用情報を提供・登録するだけであり、実際に審査を通すか否かの判断は携帯電話会社が行います。
スマホ契約が原因で住宅ローンの契約に影響することも
スマホ契約をはじめ日常の様々な消費活動によって積み重ねられる信用情報は、将来的に住宅ローンや自動車ローンなど他の大きな契約にも影響を及ぼすことが考えられます。
住宅ローンの審査をする際には、現時点における収入や資産状況だけでなく、過去の信用情報も参考にされています。
スマホの分割払いのケースと同様に、住宅ローンの会社においてもCICに信用情報を照会します。
もしもスマホの分割払いで滞納があると、その影響で住宅ローンを契約できなくなることも考えられます。
ブラックリスト登録は5年間は抹消されない
滞納によるブラックリスト登録(事故情報)は、一度登録されてしまうとその後約5年間は抹消されません。
「スマホの分割払いの滞納ぐらい大したことはない」と考える人も中にはいますが、後々人生の節目における大きな契約の際に困ることがあるので、滞納しないようくれぐれも注意しましょう。
スマホの分割払い、審査落ちの原因
携帯電話料金の滞納
携帯電話料金の支払いを現在滞納していると、支払能力に問題ありと判断されて審査に落ちてしまいます。
他社に乗り換えをする場合でも、同じです。
各携帯電話会社は利用者の支払いに関する情報を共有しているため、他社の料金の滞納を理由に審査落ちとなるでしょう。
本当は支払能力が十分にあるにもかかわらず、数回分の支払いを"うっかり"滞納していた場合には、きちんと支払いをすれば数か月で審査が通る可能性があります。
しかし長期間にわたって滞納を続けており、滞納分をすぐに支払うことが難しいような場合には、信用情報に大きな傷が付くと考えられます。
クレジットカードや他のローン等の滞納
クレジットカードや他のローンも、滞納すると信用情報に記録が残るため、分割払いの審査に落ちてしまいます。
自動車ローン、住宅ローン、奨学金、公共料金の滞納記録だけでなく、消費者金融での多額の借金、債務整理などの履歴も信用情報を悪化させます。
携帯電話料金と同様に、滞納している借金は速やかに支払いを済ませましょう。
支払いをしても滞納の記録はしばらく残ってしまいますが、滞納状態を続けているよりは、審査がいく分通りやすくなる可能性はあります。
10万円以上のスマホ
スマホの金額によっても、分割払いの審査の厳しさが変わります。
具体的な基準は、10万円です。
割賦販売法では、支払能力を超える与信を禁止していますが、例外的に"比較的少額(10万円以下)の生活必需品"については、支払可能見込額を超えて分割払いが利用できるとしています。ただし、滞納等がないことが条件です。
つまり、10万円を超えるスマホを購入しようとすると、審査落ちのリスクも高くなるということです。
クレジットヒストリーがない
クレジットカードや分割払いによる買い物を過去に一度もしたことがない人は、そもそも信用情報の履歴(クレジットヒストリー)がありません。
このような真っ白な状態については、支払能力を判断する材料がない(信用実績がない)ということで、高額スマホの分割払いが承認されにくくなります。
過去の滞納など事故情報がないことは良いことなのですが、まったく履歴がないのもデメリットとなることがあります。
また、クレジットヒストリーの有無が重視されるか否かは、年齢によっても異なります。
年齢が上がれば上がるほど、クレジットヒストリーがないことが不利になると考えられます。
なるべく20代の若いうちから返済実績をコツコツと積み上げておくと、将来ローンを組みたいときに役立つでしょう。
分割払いでスマホが買えない場合の対処法
滞納料金は一刻も早く支払う
もし料金を滞納している場合は、一刻も早く支払いましょう。
事故情報は約5年間残りますが、その間必ずしも分割払いの審査に通らないという訳ではありません。
10万円以下のスマホなら審査が下りる可能性も
前述の通り、スマホの金額によっても審査基準の厳しさは異なります。
10万円以下の生活必需品については審査が緩和されますので、なるべく安いスマホを選んでみましょう。
お金を貯めて一括払いで購入するのが一番お勧めです。
スマホ以外の支払いも厳しいなら債務整理も検討を
スマホだけでなく他の生活費についても支払いが厳しいのであれば、債務整理を検討してみましょう。
債務整理とは、借金が膨らんで支払いが難しくなった場合に、法律に基づいて借金を減額したり返済を免責したりしてもらえる手続きのことです。債務整理には、任意整理、自己破産などがあります。
自分で債務整理を行うことも法律上は禁止されていませんが、専門知識を要する難しい手続きであるため、弁護士に依頼する人が多いです。
借金問題は、放置する時間が長ければ長いほど、利息や遅延損害金が膨らんで悪化してしまいます。事務所によっては後払いなど柔軟に対応してくれるので、早めに弁護士に相談してみましょう。
まとめ
現在の収入や過去の滞納履歴によっては、スマホの分割払いの審査に落ちてしまうことがあります。
またスマホの金額が10万円を超える場合にも、審査がより厳しくなるとされています。
どうしてもスマホを購入したい場合は、滞納分があれば一刻も早く返済した上で、現金一括払いをするか、10万円以下の端末を購入してみましょう。
そもそも滞納の返済が厳しい場合は、お早めにお近くの弁護士にご相談ください。
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