スマートフォン(以下スマホ)に特化したマンガコンテンツ、「タテコミ」をご存知だろうか。タテコミはそのものずばり、縦スクロールで読むコミックのこと。縦スクロールに再構成されたコマ割りやフルカラー化など、スマホで読むことに最適化された 新時代のコミックといっていいだろう。
そこで今回は、タテコミをコンテンツとして取り扱う意義や、今後のWebマンガ業界の展望などを、電子書籍のレンタルサイト、Renta!でおなじみの株式会社パピレスの専務取締役である福井智樹氏に伺ってみた。
デジタルデバイスならではの新しい表現方法
――タテコミはどういった経緯で生まれたのでしょうか?
弊社のスローガンは、デジタルコミック市場を10倍に拡大することです。これまで、電子書籍市場は拡大を続けていますが、紙書籍ほど大きな市場ではありません。そこをさらに拡大させていくためには、これまで電子書籍を読まなかった人たちにも読んでみたいと思わせるようなコンテンツを作る必要がありました。
そこで、電子書籍のどこがボトルネックになっているかを考えてみた時、従来の電子書籍は、スマホの小さい画面で書籍と同じレイアウトのまま読むことになる。それを読みにくいと思ってしまう方もいるのではないか、その点において、改良の余地があるんじゃないかということになりました。そこでアイディアとして出てきたのが、タテコミなんです。
タテコミには、これまで電子書籍を読まなかった人たちを取り込める可能性があります。既存のコミックユーザーではない方々をふくめ、より多くユーザーを獲得することができれば、紙、電子に関わらず“書籍”市場全体を拡大できるのでは、と思っています。
――タテコミの特長を教えてください。
主な特長は3つあります。1つ目は縦スクロールで読むこと。今までの電子書籍は、基本的に紙のページをめくる感覚で半面ページを横スクロールで読んでいくものがほとんどでしたが、スマートフォンの構造上、縦スクロールのほうが、操作はしやすいですよね。
2つ目は紙書籍のページをそのままデジタル化しているのではなく、コマを切り出し、端末の横幅にあわせて表示されるので、ひとコマひとコマが、スマホの画面でも大きく見えること。
3つ目は弊社で独自にやっていることですが、モノクロのコミックに関して、フルカラー化を行っていることです。
マンガのデータをタテコミに変換する作業には時間がかかりますが、いずれは全てのマンガをタテコミで提供できるようにしていきたいですね。
今回、タテコミの特長がより分かりやすいよう、インタビュー内容を元にオリジナルマンガを制作し、タテコミ化を行った。ぜひご覧頂きたい。
――縦スクロールのマンガ配信アプリは、既に複数配信されています。そういったサービスとはどういった点に違いがあるのでしょうか?
他のサービスでは、主にアマチュア作家さんがオリジナルコンテンツを制作して配信しています。一方、弊社ではプロ作家の商業作品をタテコミに最適化した形に加工しているんです。既存の人気作品を取り扱っているという点が、大きな違いではないでしょうか。
――タテコミ専門のプロ作家さんもいらっしゃるんでしょうか?
専門でやられているプロの方はまだまだ少ないですね。タテコミのプラットフォームが増えてくれば、現在プロで書かれている方も並行でタテコミを書かれるでしょうし、当然タテコミ専門の方々も増えてくると思っています。
――電子書籍は今後、どのような形で発展していくと思いますか?
電子書籍はデバイスの特徴に合ったものになっていくと思います。タテコミは、小さい画面で、縦スクロールが一般的なスマホに最適化したコンテンツです。当然ながら、今後デバイスがどういう形になるかによって発展の仕方は変わってくるでしょうね。
ただ紙と違って電子書籍は、音声が付けられたり、動きが付けられたり、フルカラーにできたりと、デジタルならではの付加的な要素があります。そういう付加価値が付いたコンテンツが増えてくるのではないでしょうか。
――デジタル(Web)ならではの表現はこれからも追求していくのでしょうか?
そうですね。弊社はかなり早い段階から、紙でできないデジタルならではの商品の魅力や特性を持つべきだろうと考えていたんです。私たちは“次世代ブック”と呼んでいるのですが、昨年、弊社と動画配信のGYAOさんとでネオアルドという会社を新たに設立して、“次世代ブック”の制作・開発に取り組んでいます。今回のタテコミとは別になりますが、コミックシアターや小説系の“絵ノベル”など、積極的にデジタルならではの新しいコンテンツを追求しています。
――ありがとうございました。
パピレスでは現在、『奴隷区 僕と23人の奴隷』や、『もののべ古書店怪奇譚』などの人気作品をタテコミとして配信している。あなたもスマホならではのマンガコンテンツを楽しんでみてはいかがだろうか?
(マイナビニュース広告企画:提供 パピレス)