健康志向が高まってきている昨今、巣ごもり生活やリモートワークなど新しい生活様式によってライフスタイルが大きく変化しています。ストレスや運動不足から4人に1人がコロナ太りを気にしている、なんて調査結果があるほど。そんな今だからこそ、より健康的な生活を意識したいところ。
今回は、誰にでも起こりうる「生活習慣病」について、専門家に聞いてみました。意外にも、痩せている若い女性や正常体重の働き盛りの男性にもリスクが潜んでいるそうなので、「自分は大丈夫」と思っているあなた、要注意かも⁉ 「生活習慣病」とその予防法について教えていただきます。
宮崎滋 先生/日本生活習慣病予防協会理事長 1971年東京医科歯科大学医学部卒業後、東京逓信病院へ移り2001年、内科部長、2010年副院長を経て、公益財団法人結核予防会理事、総合検診推進センター長などを務めている。
望月理恵子/管理栄養士 普段の生活をより健やかに過ごせるように「栄養」「健康」「美容」などの面からサポート。さらに、女性誌などでも活躍、『健康管理する人が必ず知っておきたい栄養学の○と×』、『食と健康のホントがみえる栄養学』(ともに誠文堂新光社)など著書も多数。
健康診断でもチェックしてほしい「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」って?
さっそくですが、みなさんは「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」って知っていますか? 日本生活習慣病予防協会理事長の宮崎先生に改めて説明いただいたところ、健康診断などで聞いたことがあるかもしれませんが、「血液の赤血球の中にあるヘモグロビンと血液中のブドウ糖(血糖)が結合して変化したもの」のこと。
空腹時血糖値、食後血糖値が採血した瞬間の血糖値であるのに対し、「HbA1c」は採血時点から過去1~2カ月間の平均値です。採血時の血糖値が異常なしであっても、「HbA1c」が高いと過去1~2カ月間は高血糖だったということになります。
この高血糖が長く続くことを「血糖負債」と言います。高血糖であればあるほど、ヘモグロビンとブドウ糖は結合しやすく、また高血糖である時間が長いほど「HbA1c」の数値が高くなります。
糖尿病と診断されていなくても「HbA1c」の高値が続くと、「血糖負債」がどんどん蓄積され、少しずつ体への負担が積み重なり、さまざまな健康障害が生じるように。知らず知らずのうちに血管が老化し動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞、がん、認知症などのリスクが高まったり、酸化ストレスなどにより細胞の老化を早め、にきびなどの肌荒れや老け顔になるなど、容姿にも影響が出てきます。
厄介なのが、「高血糖」が続いていても自覚症状がないこと。じわじわと長い年月をかけて怖い病気へのリスクを高め、私たちの健康を脅かしていくということ。そうならないためにも、いかに「血糖負債」をため込まないようにするかが重要なのです。
こんなことをしていると…「もしかして血糖負債かも!?」
Q&Aで答える、「血糖負債」の改善策と対策
「HbA1c」の数値が上がらないように、「血糖負債」をため込まないようにするためにはどうすればいいのでしょうか? その対策と予防について、宮崎先生と管理栄養士の望月さんにQ&A方式で答えてもらいました。間違った認識や、ついついやってしまっている習慣などを含めて伺ってきましたよ。
生活習慣病などは気にしていませんが「血糖負債」になる可能性はありますか?
A.宮崎先生:
太っていないからと、食事や運動に注意しない生活を続けると「血糖負債」になる可能性はあります。
「HbA1c」の高値や「血糖負債」にならないようにするためには、適度な「運動」とバランスの良い「食事」が大切です。
特に「運動」の理想はウォーキングなどの少し息がはずむ運動を1日20分(週2.5時間)以上、毎日続けること。しかし、初めから目標が高いと長続きしないので、まずは週3日でもよいでしょう。それも無理という人は、2時間座り続けたら、10分体を動かすだけでもOK。なかなか普段の生活を変えていくのは難しいですが、できることからはじめるのが大事です。
A.宮崎先生:
そうとは限りません。
糖尿病はインスリンが血糖値を下げられなくなって起きる病気なので、甘いものに限らず、食べすぎや、偏った食事が原因になります。ただ、甘いもの(糖質)を食べてばかりいると、膵臓のインスリン産生能力が低下し、糖尿病になりやいので気を付けましょう。
A.望月さん:
甘いものが直接的に高血糖や糖尿病につながるとは限りません。ですが、高血糖につながりやすいため、「HbA1c」と上手くつきあっていくには、食事はとても大切です。
とくに4つのポイントを押さえて食べるようにしましょう! 甘いものが大好きだったとしても、きちんと1日の中でバランスを取れば◎。
① 適切な量をバランスよく食べる。
② 1日1食、主食に未精製穀類を!
③ いつもの食事にあと1品、野菜や果物をプラスして。
④ よく噛んでゆっくり食べる。
その他、食べる順番を工夫する(副菜、主菜→主食)、夕食は早めにとり、遅い時間の食事は控える、間食を取るなら、砂糖たっぷりのお菓子よりもヨーグルトがおすすめですよ。
A.望月さん:
野菜を意識的に摂ることはいいことです。
他にも、たんぱく質はもちろん、果物やヨーグルトは1日の中で1食は摂り入れてほしいですね。どうしても自炊が苦手だったり、忙しくて完璧な食事ができないかも…と不安に感じる方のために、簡単なアレンジレシピを紹介します。
さっぱりフルーツヨーグルト
【材料(2人前)】
プレーンヨーグルト 160g
お好みのカットフルーツ(キウイ、バナナ、りんごなど) お好みで適量
レモン果汁 大さじ1
オリゴ糖(お好みで) 小さじ1
【作り方】
1.器にヨーグルト、1口大に切ったフルーツを入れ、レモン果汁、オリゴ糖をかける。
*ポイント:レモンのクエン酸が効率よくエネルギーを作り出し、夏バテ予防に働きかけます。
梅肉サラダチキン
【材料(2人前)】
サラダチキン 1個(100g)
きゅうり 2本
練り梅 4cm
塩 ひとつまみ
【作り方】
1.きゅうりは千切りにする。
2. サラダチキンをほぐし、練り梅とあえ、1の上にのせる。
*ポイント:梅のクエン酸やサラダチキンのイミダゾールジペプチドが、効率よくエネルギーを作り出し、疲労回復にも働きかけます。
「HbA1c」と上手くつきあいながら、「血糖負債」に陥らないためにも「運動」と「食事」の2つを基本に、本当に健康的な身体づくりを続けていきましょう。パッと見は健康そうでも、実は糖尿病予備軍だった……なんてことにならないように今日から意識してみて。
[PR]提供:生活習慣予防協会